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ひと昔 いや 今となっては ふた昔前
といった方が よいのかもしれないが
親方請負制度というものがあった時代
明治時代の工場労働者の間には 確かに
今日のサラリーマン化した工場労働者とは異なり
まだまだ強い職人気質といったものが存在していた
彼らには 企業を所有する資本家の元で労働をする
というよりも むしろ気心も知れて人望もある親方との
個人的な信頼関係に基づいて生業に務める
という意識の方が強かった
親方は万事に責任を持ち 企業から仕事を請け負い
配下の人事と配置と賃金の分配を取り 仕切った
いうなれば 団体出来払いである
当然のことながら 親方である為には 仕事の手腕も
さることながら 顔の広さや人脈 細かい采配と人望
更に 度胸と気風の良さが必要とされた
そして それが こよなく上手く機能していた
時代背景でもあった そんな当時を懐かしく想う
イマドキ 丁稚奉公なんて言葉すら通じない
職場の上下関係も曖昧でクール&ドライ
親方に殴られて修行した頃を懐かしみ
有り難く思い とても足を向けて寝られない
なんて話も聞かなくなって かなり久しい
暗黙の了解だとか 人情や機微といった
目に見えない信頼や繋がりも失われ
利潤追求ばかりを考える世の中となった
親方のようになりたいと願い 厳しくとも
歯を食いしばって堪え抜き成長する若者を
輝かしく眺めていた時代は とうの昔
逆に 尊敬を一身に集める親方のような
人物をも見かけることがなくなってしまった
忍耐も辛抱も必要ない 便利で快適な
日常に慣れきってしまえば 怠惰になる
もちろん 人との関係も希薄になっていく
絆や心意気を感じることもなく
人間関係を円滑に築けない人間達は
この先 一体どうなってしまうのだろうか
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