リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?

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トンネルだらけのリニア中央新幹線のトンネルは安全なのかな?

中央道の笹子トンネルで天井板が崩落し、火災が発生するという大事故が起こりました。複数の死傷者が出る惨事となってしまいました。
 
即座に連想したのがリニアのトンネル。大丈夫なのでしょうか?
 
緊急時を考えますと脱出方法が課題となります。
 
鉄道におけるトンネル内での事故といいますと、最近では次のような事例があります。
 
昨年5月27日、JR北海道の石勝線にて、釧路発札幌行き特急スーパーおおぞら14号(6両編成)が脱線して火災を起こし、長さ685mのトンネル内に緊急停止するという事故が起こりました。乗務員による避難誘導が遅れ、乗客240人は自主的な判断によって煙にまかれながらも、命からがら脱出したそうです。
http://www.47news.jp/47topics/e/213073.php
車両は真っ黒に焼き焦げており、避難誘導を待っていたら大惨事になっていたかもしれません。

これは685mのトンネルでの事故です。それでも大変な事態になってしまったわけです。
 
 
さてリニア中央新幹線は−
 
品川−相模川の40㎞におよぶ大深度地下区間
10㎞前後のトンネルが連続するとみられる相模川−甲府盆地南部
12.5㎞、23㎞、16.5㎞の長大トンネルが連続する南アルプス
20㎞超のトンネルとなる中央アルプス南部
やはりトンネルが連続する岐阜県南東部
愛知県内の大部分も大深度地下
 
と、長さ10㎞超のトンネルがいくつもあり、20㎞超のトンネルも複数あります。品川−名古屋の286㎞のうち、実に8割が地下となるのです。車両故障や災害で列車が緊急停止すれば、単純に考えれば、8割近い確率で地下に停車することになります。
 
一度に数千人の人々が地下に閉じ込められるわけですが、緊急避難方法はどのようになっているのでしょうか?

国土交通大臣から諮問を受けてリニア計画を審議していた中央新幹線小委員会には、おととし平成22年の4月15日に、「技術的事項に関する検討について」と銘打った資料が出され、その中に次のような図が示され、これが緊急避難方法だとされています。
 
イメージ 1
イメージ 2
上記資料より引用。
 
「トンネル内停車を余儀なくされた場合」と書かれている通り、トンネル内には停車しないことが前提になっていますが、そもそも路線の8割が地下ですから、「余儀なく」という表現自体が的外れのように思われます
 
また、「火災時の」と書かれている通り、地震時は想定していないようです。当初は車内電源としてガスタービン発電を想定しており、燃料として灯油を積み込むことを想定したため、火災対策が重視されていたようでが、それでも東海地震対策のために建設されるとされ、東海地震の想定震源域を通るリニア新幹線においては不可思議なことです。
 
それはともかく、これで大丈夫なのでしょうか?
 
このほど事故の起きた笹子トンネルは長さ4.7㎞で、天井板崩落箇所は東京側から2.7㎞の地点であり、中で車を乗り捨てた人々は、1時間あまりかけて逃げ出したそうです。
 
前述の通り、リニアには20㎞超のトンネルがいくつもあります。「斜坑・横坑を経由して地上へ」と書かれていますが、果たして斜坑まで無事にたどり着けるのでしょうか。地上の地形にもよりますが、東北・上越新幹線の事例ですと、20㎞超のトンネルでは3ヶ所くらいです。すなわち避難通路までは7〜8㎞おきということになります。
 
緊急時にこれだけの距離を、子供やお年寄りを含めた数千人単位の人間が迅速に避難できるのでしょうか。
 
 
東京、名古屋の大深度地下区間では、地下40〜50mにトンネルが掘られます。普通の地下鉄よりもより深い位置です。脱出口となる駅までの距離は、地下鉄の場合は長くても1㎞程度ですが、リニアの場合は2.5〜5㎞になります。都市部であっても、地下鉄よりも避難が難しいことは確実です。
 
横坑を設けるということに付言しますと、国内の鉄道トンネルで横坑が設けられた例は、青函トンネルただ1本だけなのだそうです。ちなみにタテヨコ3m程度の横坑を設けますと、残土の量が1割ほど増します。
 
長さ23㎞の南アルプス最長トンネルの場合は、斜坑は1本しか設けることが不可能であり、それ自体が深さ400〜500m、長さ4㎞もあり、出てきた先は崩壊地に囲まれ、冬なら氷点下となる南アルプスの谷底であり、大地震時には確実に孤立します。避難=遭難になりかねません
 
 
 
そもそも、それ以前にトンネル自体が大地震時に無事なのでしょうか?
 
普通、トンネルは地震の揺れには強いとされています。しかし東海地震が起きたときに、南アルプスの長大トンネルにおいても、この常識が通用するかどうかわかりません。
 
トンネル工事で穴をあけると、突然圧力が開放されるために、周囲から穴を押しつぶそうという力が働きます。また、周囲の支えを失うために、突然岩が飛び出すと言う現象も起こります(土木用語で山ハネとよぶらしい)。割れ目がたくさんあるため、そこにたまった地下水が流れ出します。このような事態に対応するために、削ったそばから岩盤に長さ数mの巨大なボルトを打ち込み、即座にコンクリートで内壁を塗り固め(覆工)、トンネルを構築してゆくそうです(NATM工法というそうです)。
 
「無数のボルトとコンクリート内壁により、トンネルと岩盤とを一体化させるNATM工法で構築されたトンネルは地震時でも大丈夫!」というのが売りですが、実際には兵庫県南部地震(M7.2)、中越地震(M6.8)で覆工コンクリートが崩落するなど被害が生じています。NATM工法でも直下型地震に見舞われると、破砕帯、地すべり帯、断層近傍では弱いようです。
 
ましてや東海地震は、南アルプスにおいてはほぼ直下型であるとともに規模はM8以上です。断層も破砕帯も地すべり帯も三拍子そろっています。
 
そのうえ南アルプスは国内最大級の年間4㎜以上のペースで隆起しています。山々には上へ上へと押し上げる、地殻変動にともなうものすごい圧力がかかっており、同時に高さが3000mにも達しているため、その自重は大きく、下へ下へと降りようとする力も働いています(崩壊地が多いのはこのため)。というわけで、地下深くの岩盤には上下左右から非常に大きな圧力が掛かり、無数の割れ目が生じています。
 
リニアの南アルプス長大トンネルは、地表からの深さは国内最大の1400mに達するため、トンネルにかかる荷重は国内最大ということになります。同時に国内最大級の隆起速度をもたらす圧力も加わり、常に上下左右から前代未聞のものすごい圧力がかかることになります。大量の地下水が存在することから、地下水によるコンクリートの早い劣化も考えられます。構築から地震発生までに、どのくらいのひずみがたまるのか、目に見えない劣化が起こるのかは想像もつきません。地震が起きれば地殻変動にともなう岩盤そのものの形が微妙に変わるような状況も想定されます。山々およびトンネルにかかる力の微妙なバランスが崩れたらどうなるのでしょう。
 
鉄道トンネルには笹子トンネルのように天井板はありませんが、コンクリート製の内壁(厚さ50㎝程度)が崩れてしまう…なんてことは起こりえないのでしょうか(中越地震では、このタイプの崩落が複数起きています)。
 
時速500キロで走行しているリニアは、減速開始から停止まで90秒、約6000mを要します。内壁が崩れ落ちたところに、緊急ブレーキで減速中のリニア車両が新幹線並みの高速で突っ込む…なんて考えたくもないことですが、そんな事態は起こらないといえるのでしょうか?
 
さらにこのブログで何度も書いている通り、南アルプス長大トンネルの出入り口は、地すべり地帯のど真ん中に設けられます(左欄外「南アルプスにおける土砂災害」参照)。大地震や大雨で崩落することはないのでしょうか?

そういえば地上区間は高架構造であり、騒音・電磁波・動物進入対策のために鉄骨製のフードで覆われますが、考えようによっては、これも迅速な避難や救助あるいは火災時の消火活動の妨げになるような気がしてなりません。
 
深さ40〜50mに設けられる品川、橋本、名古屋の地下駅も、緊急時はどうするのだろう…?

上記安全対策を、リニア技術を評価する役割を担った実用技術評価委員会および国土交通省中央新幹線小委員会(どちらも国交省が設置)は問題なしと判断し、昨年の東日本大震災以降も特に計画の見直しは一切していません。ルートを決めるにあたり、予期される災害につういても検討していません。
 
「見えないところで議論しているんだ」と思われる方もおられるかもしれませんが、少なくとも公に開かれた形での審議はおこなわれていません。そんな進め方でいいんでしょうか?
 

と同時に、総選挙前という時節柄も思うことを。
 
笹子トンネルの事故原因が何であるのかはまだわかりません。日々の点検で異常が見られなかったのだとしたら、トンネルそのものの老朽化ということもあるのかもしれません。同時代に作られたトンネルの老朽化といえば、山陽新幹線のトンネルでの天井崩落が連想されます。
 
自民党が国土強靭化とか何とか言って、災害対策のために新たにダムやら堤防やらの建設をどーんと進めていこうなんて言っています。しかしつぎ込める予算は先細りなわけですし、人口も減少傾向にあり、そのうえ大前提として、今あるものは老朽化するばかりです。新しいものを造るよりも、道路、鉄道に限らず、いままで造り続けてきた膨大なインフラを、少子高齢化の時代にどのように維持管理してゆくのかが問われる時代だと思われます。

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おっしゃる通りだと思いますよ。
今まで作り続けてきた構造物の維持管理だけでも莫大な予算が必要ですから
どんどん延びる高速道路、新幹線、リニアは必要でしょうか?
次の世代に何を残すのか、コンクリートでしょうか、自然でしょうか、
自然であってほしいと思いますが。

2012/12/5(水) 午前 0:14 [ 迷フライ ]

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本当にそうですね。

JR東海といえば、リニアよりなにより、東海道新幹線や在来線の老朽化は大丈夫なんでしょうか?

確か日本坂トンネルや新丹那トンネルは、戦前の弾丸列車計画で掘られたため、大部分が完成から70年近く(供用開始後48年)経っているはずですし、東海道線の大井川や天竜川鉄橋の橋脚は築100年を経ているそうです。「トンネルの寿命は70年」とテレビで再三報じられていますが、大丈夫なのでしょうか?

リニアの工事を行いつつ、2018年度から9年と1兆円をかけて新幹線の改修工事をおこなうそうですが、それまで持つのでしょうか?

2012/12/5(水) 午後 0:17 [ kabochadaisuki ]

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