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南アルプスのど真ん中に東京ドーム2つ分の建設残土

本日の静岡新聞1面トップ記事。
 
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「リニア県内トンネル区間 残土排出200万立方メートル規模 南ア直下、処理課題に」
 
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「大量残土影響見通せず 自然保護と両立焦点」
 
7日に公表された県の試算によると、リニア中央新幹線の南アルプス長大トンネルおよび作業用トンネルから排出される土砂の量は、静岡県内のわずか10㎞だけで最大200万立方メートル、東京ドーム2杯分となることが明らかになったそうです。そしてJR東海の発表した環境影響評価方法書ではこの量や運搬・処理方法は一切明記されておらず、どのように進めるのか皆目検討がつかず、大きな問題となりそうだということです。
 
当ブログでも前々から触れてきましたが、この膨大な土砂、どこにどうやって運び、どう処分するのでしょうか?
 
斜坑付近の谷を埋め立てるのでしょうか?
 
静岡県内でトンネル斜坑が設けられる大井川源流部は、言うまでもなく南アルプスの核心部分であり、静岡県はもとより全国的にも優れた自然環境が残された地です。国立公園の拡張も見込まれています。小さな谷ごとに多種多様な種類の動植物が息づき、多くの絶滅のおそれある動植物も確認されていますが、調査の行き届いていない地域も多く存在します。第二東名の工事や長島ダム建設時のように、付近の谷を埋め立てて処分するようなことは絶対に許されません。
 
ダンプカーを連ねて平地まで運んで処分・利用するのでしょうか?
 
現地に至る道路はダンプカーのすれ違いなどはできず、大雨のたびに崩れるような未舗装の林道です。逆に言えば、既存の道路が貧弱だからこそ、南アルプスの静かな環境が保たれています。これを大型ダンプカーやトラックが列を成して(1日数百往復)走れるようにするためには、延々30㎞もの区間を拡幅・舗装しなければなりません。これは確実に大々的な自然破壊につながり、現在県の環境影響評価審査会で、あるいは日本自然保護協会からも、この工事用道路拡幅という手段は問題視されています。
静岡県知事は「大量の土砂は優良な骨材として活用できる。工事用道路を整備すれば観光道路にもなる」などと発言なさってましたが、これは現状無視も甚だしいと思います。
 
井川ダム建設時や寸又川流域での森林伐採時のように、大井川沿いにトロッコやベルトコンベヤでも敷設するのでしょうか?
 
これだって、立派な(?)自然破壊につながります。ダンプカーを連ねるよりは環境への負荷は少ないでしょうが、大量の資材搬入が困難ですし、現状では冬季は通行不可能なので敷設に何年かかるのかも分かりません。「2027年に名古屋開業」という計画からすれば、実現不可能に近いと思います。
 
どのみち、最終的な処分方法は不明です。そもそも県下の里山地域は、新東名高速道路の建設にともなう切り土、盛土で大きく環境が大幅に改悪されたばかりであり、環境に影響を与えない新たな土砂の受け入れ先が存在するのでしょうか?
 
◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
最近になって、ようやく地元紙がリニア計画の問題点を報じてくれるようになり、歓迎すべきことです。
 
しかし、長いトンネルを掘れば大量の残土が発生するのは当然のこと。それくらいのことは、砂場で遊んでいる幼稚園児でもわかります。
 
なおかつ、JR東海は前々から自然保護地域の狭いV字谷に掘り出し口を設けるつもりでしたから、処理・運搬方法が問題となることも当初ー何年も前からーから分かっていたはずです。そのくらいのことは想定していて対処方法の目途がついているからこそ「南アルプスルート」を主張していたのではなかったのですか?
 
そういった、地図を眺めるまでもなく、環境影響評価などという仰々しいものを始めるまでもなく容易に想像できるような、当たり前すぎる問題点を審議するのが、国土交通省中央新幹線小委員会であったはずです。
 
この委員会における「沿線環境調査」なるものについての議事録がこちらにあります。
http://park.geocities.jp/jigiua8eurao4/chuuoushinkansen-environmental-shingi.html
誰にでも容易に想像できる残土について、この審議では一言も触れられていません。それどころか「意見のすり替え」と「地下なら地上は関係ないですね」といったやりとりで南アルプスでの工事を認めています。
 
要するに「南アルプスルートが妥当」とした政府の判断は、いっさい環境のことは考えていないということになります。「とりあえず南アルプスにトンネルを掘ることは決定するから、あとの微調整は地元と協議してくれ」という実に無責任な態度でした。
 
そんないい加減な進め方であるから、今頃になって次々に問題点が明るみになってくるわけです。早期からの環境配慮を行うという戦略的環境アセスメントの概念に基づいていれば、残土処分について今頃大騒ぎすることはなかったはずです(ちなみに小委員会の家田委員長氏は、戦略的環境アセスメント制度の導入に関わっていた張本人でもある)。

◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
200万立方メートルという残土は、南アルプス最長トンネル22〜24㎞のうち静岡県区間10㎞だけで発生します。山梨・長野側のそれぞれ6〜7㎞程度の区間からも、6〜7割程度の残土が発生するはずです。加えて山梨県早川の谷(新倉地区)には、巨摩山地を貫くトンネル(12〜13㎞)からの残土が、長野県大鹿村の谷(釜沢地区)には伊那山地を貫くトンネル(15〜16㎞)からの残土が、それぞれ加わります。どちらも狭いV字谷の底に民家が集まっている場所です。とてつもない自然・生活環境破壊が生じるのは目に見えています。
 
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