流通の歴史と未来のブログ

食品流通は凄く面白い世界です。昔・今・未来を語りたい

流通

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全126ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

地ものと旅もの 6

 これまでは地ものを中心に書いてきましたが、では旅ものというのは、どういう調達をし、どのような経路ではkばれてくるのか、それを地域のスーパーはどのように評価しているのかを書きます。

 繰り返すようですが、旅ものというのは、地域内で品揃えできない産品を他の市場、特に大消費地の市場の卸から仕入れる場合がほとんどです。
 かつては大型農協や県農協が主導する流通では、大都市とその周辺市場にはトラックを走らせてくれたのですが、今は交通事情というよりは乗務員の立場の方が強くなっていますから、いいとこ2,3箇所しか卸してくれません。勢い受けた市場からその先は市場を起点とした物流の仕組みが構築されます。ですから旅ものというのは、相当に広くあることにもなっています。

 卸の営業同士が、電話で注文する形ですが、プロ同士ですから単純ミスはともかく、産地、規格等級など正確でトラブルの比較的少ない取引がなされます。この際に価格なしで行われることもしばしばあります。特に鮮魚の関係では商品を見なければ値段が付けられない場合も少なくないことから、着荷してから値段を受領した側が付けることもあります。
 互いに相場を熟知している間柄ですから、こういう形も可能であり、しかも見ず知らずの間でも、こういう取引が行えるというのは市場卸の信頼から成り立っているというべきなのでしょう。

 こういう取引は傍目で見ていると、すごく早く、見切りの速さは秒単位で、切り替えが非常に速い。ここらも信頼の問題もあるけれど、膨大な取引の中での一取引であり、いつまでもごちゃごちゃしていても仕方ないというか、無駄なのでしょう。こういう取引の中で貸し借り、ある時には相手の都合を聞いてあげる=貸しを作る、今度はこちらの都合を聞いてもらいたい=貸しを返す、借りを作る、そんなものが当事者同士の中で起きてきます。これは会社対会社ではなく、個人対個人の関係です。

この記事に

地ものと旅もの 5

 卸というのは、どのようなポジションを設定するのか、産地側を自身の商売の基盤にするのか、消費側を基盤にするのか、その間のどこら辺をポジションとするかによって商売の形が変わり、自身の強さも決まって来るところがあります。それはつまり経営の安定性であり、収益の拠り所でもあり、発展の方向でもあります。

 これは別に固定されたものではなく、経営陣や経営を担う課長クラスの力にも左右されるものです。ここらは組織の力も大切ですが、個人の能力にも強く左右される面を持ち、ライバル同士で競うこともしばしばです。個人が担う部分が大きいために、何らかの事情でその個人がいなくなると、勢いを失うこともしばしばです。

 地もの、旅ものという形で語ってきましたが、この基本的スタイルは国内と海外とも同じように論じることが可能であることです。つまりはグローバリゼーションと言いながら、そんなに世界各国と輸出入をする訳ではなく、遠隔地の産地が国内ではなく海外になるという意味でしかない場合が少なくないことです。

 勿論、海外ですから国内とは違ったリスクが生じやすくなる事は確かです。商品が確実に行くのか、来るのか、途中で品質劣化しないか、そもそも約束通りの商品が来るのか。通関は?、税は?、為替は? 等々心配は国内とは比べものにならないほど大きいですが、それでも取引の基本形は同じです。

 青果卸に係わっていた時には、北朝鮮からの松茸の話をよく聞きました。仲介者は在日朝鮮人であったり、中国の商社が間に入ることもあったようです。商品として少なくとも当初は相当に良いものでしたし、なかなか日本産は希少ですし、カナダや中国ものに比べれば価値の高いもので、卸としては魅力がありました。

 まぁ、こんな話をしていると長くなってしまいますが、このように輸入と言っても直接現地に行って買い付けをするという形では始まりません。誰かを介しての話から始まり、軌道に乗ってくれば現地との契約栽培にまで至るようなケースもあります。

 要は当該産地のものを自身の商売のどの辺に位置づけるかに係わった話になる事です。

この記事に

地ものと旅もの 4

 農協にしろ、農業法人にしても、自身のブランドで中央で、つまりは全国販売できるというのは素晴らしい事である事は間違いありません。これは漁協でも同じです。
 しかしながら自然の生産物であること、つまりは自然を相手にしたものであり、広大な土地を使うことが困難であるならば、全国の需要に応える事は相当に難しい話にもなります。ですから自身の商品のマーケットをどのように設定し、マーケットの開拓をし、そこにスムーズに届けられるかが大きな問題です。

 産地側ができることは、頑張れば相当な事が可能ですが、それにはそれなりの人材も、稼働できる仕事も必要です。それだけの付加価値を生み出せるかと言えば、自然を相手にした産物では限界がある事は確かです。アメリカのアグリビジネスの拠って立つ基盤というのは、やはり広大な農地、巨大な農業機械を使用し、農薬散布も飛行機を使った農畜産業であることに尽きるでしょう。

 日本においてもブランド化した農畜産物については相当に集約化が進み、ある地域で限定され大量に作られており、同じような気候風土の条件があっても、そちらではもう作られなくなっています。

 こういうブランド品の形成には、中央市場の卸が係わっているケースがかなりあります。卸にとっても専属販売の契約を得て販売するところまでは行きませんが、それでも優先的にブランド品を確保できる事は商売上、有利ですから、ブランド作りに積極的に係わります。それが卸の産地開発、商品開発と呼ばれるものです。

 卸の営業は、商品作りに様々なアドバイスを行います。ネイミングも手伝いますし、包装やパッケージの容量などにもアドバイスします。有望なお客に試験販売を行って評価を牽き出すこともあります。つまり卸はマーケティング的な側面を産地に対して働きかけをし、成功に結び付ける役割を果たしています。ここらは産地だけでブランド化するには限界があるもので、卸の力を使う事が成功に結び付きます。

 産地の方々は良いものさえ作れば売れると考えがちですし、自分達だけでやるとブランド名が浸透せず、物産店で販売するくらいしか宣伝の機会が無いということにもなりがちです。

 そして産地から見た時に、どんな卸と手を組むのかが重要ということにもなります。 

この記事に

地ものと旅もの 3

 地方市場、地方の卸にとって地ものというのは商売の核になります。というのも旅ものの仕入れというのも大きな柱となるのですが、それでも中央の卸が地元のスーパーに売り込みをかけてきた場合に、品揃えとか、中央市場のブランド力とか、特売などの場合の供給力に大きな差があり、運賃の負担も地方の卸が自身のためだけに運ぶのとは違う形、積み合わせも可能だからです。価格競争力も当然のように問題になります。

 中央の卸は地域の地場ものの集荷はできないですから、地場ものが核になり、スーパー、この場合は地場のスーパーが主力になるのですが、販売して行くことになり、地場のスーパーの生き残りを助ける、大手のスーパーに対抗する、対抗できる商品をそろえることで共に生き残るを図ります。

 ここらは息詰まるような攻防戦で、これで大丈夫というものではありません。地元のスーパーにも当然のように様々な市場卸から売り込みがあり、毎月のように入札を要求する、つまり一番安い価格を提示したものに納品させるやり方を採用している、買い手がとことん強いマーケットもあります。

 地場ものの集荷においても、農協との取り合いもありますし、市場の卸同士の取り合いもあります。如何にして生産者を抱き込むかの競争であり、様々なサービスを生産者に提供することで惹きつけています。農協がやっています肥料や農薬の販売にしても、農協の生産指導と呼ばれる技術的なアドバイスなり、マーケット的な商品作りについてのアドバイスもあります。

 農家にとっては農協という組織に従うばかりとは限らないし、こういう競争が農協の経営を鍛える側面もありますし、農協としても地域の市場とどう巧く付き合うかも大きな戦術上の問題でもあります。
 そこらの話は次回に。

この記事に

地ものと旅もの 2

 地ものの範囲は、誰かが決めたものではありません。非常に広範囲に設定する場合もあります。例えば福岡の市場では九州全域を地ものとして位置づけ、集荷し、福岡市内に売ると共に、県外にも販売しています。九州圏を自身のテリトリーとし、商品開発も行っています。

 市場というものの機能、卸売会社の役割というのは、単に産地から仕入れてきて販売するというものではありません。様々なネットワーク、その中には市場間連携やら卸売会社同士の中での連携というか、商売というか分かりませんが、互いに商品を融通しながら自身の商売を組み立てていく感覚です。

 中央の市場中央の卸と言っても、ただ商品が来るのを待っているということはありません。産地に営業し、産地が抱える問題、人の問題、設備の問題、商品の問題、出荷の問題などの相談に応じながら信頼を醸成し、自分達の市場=卸に出荷を促して行く形です。
 そして強固な産地との関係を構築すれば、それだけで大きな力にもなります。ブランドというのは産地にも重要ですが、卸にとっても重要極まりないものです。独占的な販売権であれば尚更のものです。

 ここらの話というのはメーカーが極端に強くなった加工品などの世界とは大きく異なるもので、まだ中小の事業者が生き残れる姿をしています。これが海外になるとアグリビジネスという名称になるように企業化し、非常に大規模な業者が現れます。例えば果実のドールとか、食肉パッカーのタイソン、カーギルとかがあり、グローバリゼーションを体現する様な動きがあります。
 それでもグローバリゼーションの波は食品の業界は、多国籍企業が暴れるような事態ではありませんが、それでもこれからどのようになっていくは興味深い話になりますし、小さな市場の世界の経営行動と共通するものが沢山あります。

この記事に

全126ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


.


みんなの更新記事