日本・モンゴル往来日記

1999年6月北京より国際列車で初のモンゴル入り

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動物たちの気配

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2009年2月15日記

動物たちの気配

峠に続く農道には狸の糞がテンコ盛り。狸にはきまった所にまとめて糞をする習性がある。銀杏の実は消
化できないでそのまま排拙されている。雪原には兎の足跡がこのようなパターンの繰り返しでプリントされている。テンの足跡は一直線に点々と続くからテンと言うらしい。ほんとかね。

水を抜いた錦鯉の池の土手には狸の足跡だらけでタニシの殻が散らばっている。
沢の奥に入れば夜な夜な猪が出没し田んぼや畑に足跡を残しているらしいが、吾はまだ目撃したことがない。狸の足跡と違い爪が二つに割れているのが特徴と区長さんが講釈してくれた。野生の猪の肉は硬いので出回っているのは猪豚のものだというが野生の猪の肉の方がおいしいという話も聞くので真偽のほどはわからない。
そう言えば、昔、群馬北部の暮れ坂峠(若山牧水の歌で有名?)の近くの民宿でごちそうになったことがあったが、味は覚えていない。そこの女主人が好んで集めた益子焼の食器のコレクションに話題が弾んで猪の話は何も覚えていない。その日は確か狩猟解禁の日であったが私たち夫婦がハンターでないのを見て取って話を合わせてくれたに違いない。

リスは我が家のケヤキの石垣のあたりをうろちょろしている。去年の春、小指を噛まれてえらい目にあっ
た。ネズミも時々寝室の天井裏で暴れることがある。猫のチー坊が捕まえて来てじゃれて遊んでいることがある。
区長さんは鶏を飼っていたがあるときハクビシンに襲われて皆殺しにあった。以来、鶏を飼うのを止めた。狸や狢、ハクビシンが増えたせいで蝮や青大将などの蛇が少なくなっているという。

隣の悟さんがU字溝の掃除をしていたらヒキガエルの子供がいたといってわざわざ見せに来てくれた。冬眠していたのを無理やり起こしたことになる。気の毒なので我が家の池に放してもらった。

烏が少なくなっているのは町場の方が残飯が多いからで、大方はそちらに移動したらしい。柿の実より残飯が烏の嗜好に合うらしい。枯れ枝に烏が群れをなして止まっているのは会議をやっているのだそうだ。この流れてきた旅烏を仲間に入れるかどうかなどの議題で衆議に計るそうである。町方に移動するについても衆議の結果と思うが必ずしも満場一致とはいかないようで地元に残るのもいる。その烏は通常の烏のようにカーカーと単純な啼き方はしない。えー、あれが烏かと思われるような奇妙な鳴声でとてもカタカナで書き表せるものではない。

猫も月夜の晩に集会を開くのだと、浅草という屋号の家の一人暮らしの婆が話してくれたことがあった。畑仕事をするとき我が家の前の小道を通って行くのだが、心臓にペースペーカーを埋め込んでいるので休み休み歩く。我が家の猫を見るといつも「今度生まれてくるときは猫に生まれたい」というのが口癖だった。その婆が言うには、我が家にいたゴンという名の雄猫が集会の議長を務めていたのだそうだ。ゴンという名は、名無しのゴンベーに由来する。妹の次男坊が拾って来て飼っていた正真正銘の野良猫である。
ドイツに家族で引っ越すときに一緒に連れて行くのを断念して実家の母親に預かってもらったわけだ。
ゴンは猫にしては珍しく、ある朝、家で冷たくなって死んでいた。老衰であったが、死期が迫った頃はウンチを垂れ流す不始末の日が続いた。ゴンの墓は、千年杉の傍にある先祖代々の墓の一隅に葬られている。

朝、外に出ると鷺が錦鯉の池から飛び立つことがある。池には錦鯉どころかタナゴなどの小魚さえいなく
なった。数年前、蒼鷺が罠に掛かったので飼ってみないかと声をかけてくれた人がいた。捕獲することさえ違法行為であることを知っての上でだ。
最近、珍しく隣の家の屋根に白鷺が止まっているのを見た。二時間ほど少しも移動せず目だけで周囲を観察している様子だ。ごみを出しに行って帰ってきた田島さんの奥さん(篤姫:名はあつこなのだが当用漢字にあるような並の漢字ではないようなので吾が勝手につけたあだ名)が「置物かと思った」と言った。

小清水川には、農薬のせいか、河口にコンクリートの工事をしたせいか魚影を見ることがない。1993年頃は、橋の上から10センチ位のハヤの群れを見ることができた。

ふくろうは、春先の宵の口に裏の大杉で啼く。実際に啼くのは十日位のほんの短い期間だけだ。テレビの時代劇ではのべつ啼くのでそちらで聞くほうがはるかに多い。

猪は、これからも確実に増えるに違いない。山間部では蕎麦の畑は三分の二が踏み潰されたと聞いた。
江戸時代には、猪がお城の中まで跳び込んで来るほど異常繁殖して飢饉になったという。安藤昌益が警告した猪飢饉(けがじ)が刻々近づいている気がする。

狸も増えて畑に西瓜を作っても、うまそうなのは狸に食べられてしまう。スーパーで買って食べたほうが安上がりだという人もいる。
狸が増えたのに、狐の話は滅多に聞かない。したがって、狐に騙される可能性は皆無に近い。

写真説明
写真1:狸の糞
写真2:罠にかかった狸
写真3:兎の足跡
写真4:ヒキガエルの子
写真5:蛇を見つめる猫たち
写真6:インスブルックで買ったガラス細工のふくろう
写真7:屋根の上の白鷺

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