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宇都宮市は、クルマ依存社会からの脱却を目指し、LRT(次世代型路面電車)の導入を検討している。交通渋滞の解消や二酸化炭素(CO2)排出量の削減など環境面での貢献が期待されるが、一方では、多額の税金投入につながるとして反対の声もある。LRTを推進する市民団体「雷都(らいと)レールとちぎ」代表の奥備一彦氏と、「LRTに反対する会」代表の浅野薫子氏に話を聞いた。【構成・戸上文恵】
◆是か
◇環境に優しい都市必要−−市民団体「雷都レールとちぎ」代表・奥備一彦氏
LRTは、運転免許を持たないお年寄りや子どもを含めた交通弱者の移動の自由を確保する手段だ。しかも環境に優しい。宇都宮市は路面電車がある都市と比べ、1人当たりのCO2排出量が2割ほど多いというデータもある。
車を否定しているわけではない。車はどうしても必要だが、需要と供給のバランスが重要だ。郊外に走っているバスはあまり人が乗っていないのに、中心部と同じバスを走らせている。もっと小さいバスでいい。LRTを基幹交通手段として、バスやタクシーは需要に合わせて配置すべきだ。
栃木県は日光や益子など観光資源に恵まれているのに、有機的につながっていない。我々はLRTで「宇都宮市だけが便利になればいい」と考えているのではない。LRTを既存の真岡鉄道やJRとつないで、同じ電車が乗り入れれば、ネットワークができる。
国はこれまで車社会を一生懸命つくってきた。しかし、道路を造るだけで人の暮らしは幸せになるのかという壁にぶつかっている。第一にあまりにも環境を汚し、高齢者ドライバーの事故も多い。渋滞による社会的損失は大きく、市街地が郊外に広がってインフラ整備に金がかかりすぎる。車に頼らないコンパクトシティー、環境に優しい都市を目指さないといけない。
これからは人口減社会。清原工業団地までのアクセスを良くして、企業に選ばれ続ける都市になる。そうすれば人口が減っても税収が増え、余った財源を福祉や教育に回すことができる。
バス会社がLRT導入に反対しているが、説得するのは難しい。私企業は利益を上げることが目的だから。市民が社会全体のことを考えて、「公共交通は生きる上で必要」という認識を持たないと。
「赤字になるからつくらない」というのは目先のことしか見ていない。公共交通は社会のインフラだ。市民には正しい情報に基づいて、必要かどうかの「熟議」をしてほしい。
◆非か
◇ビジョンなく、赤字必至−−市民団体「LRTに反対する会」代表・浅野薫子氏
LRTを全否定しているわけではないが、事業の進め方と財政負担の面で疑問を感じている。
第一に、税金の無駄遣いで、これ以上公共事業をやるのは夕張市の二の舞だ。LRTの導入でCO2を減らすというが、大手自動車メーカーは既に電気自動車への転換を表明している。民間企業が環境問題に努力しているのに、なぜ多額の税金を投入するのか。税金は箱モノではなく、医療や福祉、教育に使うのが平等な分配だ。
高齢化で車を運転できないお年寄りが増える。公共交通機関に乗ってもらいたければ、芳賀町で運行している1回300円の乗り合いタクシーのように、今あるバスやタクシーを充実させるのが先だ。そこにLRTまでつくったら、バスと料金が二重にかかり、乗り換えの不便もある。LRTがお年寄りに優しいとは決して言えない。
フランスのオルレアン市に住んだことがあるが、あそこはLRTを観光の目玉として導入した。フランス人は車が大好きで、市民はほとんど乗っていない。宇都宮市はLRTを生活に必要な移動手段とするのか、観光のシンボルにするのかがあいまいで、具体的なビジョンがない。
バス会社は大通りを通る路線で経営が成り立っている。LRTの導入で通行が規制されれば、路線がなくなる可能性がある。会社の維持も困難だ。
成功例として、富山市の富山ライトレールの話がよく出る。富山は雪下ろしにお金がかかり、中心部に高齢者を集めるということで、コンパクトシティーを目指した。昔からあった路線を使い、事業費も安く抑えた。生活、歴史の中に息づいているもので、比較にならない。
宇都宮市の場合、全体事業費は355億円。1日の利用者を3万2900人と試算しているが、そんなに需要があるのか。赤字になるのは明らかだ。市長がメリット、デメリットを市民にきちんと説明して、やりたいというなら分かるが、順番が逆だ。
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http://mainichi.jp/area/tochigi/news/20080607ddlk09040064000c.html
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