総合出版社ジュリアンのブログ

「日本を元気にするビジネス書・実用書・文藝出版社」ジュリアンです。

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満員御礼!

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 6時に開場だった。
5時ちょっと過ぎに私は有楽町の東京會舘一階のラウンジに着いていた。
いつもの年なら知り合いでラウンジがごったがいしているはずだが、
どうしたのだろう、見知らぬ顔ばかりである。

 毎年8月にあるこの会は、ほとんどが最終週の金曜日に催ようされていた。
今年は3週目にあたる。
まぁ、いままでに無かったことではないから、
ふ〜んそうなんだと思いつつ東京會舘に来た。
何人かとこのラウンジで待ち合わせをしていたのだ。

 まさか、1週間違えたか、不安になったとき、
待ち合わせていたひとりの顔を見た。

 ほっとした。
イラストレーターのTさんである。
誘ってくれてありがとう!という。

 続いて高松からわざわざ飛行機で飛んできたという
高松市菊池寛記念館の新館長が顔を出した。
もらって来ましたよと嬉しそうにいう。
まぁ、日にちは間違っていないようである。

 9階の会場では、第141回芥川龍之介賞・直木三十五賞の準備はととのった頃である。
新館長は、この4月人事異動で就任したばかりで、
この授賞式は初めてのはずである。

 毎年二回この会がある。
高松市菊池寛記念館は、毎回誰かを東京に来させ、
受賞者にサインを貰って帰り記念館に展示をしている。
因みに私は、その記念館の名誉館長を引き受けている。
市が運営しているので働き手のほとんどは市のお役人さん。
民間は、私だけと言ってよいだろう。

 待ち合わせた人たちがそろったのと時間も6時少し前になったのでラウンジを出た。
驚きだった。
エレベーターホールは長蛇の列になっていたからだ。
会場に入ったときには、もう会は始まっていた。
会場は、満員である。
1000人以上のお客が入っているだろう。

 今回直木賞を授賞されたのは、『鷺と雪』を書かれた北村薫さんである。
氏はベテラン作家で交友も広い。
また、とうに直木賞を授賞されてもおかしくない作家である。
作家たちも編集者たちも待ちに待った授賞である。
とうぜん多くの方がお祝いにつめかける。
超満員だった。

 今回の芥川賞は、「新潮6月号」に『終の住処』を書かれた磯崎憲一郎さんである。

 舞台に立った北村薫さんの授賞の挨拶のはじまりが傑作であった。
「僕は、いま誰も手に入れられない宝を持っています」
これですと、一冊の小冊子を掲げて
「これは、偶然手にいれた本の付録なんです。
この中には「第二の接吻」や「○○○」など収録されているんですよ」

 えっ、
ひとと話ながら聞いていた私は「第二の接吻」のところで、えっ、となった。
『第二の接吻』は祖父が書いた小説で、
『真珠夫人』に並ぶ傑作のエンターテイメントであったからだ。

 受賞者に挨拶するためには、延々と並ばねばならない。
北村さんと顔があった。
「おめでとうございます!北村さん。
先ほどスピーチされていた『第二の接吻』を書いたのは私の祖父さんで……」
「あなたでしたか、一度お会いしたかった……」
満員の開場のざわめきで私の難聴の耳は、北村さんの次の言葉は聞こえなかった。

 ふと、思いだした。
新館長がいない。
はぐれてしまったらしい。
実は、私がこの会に出席した理由のひとつに
新館長に第110回直木賞を授賞された大沢在昌さんを紹介したかったのだ。

 昨年は、祖父菊池寛の生誕120年・没後60年の記念の年だった。
私は高松市の催し事をお手伝いした。

 まず、初夏に菊池寛のこと『こころの王国』を書かれた作家で
副都知事の猪瀬直樹さんに高松で講演をお願いした。
秋には『菊池寛の仕事』を書かれた井上ひさしさんに行っていただいた。

 二回とも満員で気を良くした市から、
文化の名のもとに出きる限り毎年高松市で開催したい意が私のもとに届いた。
どうしようか、悩んだ末に菊池寛がつくった芥川賞や直木賞の授賞者、
菊池寛賞や大宅賞を授賞された方々に声をかけていこうと私は考えた。

 そして、第一弾今年は、大沢在昌さんにお願いして、快諾を得た。
この機会に新館長を紹介しておこうと企んでいたのだ。
大沢さんのお顔は見えるが、新館長は迷子で、私はヤキモキしていたのだ。

 10月2日高松市の駅近くのホールで催されるこの講演会を満員にせねばならない。

 満員と言えば、9月13日の日曜日に
書店のリブロでおこなわれる私の講演会とサイン会は満員になるだろうか、
白水社から出版された『菊池寛急逝の夜』と
ぶんか社文庫の『菊池寛のあそび心』を記念しておこなうことになった。
ホールは小さく50人限定、参加費は1500円くらいと聞いている。
書店のリブロが集客してくれるというが、
0人だったらどうしようと思っていたら、
私の背中におぶさっていた大田某の幽霊が妙なことを言った。


「0人ということはありませんよ〜っ!
私がいつもいますよ〜!うらめしや〜っ!」

 おい、大田某の幽霊よ、
お盆が過ぎてもまだいたのかよッ、早く消えてしまえっ!

 お前さんの亡き後、次に担当してくれるS嬢が
東京會舘のパーティー会場でもう写真を撮ってくれたんだゾ!

 消てしまえ〜!

なんとつれないお方!うらめしや〜!

 そうだ、大田某よ、
今日の菊池寛作家育成会のゼミは満員かいと聞くと、
部屋がいっぱいになりますよ、と幽霊は答えた。

 ねぇ、うらめしや〜!
大田をもっと誉めて、うらめしや〜!

 といいながら大田某は足から消えていった。
短い足から……

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