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CP+2017の会場で シグマの新製品14mm F1.8を手にする山木CEO



シグマは今年のCP+で4本の新しいレンズを発表した。14mm F1.8 DG HSM Art, 24-70mm F2.8 DG OS HSM Art, 135mm F1.8 DG HSM Art, そして100-400mm F5-6.3 DG OS HSMだ。CP+の会場で山木氏に新しいレンズについて話を聞いた。

―:以前のインタビューで、シグマは広角レンズをもっと発売したいと話されていました。12-24mmや14mmを出したことで、目標は達成したとお考えですか。

山木:そうですね。けれども、まだ満足はしていません。もっとたくさんの広角レンズを作る必要があると考えています。明るい14mmのレンズというのは、ユーザーから欲しいと言われていたレンズの一つです。既存の14mmレンズはF2.8がほとんどですから、F1.8というのは大きな挑戦でした。


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シグマの新しい14mmはこれまで発売された中で最も明るいF1.8を達成している。さらに、既存のより暗いレンズよりも性能は上だという。


―:アートシリーズのレンズを作ることでシグマが得たものは何でしょうか。

山木:性能をひたすら追求したレンズに需要があるということですね。シグマという会社は、他社がやらないような製品を作る会社だと思っています。もし、今売られているのと同じようなレンズばかり作っていたらカメラ業界に何も貢献できないし、ユーザーにもメリットはありません。なので、アートシリーズは最高性能を追求することにしたんです。

アートシリーズはかさばるし重たいです。それは事実です。しかし性能が高いからユーザーに買ってもらえる。そのことが分かったのは良かったですね。

―:シグマはソニーEマウント用にアダプターを発売していますが、将来的にソニーEマウント専用のレンズを開発する予定はありますか。

山木:はい、その計画です。ソニーEマウントのフルサイズ用レンズを開発する予定です。将来的にはEマウントレンズの種類を増やしていくつもりです。ただ、それには時間がかかります。一つのレンズを開発するのに、通常は2年から3年かかるんですよ。なので、仮に今開発をスタートしたとしても、発売は2年後になります。

―:新しいアートシリーズは簡易な防塵防滴性能を持っていますが、何か理由はあるのですか。

山木:ユーザーからの要望があったからですね。レンズマウント内に雨や雪が侵入するのでマウント部をシーリングして欲しいという声がありました。もう一つの理由は最近の傾向に倣ったからです。他社さんも防塵防滴レンズを出していますし。

―:防塵防滴にすることで設計がより複雑になったりするのですか。

山木:いいえ、そんなことはありません。今回のはマウント部にシーリングをしただけです。当社のスポーツシリーズのような完全な防塵防滴ではありません。例えば150-600mmはフォーカスリングやズームリングなど、すべての部分にシーリングを施しています。

―:グローバルビジョンレンズのなかで、開発が最も困難だったレンズは何でしょうか。

山木:12-24mmですね。これはとても大きな非球面レンズを使っているんですが、開発時点ではこのようなレンズを使っている会社はなかったし、そもそもそれを製造する装置すらありませんでした。なので、自社で大口径非球面レンズを製造する装置を開発したんです。しかし、その技術があったおかげで、新しい14mm F1.8レンズを作ることができました。

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シグマの12-24mmは最前面に巨大な非球面レンズを持つ、とても複雑な設計だ。


―:グローバルビジョンをスタートさせてから5年が経ちました。この間の最も大きな達成は何でしょうか。

山木:まず私は今でも満足しきっていません。もっとやらなければならないことがたくさんあります。しかし、ここ最近はシグマが高品質な製品を作る会社だと認知されてきたようで、とても幸せですね。以前はシグマはただのサードパーティーメーカーで、安くて性能の悪いレンズを売る会社だと思う人もいましたから。しかし、人々のシグマに対する見方は徐々に変わってきていると感じます。そのことを大変うれしく思います。

―:キヤノンやニコンの機材を使うプロ写真家はCPS(キヤノンプロフェッショナルサービス)やNPS(ニコンプロフェッショナルサービス)といったサービスを利用しています。シグマも同じようなプロ向けのサービスを行う可能性はあるのでしょうか。

山木:シグマもそういったサービスを行わなければならないと思います。日本ではもうすでにプロ用のサポートを準備し始めています。また、できるだけ早く同様のサービスを全世界で展開したいと思っています。

―:以前のインタビューで、シグマが急成長することを望んでいないと話されていました。そのことによって小さな会社であることのメリットが失われるからです。現在でも同じ考えなのでしょうか。

山木:そうですね、急成長というのはあまり良いことではありません。もちろん私たちの会社も成長していかなければならないのですが、少しずつ大きくなっていくべきです。現在の優先事項は、高品質の製品を製造できる会社にしていくことです。そうすれば、売上高、販売本数、利益は自ずとついて来ます。会社を大きくすることが目的ではありません。製品の品質であり、それを作る技術が大切です。

実のところ、この5年間で生産するレンズの数は減っているんですよ。安価なレンズの数を減らしていったからです。けれども、レンズの生産能力は拡大し続けています。高性能なレンズはより多くの枚数のレンズを必要とするからです。安価なレンズは10枚から15枚ほどのレンズで作れますけど、高性能なものは15枚から20枚、場合によってはもっと多くのレンズが必要になります。一本のレンズを作るのに今までより多くの生産能力が必要になってきています。事実、この5年で生産設備にものすごい投資をしてきました。

―:シグマや富士フィルムはシネレンズにも参入し始めました。この分野の成長率はどのくらいだとお考えですか。

山木:わかりません。実はシネレンズを作る前に市場調査をしたのですが、まったくわからなかったんです。どこにもデータがなかった。大体これくらいだろうという推測しかできなかったんですね。ただ、市場そのものは今後も伸びてくだろうとは考えました。

動画が要求する解像度は静止画よりも低いです。そしてシグマはここ数年、3600万画素以上の解像度でも耐えられるレンズを開発してきました。これは動画にすると8Kに相当します。既存のシネレンズはここまでの解像度は持っていないので、最高性能のシネレンズを手ごろな価格で提供できるのではないかと考えました。

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シグマのシネレンズ18-35mm T2は18-35mm F1.8レンズにギアを取り付けた形になる。スーパー35サイズをカバーし、18-35mmをズームするのに350℃の回転角を持ち、精密な操作を可能にしている。


―:シネレンズのシェア目標はありますか。

山木:ありません。今はこの市場がどのように成長していくか見守っている段階です。もちろんこうなってほしいという夢はありますけど、現実はそうではないですから。



編集後記

山木氏と話をするのをいつも楽しみにしている。その理由の一つはもちろん、インタビューをするときは、ほとんどが新製品の発表直後だからだ。しかし、最も大きな理由は、単にシグマのCEOが素晴らしい人物だからだ。公正で、包み隠さず、シグマの計画や将来について率直に話してくれる。山木氏はカメラ業界ではライバル企業からも敬意を持たれている。

ライバル企業といえば、新製品の14mm F1.8は既存のレンズの性能に飽き足らないユーザーからの強い要望に応えるために開発したように感じた。シグマは広角レンズの開発に長い歴史を持っている。新しい14mmやその前の12-24mmはシグマからの自信を持った回答である。もし、14mmが山木氏の言うような高性能なレンズだとしたら(そして、シグマのアートシリーズの性能が期待外れだったことはほとんどないことから)このレンズは風景、建築、そして星景写真の分野で基準となるだろう。当サイトで近々サンプルをお目にかけることができると期待している。

もう一つ興味深かったのは、シグマが安価なシネレンズ市場に参入したことだ。今の時点では、シグマはキヤノンのシネマイオスレンズのような製品と戦おうとはしていない。シグマは(フジと同様に)ミラーレスカメラを使っているような新世代のビデオグラファー向けに製品を作っている。シグマのシネレンズは静止画向けに設計されたものにもかかわらず、性能はトップクラスだ。しかし、報道や映画といった専門家からは、焦点距離を変えたときのピント面のズレなどが問題となると聞いたことがある。ハイエンドのシネレンズが数百万円もするのには、それなりの理由があるのだ。

シグマの次の製品はどのようなものになるのだろうか。山木氏がさらに広角のレンズを開発しているとしても驚かない。新型の24-70mmも出たので、これに続く70-200mmの新型が近い将来発売になるかもしれない。



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