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スケッチ・オブ・スペイン 05

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【セビーリャ】
セビーリャの第1印象は「実に華やかな街」につきる。行く先々どこへ行っても、さまざまな花が咲いている。名前も知らない紫色の花を満開にさせた並木道を、観光客を乗せた馬車がゆったりと走っていく。表通りの建物の色も、黄色、薄緑、桃色等々、いかにも心を浮き立たせる美しさだ。しかも、ここはアンダルシアの州都で、すべてが粋に洗練されている。
しかし、この日は何か街に緊迫感が漂っていた。通りのあちらこちらに警官の姿が見える。聞けば、明日軍隊のパレードがあるため、マドリッドから国王夫妻が来ているからとのことであった。そのせいで、スペイン広場は外側から見るだけとなり、見学予定だったアルカーサルにも入場できず、替わりに大聖堂に入ることになった。それにしても、暑さがすごい。まだ5月なのに、街角のデジタル温度計は35度を表示している。

バスを降りてサンタ・クルス街から歩き始める。ここも旧ユダヤ人街(フデリア)だから、雰囲気はコルドバのものとも似ているが、やはり少しばかり垢抜けている感じがした。赤い花と青と白の大きな皿が並んで壁に咲いている土産物屋で、『M』のセラミカ・タイルを2枚買い、アイスクリームをなめながら家並越しにヒラルダの塔を眺める。
しばらくして、そのヒラルダの塔を、地上70mの展望台めざして登った。何でも馬でも登れるように、階段ではなくスロープにしてあるそうだが、さすがに上のほうでは息が切れてきた。途中の出窓のような所から、大聖堂の古びた屋根を眼下に見つつ少し休む。
登りつめた展望台は鐘楼になっていて、セビーリャの街が東西南北すべての方角に広がっていた。風が気持ちよく吹いてくる。闘牛場が丸く見え、カルメンのタバコ工場が見え、ドンファンの救済病院が見え、それらの向こう側に、グアダルキビル川が雄大に流れている。その素晴らしい風景に、目と心が充分に満たされたちょうどその時、驚くほどの大音響とともに、頭のすぐ上の鐘が鳴り始めた。

スペインに来てから、カテドラルに入るのは何回目なのだろう。もうだいぶ慣れてきたつもりだったが、このセビーリャの大聖堂は、また違った驚きを隠し持っていた。神にすがる思いの痛ましさは相変わらずであるにせよ、それとは別の何か、いわば人間の未来に対する希望のようなものが、ここではステンドグラスの光に照らされている。
ローマのサン・ピエトロ寺院、ロンドンのセント・ポール寺院に続いての、ヨーロッパで3番目だというその大きさは、あまり関係ないだろう。おそらく、南側の門近くにあるコロンブスの墓のあたりから、それはきざしているのかもしれない。4つの王国を象徴する4人の巨人に担がれた柩の姿には、確かに将来を切り開いていく強い意志が感じられた。イスラムからの領土奪還と大航海への挑戦。スペインが世界一輝いていた時代。思えば、あのマゼランも、このグアダルキビル川の河港から大航海へと船出をしたのだ。
巨人像の靴のひとつにさわれば、またいつか必ずここセビーリャに戻って来ることができるという。今までに何億の人々になでられ、薄闇のなかでそこだけ白く光っている大きな靴を、力を込めて掴んだ。願いをこめて。

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記憶力すごいですよね。
そうそう馬でも登れるヒラルダの塔に上がったし、コロンブスの靴もちゃんと触ってきたわ。
花で飾られた街の雰囲気にすっかり魅了されて、せめてうちにもパティオが欲しいーとか思ってました。黄色いポストも可愛かったな。

2007/9/22(土) 午前 8:01 [ him*_t*r* ]

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どうもありがと。
でも記憶力は最近どんどん衰えてて、この旅行記は写真や当時のメモからやっと思い出したりして書いてるんだ。だから大変。でも楽しい。
そうそう郵便ポストはまっ黄色だったよね。で、ライオンの頭の郵便入れは見たかな?

2007/9/23(日) 午前 0:26 [ MuseuM ]

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はじめまして。
表現力豊かな素晴らしい紀行文です。私も現在スペイン紀行を連載中ですが、写真の数でごまかしています。文章の力の威力を見せ付けられました。ポチです。MuseuMさんが連載されている他のスペインの写真もまた、構図が素晴らしいですね。
紫色の花は「ジャカランダ」で熱帯〜亜熱帯地方に咲く桜といわれていますよ。ご参考に私のブログをトラバさせていただきました。

2008/6/15(日) 午前 3:16 kassy1946

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kassy様 どうもありがとうございました。
ちょうど同じ頃に訪れたスペインの写真が懐かしいです。
これからもよろしくお願いします。

2008/6/15(日) 午前 11:30 [ MuseuM ]

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