「すきとほった風」。
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「眼にて云ふ」 〜宮沢 賢治〜
だめでせう
とまりませんな がぶがぶ湧いてゐるですからな ゆふべからねむらず血も出つづけなもんですから そこらは青くしんしんとして どうも間もなく死にさうです けれどもなんといゝ風でせう もう清明が近いので あんなに青ぞらがもりあがって湧くやうに きれいな風が来るですな もみぢの嫩芽と毛のやうな花に 秋草のやうな波をたて 焼痕のある藺草のむしろも青いです あなたは医学会のお帰りか何かは知りませんが 黒いフロックコートを召して こんなに本気でいろいろ手あてもしていたゞけば これで死んでもまづは文句もありません 血がでてゐるにかゝはらず こんなにのんきで苦しくないのは 魂魄なかばからだをはなれたのですかな たゞどうも血のために それを云へないがひどいです あなたの方からみたらずゐぶんさんたんたるけしきでせうが わたくしから見えるのは やっぱりきれいな青ぞらと すきとほった風ばかりです。 〜これは賢治が病で倒れたときに書いた詩で、
血を吐いて倒れながらも、魂は平静で青空と涼やかな風を感じているという趣旨の詩です。
読んでみるとわかりますが、最後の3行が圧巻です。 信じられないぐらいに朗々として清々しいこの命の心情描写。。。
これは、まさしく最高の人生賛歌だと思います。
また、私達がそれぞれ見る人生の色は、たとえ現実がどうであろうが、ただその人なりのその人だけの心模様なのかもしれません。〜
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