《修羅の時代》

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あの群雄割拠の戦乱の巷で、もはや伝説の人となった源九郎義経。その生死は依然として謎のままであった。
しかしその知られざる一つの説話がある。
勿論それは時代的検証外の想像に依るものが大であり、
その世界に詳しい専門家からすれば、たわいの無い絵空事かも知れない。

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すかさず重三が「化け物がかい。」
「カッハハ重三奴も人が悪いの。」
「ほーやっ。弁慶の本に呑み助じゃ。」
二人は戯れ合いながら大門崎の方へ向かった。半時もすると牧山への入口に差し掛かった。
ここからは延々と登り坂である。一気に登る山は、きついものである。弁慶といえど、しっとりと大汗をかいてしまう。
杉木立の合間から海が見え、爽やかな風が吹き抜ける。
「好い眺めよのう。」

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「お前さん達、食うてみるかい。」
すると潮風に枯れ切った白髪の老婆が、すっとんきょうな声に、愛敬のある顔で差し出した。
「ほう、是がそうか。えらく磯臭いのう。」「それが好い処よ。」
一口頬張る弁慶は、思わず。「これは、好い肴じゃ。」
「はははっ。」
遂に酒呑みの本音が出てしまった。急に酒が恋しくなったらしい。
「今夜の泊りは吉次殿の隠れ宿じゃ。出るかいのう。」

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「ザザーッ」と寄せては返す波音に弁慶は、思わず深く磯の香を吸い込んだ。弁慶は連れの安達重三と磯伝いを歩いていると、浜の老婆が木桶一杯の、何やら磯の獲物をさばいているのを見かけた。
「おい重三」「なんじゃ」
「あれは何だろう。」
「あ〜っ、弁慶殿はあれを御存知無い。」
「わしは西国の海育ち。漁師の家の生まれじゃ。あれが食い物と云う事は分かるが。そうじゃろう。」
「あれは“ほや”と申す立派な食い物じゃ。」
「なんじゃ、気色悪いのぉ。」
「ほら、皮を剥き終わった奴は奇麗なもんじゃろ。」

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左手には牡鹿半島が見え、前方には太平洋が広がる。背後には栗駒連峰、蔵王連峰、右手に遠く松島の島陰が続いている。山頂から下界を見下ろすと、穏やかな浦に海鴎の群れに似た小舟が無数に浮かんでいるのが見える。

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陸前の北に石巻という郷がある。古より内陸米の陸揚げや豊かな海の幸に恵まれ、特に牡鹿半島の外れの鮎川まで行くと、鯨の水揚げも行われて居ると云う。
土地の者には云い古されている例え話しに、
『石巻では、箒と塵取りが有れば暮らせる。』と云うのがある。
詳しくは此処では書かない。興味が有れば、土地の者に聞かれたい。
この地方は広々とした、仙台平野の北東部に当り、町の中央部に小高い城跡が有る。
日和山と云い葛西氏の居城が有ったとかで展望の雄大さが有名であり、地元では唄にも唄われている桜の名所である。

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