ブログ水族館/中村 元

次回のトークライブ『中村元の超水族館ナイト2017春』は2/5(日)開催。チケット発売は1/5の10:00〜です。

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マリンピア松島の社長(前館長)の、仙台での「いただきます」な思い出は、前回の記事で少し触れたが、実は社長とはマゼラン海峡にていわゆる遭難の憂き目に遭った生死を共にした仲でもある。

マゼラン海峡と言えばもちろん、このイロワケイルカ。
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イロワケイルカ捕獲用の船を、プンタアレナスの港から捕獲基地に回すとき、途中でペンギンの島やシャチの群に会えるというチリの学者の口車に乗って、よせばいいのに(というのもカンチョ船酔いに弱いから)社長(前館長)と一緒に乗り込んでしまった。

そしたら、マゼラン海峡は大嵐で、全長10mは超える鉄船が木っ端のように翻弄されはじめたのよ。
木っ端のようにというのは、正しく木っ端のようにで、波と波の間を飛んでいたり、乗り切れない波に潜り込んでしまったり。
船酔いでたまらず吐こうと飛び込んだトイレからは、天井にまでぶち当たる水柱が出たり入ったり。(^^;
映画「パーフェクトストーム」でのハリケーンの中の漁船のシーン、中盤あたりまではマゼラン海峡で経験したのとほとんど変わらなかったくらい。([ビデオ借りて観て下さい。こういうことってホントにあるんだから。)

潮流と強風に押し戻されるから港には戻れないし、なぜだか知らないけれど、無線連絡もとれなくなった。
さらに、船長以外の船員2名は、座り込んで十字を切っているばかり。(それってどうなの?海の男よ!)

マリンピア松島の社長は、波の荒い三陸の海で、何度も漁船に乗ったことがあるらしいのだけど、10センチほど海水の溜まった船室でボクにこう言った。
「日本の漁船は世界で最も転覆しにくい構造になってるんだけどね、これよりもっと穏やかなときでも、三陸の漁師が危険だから帰港すると言って帰ったよ。これはたぶんもうダメだね。中村さんは泳げる?私はね泳げないんだよ」

いや泳げるも何も、海は水温10度以下、陸地などどこにも見えないし、潮流は10ノット近くある。「そうすか、でも、なまじ泳げない方が楽ですよ」とボクは答えたのだった。
で、肉体的には目一杯船酔いに打ちのめされ、気持ち的にも目一杯打ちのめされたボクは、その後、速やかにブラックアウトして(つまり気を失ってw)一切の苦しみから心をシャットアウトしたのだ。
いやはやヒトの精神ってうまくできてるもんですわ。

さて、そんなことのあったイロワケイルカ捕獲作戦のときに捕獲され、日本に運ばれてきたイロワケイルカが、ここマリンピア松島にはまだいる。
今回は久しぶりに社長に会ったので、そのことを思い出し、それでどれがマゼラン海峡から来た個体なのか教えてもらうために飼育スタッフに付いてもらったのだ。
イメージ 2

2頭いて、そのうちの一頭が、このイロワケイルカだった。
このイロワケは、肌荒れのひどい個体なのだけど、別に日本の水が合わなかったというわけではなくもともと荒れている。
どうやら遺伝らしくて、このイロワケが産んだ子も肌荒れ体質だ。

ところで、イロワケイルカが日本にやってきたのは、その時の捕獲の一度きりなので、今日本にいるイロワケの全てが、当時の個体の子たちか当時の個体だ。
そして、当時3館で飼育していたイロワケの繁殖にいち早く成功したのがこのマリンピア松島水族館なのである。

マリンピア松島のイロワケたちは、とりわけ人なつこくて、顔を近づけたり手を振ったりしていると、いくつもの個体がやってきてくれて、この親子もしょっちゅう顔をのぞき込みに来てくれた。
イメージ 3

なんだかねー、「あ〜ら久しぶりじゃないの?元気にしてた?」と話しかけられている気分になったですよ。

思い起こせば、彼女に初めて会ったのはもう20年も前のことになる。
最小の鯨類イロワケイルカの寿命は20年程度とされているから、彼女はずいぶん長生きだ。
3つの水族館からそれぞれ2〜3名づつで組織していた当時の捕獲隊のメンバーで、今も現役の水族館スタッフは、たしかもういないと思う。
あのマゼラン海峡で拾った命、よっしゃオレももうちょっと頑張ってみるかー!と思ったのでした。

ところで、冒頭での嵐のマゼラン海峡、船長のすごい奮闘によって船は沈まずに、無人島の島影にたどり着き、さらに石油基地に避難し、3日後に仲間の待つ基地にたどり着いたのでした。
最短4時間で到着するはずだったので、そろそろ日本に悲しい知らせをしようと準備しているところだったw。

最初に避難した無人島で、同じく避難していた漁船からウニを大量に買って非常食代わりにした生ウニ、とてもおいしかったです。



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べる〜がさん<たぶん、ボクらが海の藻屑となっていたら、ミッションそのものが中止になったかもですね。
でも、よ〜く考えたら、その船に乗ってくなんてボクが考えなかったら、「船着くの遅いな〜」程度で終わっていたワケで、ボクが余計なことしいな奴だったということでもある。
でも、マゼラン海峡の厳しさを身をもって知ったのはよかったですw。

あ、べる〜がさんの捕獲してきたイロワケイルカ、メスですね。
確かオスはお腹の模様がハート形、メスは楕円形だったはず。(いや反対だったかな?忘れちゃったw)

2007/7/16(月) 午前 2:07 kapaguy 返信する

まりっぺさん<そうなのよ、ボクの強運は人並みじゃないのw。絶体絶命のピンチに陥る運も、そこからなんとか生還できる運もねw。
ボクはこれを、「007運」と呼んでいます。
人生で何度、もう先がない!というところにまで追いつめられたことか、でも結局はただの運のよさで助かるのw。
そんなのな〜んにもいい運じゃないようだけど、おかげで、それを話のネタにできる・・・じゃなくって、そう考えられる脳天気さが付いたのがもうけもんですねw。

2007/7/16(月) 午前 2:21 kapaguy 返信する

カナーさん<生ウニはカナーさん用にわざわざ書いたオチだからw。sakuraさんのように、素直に拍手するよろし!
ところでこの経験によって学んだこと。「ヒトはいつ死ぬかわかんないんだから、我慢して計画的に生きるより、いつ死んでも満足できる生き方をすること。」
生ウニ食べたかったら、迷わず我慢せず食べましょうw。

2007/7/16(月) 午前 2:28 kapaguy 返信する

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シロワケイルカ初めて知りました。それにしても、壮絶な体験をされたんですね。でもおかげで貴重なシロワケイルカがみられるんですね、感謝感謝です。

2007/7/16(月) 午前 7:55 shh*w63* 返信する

はい、壮絶でした。ノリさん、台風の時には沖に出ないようにして下さいね。ボクが漁師さんに言うのもなんですが、海は荒ぶれると超恐ろしい神様です!

ところで・・・・実は・・・シロワケイルカではなく、イロワケイルカですw。ノリさんとカナーさんが間違えましたね。シロクラゲの影響でしょうか?

2007/7/17(火) 午前 0:57 kapaguy 返信する

はらはらドキドキのアドベンチャーストーリーを堪能しました。やはり海は恐ろしい!マゼランもセブ島で戦死したし。そのお話とイロワケイルカさんの平和そうなお写真が絶妙のコントラストですね。ツートンカラーも綺麗ですが、頭がまあるいのがまた可愛いなあ。口がカモノハシみたいにとがってないから童顔ですね。カンチョ先生のご健康とイロワケイルカさんの可愛さにポチ☆

2007/7/23(月) 午後 11:57 眼とろん星人 返信する

眼とろんさん、なんでもマゼランがこの海峡を通ったのは、偶然にも年に数日しかない凪の時だったらしいです。それで、湖のようなこの海に自分の名前を付けよう!みたいなことになったとか。
でも、それで太平洋に進んで、成敗されちゃったのだから、運がいいのか悪いのかはわかんない。
ボクは嵐にあって、その後、ネタにできてるから、どっちかと言えばボクの方が運がいいですねw。
ポチ、ありがと〜!

2007/7/24(火) 午前 0:47 kapaguy 返信する

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マゼラン海峡からやって来たイロワケイルカ。
20年も経つ内に当時の個体はほとんどいなくなってしまいました。
マリンピア松島からのとじまにやってきたビエントも、先月他界してしまいました。長生きをしたということで地元の新聞には大往生と大きく報道されましたが、まだまだ見ていたかったです。
もうのとじまにはイロワケがいないと思うと寂しい限りです。 削除

2007/7/24(火) 午前 0:56 [ よかまさ ] 返信する

よかまささん、なんだかお久しぶりですね〜。そうでした、のとじまのイロワケは死んだのでしたね。
比較的温暖な海に生息するスナメリと一緒のプールで暮らしていたので、どっちが我慢してるのかな〜?と、実はちょっと気になっていました。
イロワケイルカは、イルカの中じゃ特別といっていい体色とサイズですね。残ったイロワケたちが、どんどん繁殖してくれるといいですね。

2007/7/24(火) 午前 2:36 kapaguy 返信する

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しょっちゅうお邪魔しているのですが、そう言えば書き込みは久しぶりでした。
イロワケ・スナメリ水槽の水温は、同居を始めた一昨年のお正月頃は13℃〜14℃。その後わずかに上がり気味で、今年の春頃には16℃くらいでした。同居のスナメリが出産を控えているので、やや水温を高めに設定しているのかと思いましたが、特別設定を変えてはいないとの事でした。 削除

2007/7/25(水) 午前 0:53 [ よかまさ ] 返信する

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スナメリの出産がいよいよ間近に迫り、ビエントは4月にはイルカトレーニングプールの予備プールにオスのスナメリと共に移動されました。この予備プールは水温調整が出来るとのことでしたし、人の目に付きにくい(それでも私は覗きこんでましたけど)塀の奥でしたので、ストレスがあまりかからないためか、展示プールにいたときよりも給餌量が増えていると聞きました。
スナメリと同居を始めた時は心配でしたが、一人ぼっちでいた頃よりも、なんだか元気そうでした。種類は違うものの、ケンカするにしても、遊ぶにしても一人ぼっちよりは良かったのかなと思います。最期は人目に付かない予備プールでスタッフに抱きかかえられながら息を引き取ったそうです。沢山の幸せな時間を与えてくれたビエントに感謝以外の何もありません。 削除

2007/7/25(水) 午前 0:54 [ よかまさ ] 返信する

そうね〜、イルカたちはけっこう寂しがりやですからね、種類は違っても仲間がいるのはいいことだと思います。
言葉は通じなくても、エコーロケーションで、なんだかんだと言い合っていたのかもしれませんねw。

2007/7/25(水) 午後 10:56 kapaguy 返信する

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ちょっと気になるゲームソフトを聞いたのですが、Wiiの「FOREVER BLUE」って名前なんですけど、イロワケ捕獲隊のメンバーであるカンチョさんにならこのコトを聞くには最適だと思いまして。

で、このゲームにはイロワケイルカも出てくるらしいのですが、問題はその周辺環境なんです。珊瑚やら熱帯魚やらが棲む海域に果たしてイロワケはいるのでしょうか。こないだのベルーガと同じく温かい海への適応力はあるのかもしれませんが・・・。それにしてもイロワケを出してくるなんてマニアックですよね。

とりあえずURL貼っときます。
http://www.nintendo.co.jp/wii/rfbj/index.html

2007/8/1(水) 午後 1:07 [ べる〜が ] 返信する

べる〜がさん<「海中のやさしくかしこいパートナー」の後半ね、確かに、確かにイロワケイルカや!
でも、解説には「イルカやシャチなど・・・・」となっているから、シャチのつもりで間違って描いたのでは?と思ってたら、なんと最後にしっかり「イロワケイルカ」と出てきたし・・・w。
イロワケイルカ、サンゴ礁の海ではいくらなんでも無理があるよね〜(^^;
だいたい、イロワケイルカの生息地はほぼマゼラン海峡。理由は分からないけれど、アマゾンカワイルカがアマゾン河だけみたいに、イロワケイルカはマゼラン海峡周辺だけ。インド洋のなんとかって島で見つかった記録はあるけれど、それはセイウチが三重県尾鷲沿岸で見つかった(これホントにあった話し)みたいな迷走個体ですね。
まあね、いくら適応力があるといっても、サンゴ礁は嫌でしょw。
それにもしかしたら、小さいから、追いかけるエサの種類や大きさや速とかにも、彼らなりの限度があるのかもわからないですね。

2007/8/1(水) 午後 8:15 kapaguy 返信する

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僕もイロワケが出たときは、え!?シャチと間違えた?って思ったんです。
開発スタッフのお好みで入れられたのでしょうか・・・。スタッフの住まいなどの近くにイロワケ在住の水族館があるとか・・・。
そうだとしたら若干お粗末な設定のソフトですね〜。
リアリティがウリのWiiで・・・^^;
このままだとシロイルカが出てしまうかもしれませんね〜。
イルカ=南の海!の印象が一般人は強すぎるんですね(>_<)

2007/8/1(水) 午後 10:08 [ べる〜が ] 返信する

もしかしたら、このゲームの中に、「あり得ない動物を探せ」というプログラムがあるのかも知れないけどね・・・。

2007/8/1(水) 午後 11:44 kapaguy 返信する

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何度も足を運びました(*^v^*)
イロワケシロイルカに逢いたくて(^^)人懐っこくて、またあいたくなりました(^^)実家に帰ったさいには行きたいですね。
捕獲作業も大変なんですね(><;)聞けない話を聞いたら余計イロワケイルカを見たくなりました(^O^)/

2010/4/26(月) 午後 11:44 [ ミン ] 返信する

himeさん。ようこそです! どうやら宮城県出身なんですね。
マリンピア松島のイロワケイルカは、ホントに人なつこいですねえ。
あれで、目が黒い模様の中でなかったら、表情も出て、超アイドルになったやろな〜と常々思ってます。

マリンピア松島の記事はけっこうあるので懐かしんでください
⇒ http://blogs.yahoo.co.jp/kapaguy/folder/1491947.html

2010/4/27(火) 午前 0:51 kapaguy 返信する

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イロワケイルカが日本にやってきて早くも20年…いや25年ですか。早いですね。初めてイロワケイルカを見たのは1995年鳥羽水族館でした。その後サンシャインでも見て、更に南紀白浜でも…見たような?(記憶が曖昧)

イロワケイルカの生息地って、かつてイギリスとアルゼンチンが戦争(フォークランド紛争)した辺りですよね?あの戦争でイロワケイルカにとばっちりが出なかったか少し気になります。 削除

2012/5/23(水) 午後 11:46 [ &oh ] 返信する

&ohさん、めちゃタイムスリップ!2年前の記事やないですかこれw。
イロワケイルカがいた水族館は、マリンピア松島、サンシャイン、鳥羽水が最初で、そこから、のとじまとアドベンに行って死にました。今いるのは、マリンピア松島と鳥羽水の2館だけです。
そのうち3館で会ったというのは、イロワケイルカ遭遇率かなり高いですねw。

イロワケイルカの生息地の中心はマゼラン海峡で、フォークランド周辺は記録があるだけではなかったかと記憶してます。まあ、人のいかないところなので、記録云々はあんまり関係ないけれど…。

2012/5/24(木) 午前 0:18 kapaguy 返信する

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