ブログ水族館/中村 元

超水族館ナイトが贈る映画『ビハインド・ザ・コーヴ』上映会4/13(木)開催。チケット発売は3/13の10:00〜です。

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マリンピア松島水族館へ、再開後初の訪問をしてきた。
4月2日に罹災お見舞いに訪問してから3週間とちょっと。
マリンピア松島は、とても元気に復旧していた。
復旧作業のときにもすでに活き活きとしていたスタッフのみなさんが、さらに明るい笑顔で迎えてくれたのが無性に嬉しかった。


なので、生き物たちの"元気!"な雰囲気をみなさんに伝えたいと思いながら写真を撮ってきた。
というわけで、マリンピア松島の元気!シリーズ。まずは前編『西條直彦社長、不滅の強運』から。


マリンピア松島と言えばイロワケイルカ。(もう何度も書いているフレーズやけどw)
母子が元気にビュンビュン泳いでいました。
イメージ 1

そしてイロワケイルカと言えば、以前にマゼラン海峡で大嵐の中で、遭難した話をしたことを覚えていただいているだろうか。⇒イロワケイルカとマゼラン海峡(07/7/15)

その時に一緒だったマリンピア松島の西條直彦社長(館長の兄上)は、実は今回の大津波にまともに呑み込まれたのだ。
ところがしかし、社長はその現場から、奇跡的にかすり傷だけで生還されたのである。

それは大震災の直後、西條社長が仙台港の近く多賀城を車で走っている時だった。
ラジオの津波情報と、車の窓から見えるジャスコの屋上に避難している人たちの仕草で、すぐそばにかなり大きな津波が迫っているのが分かったのだそうだ。
しかし、道は渋滞して車は動かない。外に出て逃げるかどうか迷っているうちに津波はやってきた。

前に並んでいた車は、津波によって次々とひっくり返ったのだが、西條社長の車はたまたま横に街路樹があったので横転せずに浮いたのだ。しかし、そのまま車は流されてしまったのである。
そのままおよそ200mも流されると、前を流れている車が次々に横道への激流に吸い込まれていくのが見えた。
あの急流に巻き込まれたらもうお終いかも…と思っていたら、社長の車だけは奇跡的に平屋建ての家の前に吸い寄せられ止まったのだ。
しかし、車はまだ浮いたままである……。
社長はそれでも冷静に、生きるための算段を考えていた……。


マリンピアと言えば、熱帯淡水魚。
ピラルクーも元気ですぞ。
イメージ 2

松島湾内の津波が比較的低かったとはいえ、この水槽のあたりは1.5mほど水没し、水が引いた後はヘドロがいっぱいだったそうだ


さて、車中の西條社長、車はだんだん沈んできて、車内の空気はすでに顔までしか残っていない。外からの水圧でドアも窓も開かない。
そんな絶体絶命のピンチのときにふと後ろを見たら、リアウインドウに何かが当たったらしく窓が割れていたのだ。それでリアウインドウまで泳いで外へ。

しかし、隣の家の屋根に渡るにも、車から少し離れていて移ることができない。
ところがまた運のいいことに板が流れてきたのだという。西條社長はその板をなんとか拾って、車と屋根との間に橋を架けて乗り移ったのだ。


ドラドも、金色にビカビカ光って元気に泳ぎ回っていました。
イメージ 3




平屋建ての屋根に乗り移った西條社長のその後。
車から脱出できたはいいのだが、全身ずぶ濡れで凍える寒さのところに雪まで降ってきた。その状態でブルブル震えながらおよそ1時間。津波の水はまだ引いていく気配もない。
このままでは凍死する…と思っていたところに、隣の二階建ての窓が開いて声が掛かったのだ。

しかし、避難している屋根と隣の間は離れていて、雪で滑る上に体力も落ち、飛び移れるかどうか微妙なところだったのだそうだ。
それで、電気の延長コードを持ってきてもらい、腰に巻いて命綱にしてから飛んだ。
案の定、飛び移れずに海に落ちてしまったらしい。(それは雪のせいばかりではなく、社長の体力的な要因も大きかったのでしょうけどねw)
しかし、命綱のおかげで流されることなく助かったのである。


大水槽のタマカイ。いつも、水底にデーンと居座っているのに、この日はグングン泳いで大サービス。
イメージ 4



ところで、前回のお見舞い時には、西條社長とは会えなかったので、今回が震災後初のご挨拶だった。

社長はボクの顔を見るなり「マゼラン海峡以来の危機だったよ」とおっしゃったのだが、いやそれはずいぶん違う。
マゼラン海峡では、船長の諦めない気持ちと行動だけが我々の命運を開いてくれた。
しかし今回は、西條社長の諦めない気持ちと行動が、何度も何度も運を拾い、その積み重ねで奇跡の生還を遂げたのだ。

マリンピア松島の今回の超早期復旧とオープンも、その気持ちの延長線上にある。
水族館の正面玄関の上には、『マリンピアは不滅です!』と書かれた横断幕。
不滅なのは水族館ではなく人なのだ。
この奇跡の運を切り開いた社長以下、館長や館員のみなさんの不滅の精神がマリンピアを不滅にした。
そして、そうのような不滅な心を持つ人たちが、水族館を通して多くの人々の不滅な心を支えることができる。

訪れた日は平日だったが、おそらくほぼ全員が宮城県民のとても多くのお客さんたちが訪れ、弾けるような笑顔で楽しんでいらっしゃったのが印象的だった。
水族館が人々に伝え与えることのできることは限りない。と、確信したのでした。


アオッアオッ、アオッ!♪ 元気に行進するアシカたち。
イメージ 5

アシカたちの獣舎は最も海に近いところにあって、完璧に水没したのだけど、さすが海獣。
同じ時刻の社長の危機一髪も知らず、「うひょっ!プールが広くて深くなったぞ〜い!」とか言いながらはしゃいでいたのかもしれないなあw。


さて、今回、なんで西條社長の強運危機一髪物語を詳しく載せたのかというと、
一度ならずこれだけ修羅場をくぐり抜けるだけの、精神力と運を持った人だから、仙台水族館計画も必ずや成就すると言いたかったのw。
しかも、マゼラン海峡危機一髪をくぐり抜けてきた相棒のボクがプロデュースなんやから、強運+悪運のよさで、もう鬼に金棒、ダースベイダーにライトセーバーみたいなもの。

不滅のマリンピア松島から、東北の人々の心と未来を支える水族館の誕生へ、一気に駆け抜けますぞ!…の予感なわけです。



●マリンピア松島水族館の、これまでの記事と写真のリストはコチラ ⇒東北地方の水族館記事リスト



恥ずかしながらTwitter始めてみました…。
□オススメの水族館本(中村元著・監修)→水族館の本
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松島の観光船も再会したようですね

復興支援で松島観光に行ってみたいものです

2011/5/1(日) 午前 6:24 ○丸ちゃん○ 返信する

こんにちは☆私もそのうちゆっくりとマリンピアに行こうと思ってます(´Д`)飼育員従業員の方で自宅が被災した方実家が被災した方が多々いらっしゃると聞いてとても心配です(;д;)でも社長が無事で何よりでした♪

2011/5/1(日) 午前 9:46 [ みぃちゃん ] 返信する

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私も4月29日にマリンピア松島まで行ってきました。
新幹線は開通したけれど、ローカルの仙石線がいまだ不通という事でレンタカーで乗り込んだのですが、やはりまだまだ道中震災の爪あとが残っており、途中何度も涙が出てきてしまいました。

到着し、横断幕を見て「さあ、楽しむぞっ!」と乗り込んだのですが・・・逆でした、スタッフの方全員に楽しまされました。
来てくれたお客さん達に笑顔になって欲しいという気持ち・行動がたくさんあって、歓声にしろ拍手にしろ大人も子供も純粋な気持ちが出てました。
もう、ジーンと来てしまって・・・歳とって涙もろくなるのは嫌ですね(笑)

単純に「再開しました」というだけでは人の気持ちに訴えかけるようなことは絶対にないと思います。
やはり西條社長をはじめ、スタッフ一人一人の来てくれる人達への思いがあってこそだと思います。

こんなすばらしい一日を過ごさせてもらった水族館の移転計画・・・中村さんプロデュースの内容はもちろん凄く見たいのですが、なんか複雑な気持ちです〜(^_^;) 削除

2011/5/1(日) 午前 10:53 [ Elpaso ] 返信する

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こうして話だけ聞いてると、まるで映画か何かのような展開ですね。
それをこうして、話として聞けて、すげ〜!! と驚いていられるのも、
その社長さんが無事に生還されたからこそ、ですよね。
ホント、すごい体験ですよね。できれば、同じ目には合いたくないと思うような。

それにしても、ピラルクーや入ってすぐの魚たち、大丈夫だったんですね。
それもよかった!! 削除

2011/5/1(日) 午前 11:30 [ ミストラル ] 返信する

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そうだ、書き忘れていました。

28日に大洗からやってきたマンボウ。
最初は予備水槽で慣らすから見れないのかなぁ・・・と思っていたのですが、いきなりデビュー!!
元気よく泳いでいました〜♪ 削除

2011/5/1(日) 午後 3:14 [ Elpaso ] 返信する

丸ちゃん。松島は国宝の瑞巌寺も健在で開いているし、もう観光地として十分復活しています。
仙石線の開通がまだですが、東北本線で行くことができます。
被災地を物見遊山で見学に行く人たちが顰蹙を買っていますが、そんな無意味なことするくらいなら、松島観光に行ってあげて欲しいですよね。

ただ、旅館はほとんど、東松島から先の甚大な被害を受けた地域の、復旧工事関係者の方々の宿舎として満室のようです。

2011/5/1(日) 午後 10:25 kapaguy 返信する

Elpasoさんも行かれたようですね。ありがとうございます。
それにしても、よくレンタカーがありましたねえ。ボクはどれだけ探しても、全ての車種が満車状態だったので、東北本線で松島駅まで行き、タクシーに乗りました。

スタッフのみなさんの笑顔も、お客さんたちの笑顔も、他の水族館では見られないような弾ける笑顔でしたね。
水族館の可能性を再認識することができました。
あの笑顔をずっと続けるためには、ますます新たな計画が必要なのです。
生きているということは、新たな細胞に代わり、進化しつづけているということなのですからw。

2011/5/1(日) 午後 10:32 kapaguy 返信する

ミストラルさん。ホントに映画の脚本そのもの。しかもハリソン・フォードとかブルース・ウィルスが演じるような危機一髪の連続を、普通のおじさんが実際にやってのけたのだからスゴイ。
実際のところ、あまりに運の良さが重なっていて、話してくれたご本人もすっかり笑い話みたいになってしまっていましたw。

実はボクはこの話、仙台水族館成就とともに本当にドラマにしようと思っているのですよ。
そうすれば、人々に元気を与え、生きる喜びを感じさせることのできる水族館が、総合的に完成すると思うのです。

2011/5/1(日) 午後 10:50 kapaguy 返信する

あ、マンボウ!Elpasoさん、そうそう、ボクが行った次の日にマンボウが来ると聞きました。
マリンピアと言えばマンボウ!これは確かですものね。
ちゃんとやってきてよかったです。

2011/5/1(日) 午後 10:51 kapaguy 返信する

みぃちゃん。うっかりRES忘れするところでした。
ぜひ出かけてあげて下さい。
動物たちも、久々に人が来て嬉しそうにしていましたよ。

職員には、東松島に自宅のある方が少なくないので、様々な形での罹災があったようです。

2011/5/1(日) 午後 10:57 kapaguy 返信する

西條社長のお話、本当に大変な目に遭われたのですね。
みなさん、罹災された上でのマリンピア松島復旧オープン。本当に御苦労様です。
メディアでも大きく取り上げられていましたよね。
全体の復興は長い道のりでしょうが、こういうシンボリックな施設の復旧は力になりますね。
イロワケイルカさんは、小さくてすばしっこいから、見ていて元気になります。
ピラルクーさんは川魚だから、海水は入って来なかったのかな?
ドラドさんは黄金郷のエル・ドラドから来ているのかな?金ぴかで綺麗ですね。
タマカイさん。白浜アドベンチャーワールドに行った時に、天然クエがとても美味しかったのですが、この子も美味しそうですね。
アシカさんは記憶力が良いので、怖い目に遭った子は、辛かったようですが、元気な勇姿のお写真、良かったですね。アクアマリンふくしまの復興ブログを覗いてきましたが、鴨川シーワールドに避難していたゴマフアザラシのくららが赤ちゃんを産んだそうですね。みなさんが以前の生活に早く戻れますように。ポチ☆

2011/5/1(日) 午後 11:14 眼とろん星人 返信する

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今日、楽天イーグルスの応援のために日帰りで仙台に行ってきました。
仙石線が開通していればマリンピア松島にも行きたかったのですが。
開通している東塩釜まで行って往復してきましたが、
津波の痕跡がまだまだ生々しかったですね。
次回、仙台に行く時には必ずマリンピア松島に行きます。
5月下旬には高城町まで仙石線が復旧いたしますし。

マリンピア松島の現状と、西條社長が九死に一生をえたお話を
シンクロさせた構成には感動しました。ポチ。

2011/5/1(日) 午後 11:59 鉄平ちゃん 返信する

眼とろんさん。今年は暖かくなってきても、さすがに海の連想を避けたいという気持ちが強いのか、マスメディアでの水族館の話題が、例年の1割ほどしかありません。
そんな中で、マリンピア松島復旧のニュースは、例外的に多く露出していました。それだけ、東北での明るいニュースに、みんな飢えていたということでしょうね。
まだまだそれどころではない地域の方々はたくさんおられますが、未来に向かって日常を取り戻していくニュースは、被災地のみなさんにも全国の人々にも力を与えてくれます。
マリンピア松島に続いて、そんなニュースが次々に現れるようになるといいですね。
ポチ☆、ありがとうございました。

2011/5/2(月) 午後 8:58 kapaguy 返信する

鉄平ちゃんは、楽天イーグルスの応援ですか。今シーズンは「応援」という言葉に何重もの意味がありますね。
仙石線は、東塩釜からバスが代行運転をしていると聞きました。
でも列車の本数も少ないようなので、ボクがやったように東北本線で松島まで行き、そこからバスやタクシーが便利だと思います。

西條社長の話は、ホントはもっと面白く書けるる奇跡の積み重ねだったのですが、それは逆に、幸運を積み重ねることができた人だけが生き残れた酷い状況であったという証明でもあり、そう思ったら辛くなって、雑然とレポートするにとどめました。
いつか、そんな辛さが薄まる時が来るのでしょうかねえ。いや、ボクたちが、その日が来るようにしていかなくてはならないのですね。
ポチ、ありがとうございました。

2011/5/2(月) 午後 9:18 kapaguy 返信する

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社長さん、ものすごい強運の持ち主ですね。不運の上に幸運が何層も重なった感じでしょうか。
でもその運を掴めたのも、社長さんの意志と精神力の強さあってのことなんだろうなぁと思います。とはいえ、最後まで諦めなかったにもかかわらず無念にも力尽きてしまった方も多くいらっしゃると思うと言葉が出てきませんが・・・。

忘れてはいけないけれど、引きずるのもよくないですよね。
すぐにとはまいりませんが、計画を立てて単車で行ってみたいと思います。 削除

2011/5/5(木) 午前 11:59 [ よしのぼり ] 返信する

マリンピア、ゴールデンウィークは、仕事ですが、時間が出来たら是非行きたいです!ペンギンの餌付けが出来るって、テレビでやってたので、余計行きたいです

2011/5/5(木) 午後 0:05 みりおんばんぶー 返信する

よしのぼりさん。ホントは社長の強運はこれだけじゃなくてね、一昨年に掘って松島で初めて出た温泉が健在だったので、お水さえ出ないときに、そのお湯を使っていろんなものを洗えたということとか、まあ色々あるのですよ。
最悪の事態になったときに発動される強運を、「悪運が強い」と言うのでしょうけど、逆にそんな事態のときにでも幸運を呼び寄せる力というか芯の強さがあるということなのだろうと思います。

おっしゃるとおり、この大惨事を忘れてはいけないけれど、引きずるのはよくないです。引きずっている限り、幸運は訪れないと思うのです。
ぜひ、マリンピアに出かけて下さい。

2011/5/6(金) 午前 1:56 kapaguy 返信する

みりおんばんぶーさん。マリンピア松島はちょっと古くなってきている水族館ですけど、古ぼけてんではなくて、味が出てる古さです。
わざわざ行ってもらう価値は大ありですよw。

ところで、みりおんばんぶーさんはお好み焼き屋さんなのね?
それはぜひ伺わなくては!

2011/5/6(金) 午前 2:02 kapaguy 返信する

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