宇宙とブラックホールについてのQ&A

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自然科学の短歌・俳句から

毎日新聞2009年5月31日(日)
俳壇
 堀口星眠 選
   地底湖のマリンブルーや夏隣     (名古屋市) 浅井 清比古
・夏隣は「なつどなり」で「夏が近い頃」。当然晩春の季語。
テレビで地底湖の涼やかな色をご覧になったのでしょう。

 西村和子 選
   細胞の増ゆるみどりの日なりけり   (堺市) 柞山 敏樹
・選者評:若葉の成長を目のあたりにした実感。自然の一部としての人体にも同じことが言えそう。

歌壇
 伊藤一彦 選
   目の見えし頃の記憶を楽しげにわが夫話す星座の世界
                           (長野市) 大沢 喜美子
・天文ファンだったご主人が失明されたのですね。今でも心の眼でご覧になっているのかもしれません。

 篠弘 選
   エアコンの微風に電子天秤てんびんの最小桁なるゼロさだまらず
                           (川口市) 渡辺 栄治
・選者評:物体の質量を精確に測る装置。空調の風も影響するという。これから検査をはじめようとする緊張した瞬間。

日本経済新聞2009年5月31日(日)
俳壇
 黒田杏子 選
   満開の桜大樹と満月と           (東京) 岡本 和之
・選者評:満開の桜の上に照る満月はいつどこで眺めても息を呑む豪華な世界。過不足ない一行である。

歌壇
 岡井隆 選
   やわらかに春の野菜を煮るわれを月は見守るあたたかき宵
                             (東京) 池永 純子
・春の月はやさしいですね。「やわらかに」「見守る」「あたたかき」という語句の選択も効果的です。

読売新聞2009年6月1日(月)
俳壇
 正木ゆう子 選
   春の星「愛し合ってるかい」の声       (京都市) 峰尾 秀之
・選者評:「愛し合ってるかーい」は、五月二日に亡くなったロック歌手忌野清志郎さんの合言葉だった。今は星空から聞こえるあの声。

朝日新聞2009年6月1日(月)
歌壇
 永田和宏、佐佐木幸綱 選
   旧かなの名歌ワードで貯めるとき文語のあたり五月蝿うるさき波線
                              (東京都) 吉竹 純
・私もまったく同感。俳句、短歌用の安価なワープロソフトがあればいいのに。

 佐佐木幸綱 選
   清志郎の葬儀のニュース窓の外で大きな二重の月が見ている
                              (市川市) 内田 喜久子
・清志郎さんの葬儀は星や月と相性がよかったようです。この日は上弦の半月だったのですが、「二重」が分かりません。

読売新聞2009年5月25日(月)
俳壇
 正木ゆう子 選
   重力と浮力の狭間芥子けしの花       (青梅市) 青柳 富也
・花びらが落ちて水に浮いている様子を描写したものかと。
藤圭子の歌では赤い花ですが、赤から白に至るさまざまな色合いの種類があるようです。

歌壇
 俵万智 選
   カタクリがひっそり咲けば満月はレンブラントの光を放つ
                               (山形市) 粕屋 敏秋
・カタクリは「比較的日光の差す落葉広葉樹林の林床に群生し、早春に下を向いた薄紫から桃色の花を咲かせる」(wiki)
光の画家レンブラントの作品に満月自体は出てこなかったと思いますが、連想させるような光を放っていたのでしょう。

朝日新聞2009年5月25日(月)
歌壇
 高野公彦 選
   よくたべてうごいてないてよくだしてひとときねむるはるこいっさい
                                (東村山市) 矢部 仁美
・一歳の赤ちゃんの一日をうまく描いています。ひらがなもぴったりですね。お母さん、お疲れさまです(^^

 永田和宏 選
   観覧車回らず朽ちしそのままにチェルノブイリ事故より二十三年
                                (高岡市) 蓮花 静子
・選者評:もう二十三年かと思うが、依然汚染は続き、観覧車も放置されたまま。

   解剖の蛙ひくりと動きけり生物室に新緑まばゆし
                                (浜松市) 松井 恵
・おそらくピクリと動いた蛙の皮膚も緑なのでしょう。外の新緑を反映しているかのように。

日本経済新聞2009年5月24日(日)
歌壇
 穂村弘 選
   理科室のドアの取っ手は重たくていつもけものの匂ひしていた
                                 (仙台) 間 啓
・選者評:「ドア」の重さと「けものの匂ひ」という組み合わせの妙。

毎日新聞2009年5月24日(日)
歌壇
 伊藤一彦 選
   やみくもに大量発生して増えた生き物のような高原の星
                                 (町田市) 宮沢 洋子
・ふだん星を見る機会も星の見えるきれいな空ももたない都会人が高原で休暇を過ごすと、こういう印象を抱くのですね。これも一つの感性でしょうが、寂しいです。

 河野裕子 選
   はや外はおぼろ月夜となつてゐる地下の読書室の鍵かけて
                                 (奈良市) 杉田 菜穂
・おそらく文献を並べて論文の執筆に根を詰めていたのでしょう。ようやく区切りがついて外に出ると、ほっとさせるような朧月夜。

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