[東京 25日 ロイター] 来週のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市
場では、ギリシャなどユーロ圏情勢の不透明さを背景に、プレミアムは高水準で推移する
見通し。信用リスクを払しょくさせるユーロ圏共同債への期待感が膨らんでいるものの、
独仏対立などユーロ圏内の調整が難航するとの不安感も根強い。ユーロ圏離脱を含めたギ
リシャの将来を占う議会再選挙が行われる6月17日まではリスク選好しにくいとの声も
聞かれる。
CDS市場で指標となるiTraxxJapanシリーズ17ITJJP5Y=GFのプレミア
ムは今週、217ベーシスポイント(bp)の高値からタイト化基調をたどり、200b
p付近にまで低下した。日経平均
.N225がさえない動きをしたものの、「急激なワイド
化への巻き返しとともに、23日に行われた欧州連合(EU)首脳会議(非公式)への政
策期待がワイド化の勢いを抑え込んだ」(市場筋)との声が聞かれた。幸いにも追加の悪
材料が出さなかったこともあって、プレミアムが一方的に上昇することもなかったという。
もっとも、信用リスクを積極的に取れる局面にないことは明らか。18日に付けたシリ
ーズ17としての最高値220bpから20bp程度もタイト化したものの、プレミアム
の絶対水準は依然として高い。200bpを割り込んだとしても低下のトレンドを確認す
るまでの状況に至らない。「ギリシャ、スペインなどユーロ情勢をめぐる不安が根強くあ
るほか、円高を背景とした株価の下押し圧力がかかりやすいことから、引き続きワイド化
を意識せざるを得ない」(外資系証券)との指摘が出ていた。
プレミアムを左右する最大の材料はギリシャ情勢。ギリシャの将来を占う6月17日実
施の議会再選挙への警戒感がくすぶる。緊縮財政派が政権を握れば当面の危機は遠のくも
のの、過半数を獲得できる政党が現れなければ連立政権協議へと進む。前回の選挙で、緊
縮財政派と反緊縮財政派が譲歩できなかっただけに、妥協策を見つけ出すのはたやすいこ
とではない。政権を発足することができなければ、再々選挙も視野に入る。政治空白が生
まれ、政局の混乱が長引けば、EUなどからの追加支援を得られないリスクが高まる。
仮に反緊縮財政派が勝利して政権党となった場合、EUなどと合意した緊縮財政策の見
直し交渉へと突き進む可能性が高まる。EUやドイツなどとの交渉で譲歩策を引き出せる
かどうかが課題。一方で、ドイツなどの抵抗により交渉決裂となれば、財政支援策の凍結
も現実味を帯びる。ドイツ連銀が23日発表した月報はギリシャ情勢について「極めて懸
念される」とし、ギリシャは2回にわたる支援と引き換えに合意した改革を履行しない恐
れがあり、これでは支援の継続的な実施は難しくなると指摘している。ギリシャがユーロ
圏を離脱した場合に備えた緊急対応策を準備する動きも警戒感を高める要因となっている。
ユーロ圏共同債への期待は大きい。23日の首脳会議では、通貨統合に見合う経済統合
の強化で合意したとし、そのための構想を6月に公表する方針。フランスのオランド大統
領は24日、EU首脳会議閉幕後に、記者団に対して経済統合に向けた次の措置としてユ
ーロ圏共同債を提案したと述べている。次回のEU首脳会議は6月28─29日にブリュ
ッセルで開催される予定となっている。
ただ、ユーロ圏共同債に対する独仏の考え方にはなお大きな隔たりがあり、歩み寄る気
配は感じられない。「次回の会合までにユーロ圏共同債の実現に向けた議論をどこまでま
とめられるかがポイント。これまでと大差ない内容にとどまるようだと、信用不安が再び
拡大しかねない」(大手証券)ため、討議の成果がこれまで以上に求められる会議となり
そうだ。
ギリシャほどではないが、スペインへの警戒感も出ている。マイナス成長が続く経済は
厳しさを増すうえ、不動産バブルのツケが銀行に重くのしかかる。スペインがギリシャ、
アイルランドのような事態に陥る可能性は低いものの、輸出が伸びなければ経済の停滞は
避けられないとの警戒感はあるようだ。
ユーロ圏以外の材料としては、6月1日発表の5月米雇用統計、5月米ISM製造業景
気指数などの経済指標が注目される。
<一般債、底堅い需給環境を維持>
一般債の需給がさらに緩むことは避けられそうだ。新発債の募集が相次ぐなど荷もたれ
感が一部に出はじめているが、国債金利の低下に歯止めがかかっているほか、余剰資金を
抱える投資家からの根強い買い需要が需給を下支えする。
一般債の需給に関して、みずほ証券・金融市場調査部チーフクレジットアナリストの香
月康伸氏は「金利低下に対する抵抗感はあるものの、新発債の売れ行きは総じて順調」と
指摘。もっとも、先行きを懸念する見方がないわけではない。5年債の大量起債が継続す
る見通しにあり、需給の悪化要因になりかねないとの声も聞かれた。
<来週もSB起債が相次ぐ、ソフトバンクなど予定>
来週の起債市場では、今週と同様に国内普通社債(SB)の条件決定が相次ぐ見通し。
目下、SBでソフトバンク(9984.T:
株価,
ニュース,
レポート)<0#9984=JFI>(期間3年・5年・7年、発行額各
100億円、300億円程度、100億円程度)、電気化学工業(4061.T:
株価,
ニュース,
レポート)<0#4061=JFI>
(5年、100億円)、三井倉庫(9302.T:
株価,
ニュース,
レポート)<0#9302=JFI>(6年、100億円)、コクヨ
(7984.T:
株価,
ニュース,
レポート)(5年、100億円)、東京急行電鉄(9005.T:
株価,
ニュース,
レポート)<0#9005=JFI>(10年・15年、
各100億円)、オリックス(8591.T:
株価,
ニュース,
レポート)<0#8591=JFI>(5年、100億円程度)、劣後債
でみずほ銀行<0#8413=JFI>(10年、300億円以上)、サムライ債(円建て外債)で
メキシコ合衆国(3年・5年、各50億円)、地方公共団体金融機構債券で地方公共団
体金融機構<0#0906=JFI>(20年、200億円程度)が起債する方向にある。