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ぼくらの60’s & 70’s・・・そして今。
ぼくらが高校時代を過ごした60〜70年代から今に至る個人的なエピソードを音楽・映画・CM等のフィルターを通して綴ります。

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前回からのつづき



あるメロディラインが頭の中をぐるぐると駆け回っている。

ぼくはこのころの新宿を思い出すたびに、このメロディとサキソフォーンの音が脳髄の奥からにじみ出てくるような感覚を覚える。

メロディは「ジャイアント・ステップス」だ。ジョン・コルトレーンのリーダーとしての名声を不動のものにしたアルバムとして、今も名盤と記されている。↓




 
コードは、短三度四度進行と呼ばれ、コルトレーンによって確立され「ジャイアント・ステップス進行」として、今ではバークリーの音楽院などでもテキストとして教えられている画期的な奏法・・・だということだ(申し訳ない!音楽の成績はあまりよくなかったので、このあたりの話はライナーノーツからの受け売りだ!!)。

なんでも、AからG#までのコードを12時間の時計の文字盤に置き、対角線上のコードをロータリーエンジンの如く、ぐるぐると1時ずつずらしながら演奏するという(これはぼくの勝手な解釈なので間違っていたらごめん!)奏法らしい(先の動画で譜面を見ながら聞くと分かりやすいかもしれない)。

この曲と初めて接し、いや、ジョン・コルトレーンというミュージシャン、いや、そもそもジャズという存在を初めて教えてくれたのが、“DUG”だった。


細長い新宿紀伊国屋を通り抜けた裏、すぐ右横のビルの地下。その日、思いがけずに入り込んでしまった薄暗い喫茶店は、新宿のジャズ喫茶のメッカでもあった。

オーナーは、写真家の中平穂積。1961年に同じく新宿でDIG(ロールキャベツで有名だったアカシアの3階にあった)をオープンし、伊勢丹裏のDUGは、1967年に開いたのだという。
 
マッチは和田誠がデザインしたものだった。

セロニアス・モンクのアルバムに「ジャパニーズ・フォーク・ソング」として、滝廉太郎の「荒城の月」が収められているが、↓





あれは、中平オーナーがDIGにモンクとホレス・シルバーが





来店したおりに、オルゴールでプレゼントしたものがアレンジされたものだという話だ(嘘か本当かは知らないけれど・・・だって、オルゴールからのコピーにしては細部まで細かく演奏してるしねえ?!)。

ま、滝廉太郎もモンクによってジャズにされてしまうとは思ってもみなかっただろうね。

オープンのその年、DUGではスタン・ゲッツと




チック・コリアがセッションをし、中平オーナー自らがフィルムに納め店の壁に飾っていた。

奇しくもこの年、ジョン・コルトレーンは肝臓がんのため40歳という若さで急逝する。

前年初めての日本公演で、記者たちのインタビューに答えたとされる「私は聖者になりたい」というコルトレーンの一言は、伝説としてのちのちまで語り伝えられることになる。ちなみにこの言葉は、「10年後のあなたはどんな人間でありたいと思いますか?」という問いに答えたものだった。

65歳まで現役のプレイヤーでありつづけたマイルス・デイビスとは3ヶ月違いの同い歳で、あまりにも惜しまれる生涯だった。


ぼくは、マイルスが体調を崩し、ほぼ6年間の沈黙を経て1981年に日本公演が実現されたときに、これが帝王の最後の姿になるんじゃないかと思い、コンサートを見に行ったことがあった(実際マイルスは1975年に引退宣言をしていた)。

場所は都庁が出来る前の空き地で、都庁予定地だった。周りは鉄柵で囲まれ、砂利を敷き詰めた上にパイプ椅子を並べただけの客席と、鉄パイプを組み重ね作られた簡単なステージだけという殺風景なものだった。

ありったけの小銭もかき集め、やっと手に入れたプラチナチケットだったせいもあり、頭がパンクしそうなほど期待していたマイルスのステージだったのだが、内容は最悪!何よりも、日本人を小馬鹿にしたようなマイルスのステージ態度には腹が立つほどだった。

病み上がりのせいもあったのだろうし、吹きっさらしの寒い夜でもあった。しかしそれ以前に、マイルスは、まったくやる気がなく、ペットの音もかすかすにしか出せなく、ステージではバンドに八つ当たりし、観客はほとんど無視した演奏だった。もちろんアンコールも無視、遅れてきたにもかかわらず、早めに演奏を終え、客席も振り向かずにさっさとステージを降りて帰ってしまった。

のちに誰かが、「悪夢の新宿西口ライブ」と名づけていたが、あれほど落胆させられたステージは後にも先にも初めてのことだった。


あれ以来、マイルスに対するぼくの人としての思いはいまいち好くない。ぼくのなかでは、コルトレーンとはここで差がついてしまっていた。


そのころのマイルスのインタビューだ。↓





つづく

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