K's Cycle Talk 2011

突然“播磨の国”の住人になった道産子kazが、ロードバイクやロードレースの雑感をつづるブログです

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ツール・ド・フランス回顧(その1)

 ツールが終わって4日……。
 正直、自分から見て、あまりにすごいレースになりすぎて、何も書くことができなかった。
 てなわけで、ずいぶん遅くなってしまって、申し訳ないです。
 (ついでに、かなりの長文になってしまいました)

 まず、なんといっても、すごかったのは総合優勝したサストレとチームCSC/サクソバンク。サストレが勝った17ステージの段階で予感はあったけど、本当にこのまま行ってしまった。
 繰り返すようだけど、このレースはCSCチームの勝利でもあり、また同時にサストレの勝利でもあるように思う。
 何しろ、傍目から見てもチームワークの良さが違いすぎた。カンチェラーラが名手フォイクト共々あえて超級山岳で“鬼引き”し、勝負どころの山岳にはサストレとシュレック兄弟が控えている。もちろん、ノルウェー王者のアルヴェセンに名スプリンターのオグレディ、そしてソレンセンとグストフといった実力者が、彼らエース+スーパーアシストたちの脇を固めている。おまけに、いくつも切り札を用意して“プランAがダメならプランB、それでもダメならプランC”といった感じで、チーム一丸となってレースを作った。
 おまけに、それだけハードに仕事をしたにもかかわらず、全員そろってシャンゼリゼにゴールし、チーム賞も獲得。昨ツールは歯車がかみ合っていなかったけど、その歯車がかみ合ったときの世界最強チームの実力を、今ツールのCSCは大いに見せ付けたように思う。

 それに比べれば、ライバルたるサイレンス・ロットやラボバンク、ケスデパーニュといったチームの動きは、あまりにちぐはぐに見えた。
 まずサイレンスについていえば、持ちカード自体はポポヴィッチ、アールツ、チオーニ、ホステ、ブラント、マキュアンといったように多かったように思う。しかし、16ステージのポポヴィッチの逃げに代表されるように、いまいち何をしたいのかわからない攻撃をするなど(おまけに、ポポの攻撃はいまいち不発……)、せっかくの濃いメンバーの持ち味を生かすことができなかったように思う。
 また、ラボバンクは、今回の持ちカード自体が足りなかったように見えた。なにしろ、去年のボーヘルト(引退したけど)やデッケルといったようなスーパーアシストといえる選手が見当たらなかったのだから。それで、何となくCSC任せでズルズル行ってしまって、結局後手後手のまま好機を逃したように思う。
 そしてケスデパーニュは、前半で頑張りすぎたような気がする。もちろん、それはそれでいいレースをしてくれたけど、もう少し「俺たちのバルベルデを勝たせるんだ!」という意思を持ったレース運びをしてくれてよかったのではないだろうか。もちろん、バルベルデの不調、ペレイロのクラッシュリタイアという不運もあったけど、前半が良かっただけに、なおもったいなかったような気がする。

 ただ、いくらチームワークが良くても、やっぱり個人の実力がないとツールは勝てない。その意味で、今回のサストレはかなり切れていたと思う。何といっても、あのラルプ・デュエズでの登りは、ライバルたちがそこそこ調子よくても追いつけなかったような気がする(タイム差はもっと詰まったかもしれないけど)。
 そもそも、今回の上位選手の中で、ステージ優勝を挙げたのはサストレだけだ。もちろん、バルベルデも前半でステージ1勝するなど活躍したし、ピレネーでは“あの”サウニエル勢の大暴れがあったけど、肝心の勝負どころでは有力勢が皆牽制してしまっていた。その消極性が、サストレの一撃でライバルたちがノックアウトされた大きな原因だったように思う。
 もちろん、アルプスを越えれば、まだタイムトライアルが残っているから、そこで挽回できる、という読みも、エヴァンスやメンショフにはあったのではないだろうか。しかし、あの“ラルプ”の攻防を見る限り、自分はその可能性はそれほど大きくないと思っていた。なにしろ、軽々と登っていったサストレに対し、エヴァンスはいっぱいいっぱいになってしまい、メンショフにいたっては途中で脱落したほどだ。この足を見る限り、自分には、この2人のマイヨ・ジョーヌは期待薄なように思えたし、事実そうなった。
 その意味で、この勝利は、やはりサストレ自身が引き寄せたものであるように思われる。したがって、ステージを取れなかったシュレック兄やエヴァンス、メンショフではなく、サストレがマイヨ・ジョーヌを獲得したのも当然のことだったのではないだろうか。

 一方、平地は、結局終始カヴェンディッシュにかき回されて終わったように思う。
 昨年のツールでは事実上自滅して終わったカヴだが、今年のジロで本当に一皮剥けたように見えた。そして、ツールでもう一皮剥け、終わってみればステージ4勝。あの勢いを見る限り、たとえボーネンやベンナーティ、ペタッキがでていたとしても、勝てなかったのではないかと思う。
 途中リタイアは惜しかったが、それでも、来シーズン以降にもっと期待が持てそうな気がする。本当にすごい選手が現れたものだ。
 かといって、他のスプリンターがだらしなかったようには見えない。フースホフトもしょっぱなの第2ステージで1勝しているし、ツァベルやフェイユ、スティーグマンなど、かなり役者はそろっていて、実際、勝負自体は非常に面白かったように思う。今回に限っていえば、カヴが強すぎたといえるだろう。
 しかし、その中で、試合巧者振りを見せたのがフレイレ。カヴが4勝してさえ、ポイント賞では1勝のみの彼に歯が立たなかったし、何といっても今回は、過酷な山岳を見事に乗り切ってしまった(しかも、簡単にグルペット入りしないほどだったし)。今ツール前に“体調万全なら怖い1人”に挙げていたフレイレだったけど、その“まさか”を本当にやってしまった。やはり3度の“アルカンシェル”は伊達ではない。
 逆に、あれれ、と思ったのがマキュアンにハンター、フェルスター(ゲロルシュタイナー)、そしてスティーグマン。
 まずマキュアンからいうと、持ち前の瞬発力をほとんど完全に失ってしまったように見えた。持久力は年齢を重ねてもある程度なら維持できるが、瞬発力は年齢と共に失われて戻らない、といえるだけに、ついにマキュアンにもそのときが来たのかな、という気がしないでもない。それでも、あの“列車タダ乗りの術”をまた見せてほしかっただけに、なんとも残念だ。来期移籍する(「CYCLINGTIME.com」より)というけれども、そこで復活してほしいものである。
 ハンターは、自分のチーム「バルロワールド」が不運続きだったのが祟ったのかもしれないが、去年のあの勝負強さがまったく影を潜めてしまったのはなんとも残念である。スティーグマンは最後の最後でやってくれたけど、仕掛けが早すぎたり遅すぎたり、と、僚友ボーネンに比べて勝負勘に問題があったように思う。フェルスターに至っては、僚友ハウッスラーに完全にお株を奪われていた。
 やはりスプリンターたちにも、世代交代の波がやってきたようだ。

 他の選手でいうと、総合3位、山岳賞獲得のコールは、かなりいいレースをしたように思う。特に、アルプスでの積極性はかなり光っていた。これで、ステージ優勝も数えられるような選手になり、さらにチームワークも改善されれば、マイヨ・アポアはおろか、マイヨ・ジョーヌも見えてくるのではないだろうか。
 勝利を数えられるようになれば……、という意味では、シュレック兄弟もそうだ。たしかに2人の活躍はすごかったけど、もう少し積極的にステージ勝利を狙ってくれてたら、もっとすごいことになったような気がする。その意味では、自分自身の戦術を確立する必要があるかもしれない。それでも、兄フランクの暫定マイヨ・ジョーヌ、そして弟アンディの新人賞獲得は、十分賞賛されてしかるべきものだが。
 他に、序盤で大暴れしたキルシェン、TTを2つとも取ってしまったシューマッハ、大逃げかまし続けた末に勝利を勝ち取ったシャヴァネルや“小さな大逃げ屋”デュムラン、勝利を亡き兄に捧げたルイスレオン・サンチェス、クネクネゴールを“巧み”な戦術で制したデッセルなど、今ツールは役者ぞろいだったのは間違いない。

 それにしても、チームカーを赤玉模様にして見たり(もちろんゲロル)、バーテープを黄色でそろえてみたり(もちろんCSC)、バイクの人とヘルメットを交換してみたり、シャンペンで乾杯したり、やっぱり最終日は、皆さんあれこれやってくれます。(フォイクトの“サドル行方不明”はびっくりしたけど)
 これで、ウィム・ヴァンセヴェナント選手(サイレンス・ロット:総合最下位)が“赤提灯”でおどけてくれたら、個人的にはもっと面白かったけど。(……ヴァンセヴェナントさん、ごめんなさい。(^^;; :そういえばこの人、今年で引退だそうな)


 そのほか、あれこれあったけど、続きは「その2」にて。

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