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最終回はファン限定にしようと思ったんだけど、ファンで無い人もコメントしたいという要望がゲスブにいくつかあったので最終回は公開にします。
ある日のこと、その佐藤さんから電話が来た。
電話で話す限り明るくて、犬を大事にしてる人だと思った。
佐藤さんが飼ってるビーグルはメスで名前を花子と言った。実にありきたりである。
名前だけで判断してはいけないが、取ってつけたような簡単な名前を付ける人で犬を大事にするひとは少ない。命名というとおり、名前には命が宿ると考える私は自分の大事な犬に簡単な名前は付けたくない。
ラブラドールの「ラブ」 ゴールデンの「ゴル」 白い犬に「シロ」黒い犬に「クロ」 太郎に次郎。グレートデンに「デン」って言うのもいたな。
まぁそういう名前を聞くと「こいつ本当に自分の大事な犬に付けようとした名前なのか?」と思う。
覚え易いが愛情は感じられない。
「何でその名前にしたんですか?」と名前の由来を聞きたくなるような名前というのが私は好きだ。
花子が悪いわけではないが、印象的にはあまりよろしくない。
かといって犬が悪いわけでもないので名前ぐらいで差別することは無い。しかし飼い主は要注意だ。
私の意に反するように佐藤さんは犬を大事にしている人だと思った。名前だけで判断してはいけないなと反省する私だった。
預ける際には絶対にケージに入れないで欲しい。
水は○○産の水を持っていきますからそれを使ってください。
ドッグフードは高級なオーガニックのものと手作りのオジヤを冷凍してあるので解凍してサプリメントと一緒に混ぜてください。
テレビを良く観るのでテレビを見せてあげてください。
ブラッシングは必ずしてください。
便の調子が知りたいので捨てずに取って置いてください。
寝る時に犬に良いヒーリングCDを聴かせて寝かせてください・・・・・
まぁ後にも先にもこんな煩い客はいなかった。
いないけれどもその愛情が嬉しかった。探そうったって中々そんな人はいない。
ここまで愛情かけるというのは犬を愛するが故であろう。
それならその気持ち受けて立ちましょう。
飼い主が希望するとおりに花子を預かった。
その後もうちを大変気に入ってくれ、およそ10年ぐらいの付き合いになった。
旅行に行って帰ってくると必ず高そうなお土産を買ってきてくれて家族同然のような付き合いだった。
しかし花子も年を取るにつれ、飼い主の旅行の頻度も年々少なくなった。
そしてある時からバッタリ来なくなったので電話した所、花子も年を取ってしまって心配だから旅行には行かずに最期まで大事にしようと夫婦で決めたということだった。本当に心から花子を愛してるんだと感じ取れた。
そして花子が17歳で旅立ったと風の噂で聞いた。
17歳とはビーグルとしても犬としても長寿の部類だ。愛情の賜物以外何があるだろうか。
私は花束を購入して佐藤さんのお宅へ向かった。
佐藤さんは辛くて私に連絡することすらできずにいたと言う。
私が向かった時は花子が死んで2週間ぐらいが過ぎた時だった。
佐藤さんは私の顔を見るなり泣き崩れ、「死にたい、花子と一緒の世界に行きたい」と自殺をほのめかす発言までするぐらいのペットロスになっていた。
私は佐藤さんを諭し、落ち着かせて花子の思い出話を聞いてあげることにした。
ペットロスの人に効く処方は話をとことん聞いてあげること。そしてさっさと次の犬を迎えることだ。
しかし現実逃避してる人には目を覚まさせることが先決である。そういう人には少々喝を入れてやる。
メソメソしても命は戻らない。命を理解していれば自分が死にたいなどと思うことは無い。
私は3時間ほど写真を見ながら話を聞いてあげた。写真も段ボール箱5,6箱あっただろうか。
「これは○○へ行ったときの写真」 「これは○歳の時のお誕生日パーティー」 「これはみんなでバーベキューに行った時の写真」 「これは・・・・これは・・・・」
写真を見ながらまた大号泣してしまう佐藤さん。花子が死んだのは相当ショックだったと計り知れる。
私も数多くの犬を見送ったからその気持ちは良く分かる。血統の良い犬を繁殖するのがブリーダーだと思ってる奴がこの世の中多いが、私は犬を亡くして他の犬の飼い主と同じ気持ちになれて初めてブリーダーだと思う。
外国から最高の犬を輸入しました!犬に拘ってます!水に、フードに拘ってます!血統が良いです!
と、ほざくブリーダー?は多いが、ショーを引退した犬を誰かにあげたり、はたまたブリーダー始めて間もないから犬を亡くした経験がないのにブリーダーと名乗っちゃってる奴。大概そういう奴に限って拘りとか、薀蓄は煩いものだが、大事な何かを忘れているものだ。
血統やら水やらフードやら環境やらに拘るのはブリーダーとして当たり前のこと。それよりももっと大事なものを身に付けていないことを気付いていないブリーダーもどきが非常に多いのが残念でならない。
私は犬を亡くした経験が五万とある。その他の大事な動物を亡くした経験もある。だから同じ舞台で同じ目線で悲しみ、泣くことができる。
ブリーダーとして、犬を知っている人としてではなく、犬を亡くした経験のある先輩としてできるだけのアドバイスをしてあげた。
佐藤さんは安心したようで落ち着いてきた。
話に夢中になって花子に花束とお線香をあげるのを忘れてた。
私は花子の写真の前に座り、少しばかり思い出を回想して花束を横に置き、線香に火を点け手を合わせた。
「花ちゃん・・・・さようなら・・・・・」
そして振り返り、私はこんなことを聞いた。
犬 「花ちゃんどこのお寺さんで火葬したんですか?」
佐 「お寺さん?お寺さんではないです」
最近は車で火葬しに着てくれる業者もいる。
犬 「あれですか?車で火葬しに来るペット火葬カーみたいな奴ですか?」
佐 「ペット火葬カー?」
犬 「分からなかったら言ってくれれば良いお寺さん紹介したのに」
佐 「火葬なんかしてないですよ」
犬 「あぁ、埋めたんですか?あれも掘るの大変でしょ」
佐 「いいえ、持って行ってもらいましたよ」
犬 「なんだ、やっぱり火葬カー頼んだんですね」
佐 「いいえ、火曜日に燃えるゴミの日に持っていってもらいましたよ。電話したら大丈夫って」
犬 「へ?」
佐 「確かに花子は可愛かったですよ、でも死んでしまったら肉の塊ですものね。」
犬 「マジで?」
私はそれを聞いて出て行った。こんな奴と一緒にいたら頭がおかしくなりそうだ。
あの涙、ペットロスはなんだったんだろう?それとこれとは別なんだろうか?理解しがたい。
飼い主それぞれ考え方はあって、火葬すること、土葬すること全てが正しいわけではないのかもしれない。私は常日頃「葬り方は人それぞれ」と言うが、生ゴミ・・・・はどうだろうか?
私は無宗教だからどんな方法も良いとは思うのだが、流石にゴミとしては出せないな・・・・・
とんだビックリ飼い主に遭遇した話でした。後味悪っ
終わり
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