愛を知らないワンコたち

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26話、へ?マジで? その2 最終回

最終回はファン限定にしようと思ったんだけど、ファンで無い人もコメントしたいという要望がゲスブにいくつかあったので最終回は公開にします。










ある日のこと、その佐藤さんから電話が来た。
電話で話す限り明るくて、犬を大事にしてる人だと思った。
佐藤さんが飼ってるビーグルはメスで名前を花子と言った。実にありきたりである。

名前だけで判断してはいけないが、取ってつけたような簡単な名前を付ける人で犬を大事にするひとは少ない。命名というとおり、名前には命が宿ると考える私は自分の大事な犬に簡単な名前は付けたくない。
ラブラドールの「ラブ」 ゴールデンの「ゴル」 白い犬に「シロ」黒い犬に「クロ」 太郎に次郎。グレートデンに「デン」って言うのもいたな。
まぁそういう名前を聞くと「こいつ本当に自分の大事な犬に付けようとした名前なのか?」と思う。
覚え易いが愛情は感じられない。

「何でその名前にしたんですか?」と名前の由来を聞きたくなるような名前というのが私は好きだ。
花子が悪いわけではないが、印象的にはあまりよろしくない。
かといって犬が悪いわけでもないので名前ぐらいで差別することは無い。しかし飼い主は要注意だ。

私の意に反するように佐藤さんは犬を大事にしている人だと思った。名前だけで判断してはいけないなと反省する私だった。

預ける際には絶対にケージに入れないで欲しい。
水は○○産の水を持っていきますからそれを使ってください。
ドッグフードは高級なオーガニックのものと手作りのオジヤを冷凍してあるので解凍してサプリメントと一緒に混ぜてください。
テレビを良く観るのでテレビを見せてあげてください。
ブラッシングは必ずしてください。
便の調子が知りたいので捨てずに取って置いてください。
寝る時に犬に良いヒーリングCDを聴かせて寝かせてください・・・・・


まぁ後にも先にもこんな煩い客はいなかった。
いないけれどもその愛情が嬉しかった。探そうったって中々そんな人はいない。
ここまで愛情かけるというのは犬を愛するが故であろう。
それならその気持ち受けて立ちましょう。
飼い主が希望するとおりに花子を預かった。

その後もうちを大変気に入ってくれ、およそ10年ぐらいの付き合いになった。
旅行に行って帰ってくると必ず高そうなお土産を買ってきてくれて家族同然のような付き合いだった。
しかし花子も年を取るにつれ、飼い主の旅行の頻度も年々少なくなった。
そしてある時からバッタリ来なくなったので電話した所、花子も年を取ってしまって心配だから旅行には行かずに最期まで大事にしようと夫婦で決めたということだった。本当に心から花子を愛してるんだと感じ取れた。

そして花子が17歳で旅立ったと風の噂で聞いた。
17歳とはビーグルとしても犬としても長寿の部類だ。愛情の賜物以外何があるだろうか。
私は花束を購入して佐藤さんのお宅へ向かった。

佐藤さんは辛くて私に連絡することすらできずにいたと言う。
私が向かった時は花子が死んで2週間ぐらいが過ぎた時だった。
佐藤さんは私の顔を見るなり泣き崩れ、「死にたい、花子と一緒の世界に行きたい」と自殺をほのめかす発言までするぐらいのペットロスになっていた。

私は佐藤さんを諭し、落ち着かせて花子の思い出話を聞いてあげることにした。
ペットロスの人に効く処方は話をとことん聞いてあげること。そしてさっさと次の犬を迎えることだ。
しかし現実逃避してる人には目を覚まさせることが先決である。そういう人には少々喝を入れてやる。
メソメソしても命は戻らない。命を理解していれば自分が死にたいなどと思うことは無い。
私は3時間ほど写真を見ながら話を聞いてあげた。写真も段ボール箱5,6箱あっただろうか。

「これは○○へ行ったときの写真」 「これは○歳の時のお誕生日パーティー」 「これはみんなでバーベキューに行った時の写真」 「これは・・・・これは・・・・」

写真を見ながらまた大号泣してしまう佐藤さん。花子が死んだのは相当ショックだったと計り知れる。
私も数多くの犬を見送ったからその気持ちは良く分かる。血統の良い犬を繁殖するのがブリーダーだと思ってる奴がこの世の中多いが、私は犬を亡くして他の犬の飼い主と同じ気持ちになれて初めてブリーダーだと思う。

外国から最高の犬を輸入しました!犬に拘ってます!水に、フードに拘ってます!血統が良いです!
と、ほざくブリーダー?は多いが、ショーを引退した犬を誰かにあげたり、はたまたブリーダー始めて間もないから犬を亡くした経験がないのにブリーダーと名乗っちゃってる奴。大概そういう奴に限って拘りとか、薀蓄は煩いものだが、大事な何かを忘れているものだ。
血統やら水やらフードやら環境やらに拘るのはブリーダーとして当たり前のこと。それよりももっと大事なものを身に付けていないことを気付いていないブリーダーもどきが非常に多いのが残念でならない。

私は犬を亡くした経験が五万とある。その他の大事な動物を亡くした経験もある。だから同じ舞台で同じ目線で悲しみ、泣くことができる。
ブリーダーとして、犬を知っている人としてではなく、犬を亡くした経験のある先輩としてできるだけのアドバイスをしてあげた。 

佐藤さんは安心したようで落ち着いてきた。
話に夢中になって花子に花束とお線香をあげるのを忘れてた。
私は花子の写真の前に座り、少しばかり思い出を回想して花束を横に置き、線香に火を点け手を合わせた。

「花ちゃん・・・・さようなら・・・・・」



そして振り返り、私はこんなことを聞いた。

犬 「花ちゃんどこのお寺さんで火葬したんですか?」

佐 「お寺さん?お寺さんではないです」

最近は車で火葬しに着てくれる業者もいる。

犬 「あれですか?車で火葬しに来るペット火葬カーみたいな奴ですか?」

佐 「ペット火葬カー?」

犬 「分からなかったら言ってくれれば良いお寺さん紹介したのに」

佐 「火葬なんかしてないですよ」

犬 「あぁ、埋めたんですか?あれも掘るの大変でしょ」

佐 「いいえ、持って行ってもらいましたよ」

犬 「なんだ、やっぱり火葬カー頼んだんですね」

佐 「いいえ、火曜日に燃えるゴミの日に持っていってもらいましたよ。電話したら大丈夫って」

犬 「へ?」

佐 「確かに花子は可愛かったですよ、でも死んでしまったら肉の塊ですものね。」

犬 「マジで?」


私はそれを聞いて出て行った。こんな奴と一緒にいたら頭がおかしくなりそうだ。
あの涙、ペットロスはなんだったんだろう?それとこれとは別なんだろうか?理解しがたい。
飼い主それぞれ考え方はあって、火葬すること、土葬すること全てが正しいわけではないのかもしれない。私は常日頃「葬り方は人それぞれ」と言うが、生ゴミ・・・・はどうだろうか?
私は無宗教だからどんな方法も良いとは思うのだが、流石にゴミとしては出せないな・・・・・
とんだビックリ飼い主に遭遇した話でした。後味悪っ




終わり

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第25話、へ?マジで? その1

この話はとっくに記事にしてるものだと思ってたんだが、過去記事探しても無かったので書くことにしよう。
それにしても私の中でかなり衝撃的な話だったのに、この話を記事にしてないなんて驚きだ。
そんな私が驚いたエピソードを話そうではないか。

世の中 「へ?マジで?」 と、言いたくなるような人間は沢山いる。
特に私のような職業は趣味の世界なので色んな ”変わった人” を見ることがよくある。
よくあると言っても、そうしょっちゅうあっても困るのだが時は気まぐれで、私に休息の時間を与えてくれない。次から次へと日常茶飯事ある変てこな私の生活にその出来事は起こる。

近所に長尾さんという60代の夫婦がいる。近所と言っても歩いて8分ぐらいかかるのだが、こちらでは近所の8分なんて近い近い。その夫婦が飼っているのがビーグルのボス。
ボスは家の中で飼われているのだが、ここら辺では玄関なんて開けっ放しの家が多いし、車なんて滅多に通らないので半分放し飼い状態である。

たまにボスが家にいないと必ずうちに電話が来る。

長 「犬バカさんとこにボス来てないかね?」

ドッグランを覗くと雨でドロドロになって独りではしゃいでいるではないか。金も払わないで勝手に利用するとは不届きなワン公である(笑)

犬 「あぁ、いるよ。泥んこになってるからシャンプーして帰してやるから1時間後に迎えに来てよ」

長 「済まないねぇ」

そして独りではしゃいでいるボスをスタッフ総出で捕獲し、シャワー室へ直行する。
ボスはエロい。シャワーをされてる間中ずっと可愛いスタッフにキスをしたり胸に顔を埋めたり、足を舐めたり、そうかと思うと脚にしがみついて腰をカクカクしているではないか。
犬という特権を利用してのセクハラ。羨ましいぞボス。

・・・・ではなく、シャワーひとつに普通の犬より時間がかかるため、通常30分もあれば乾かして帰せるものをボスは1時間もかかる。しかも近所の好もあって無料である。(心が広い!)



シャンプーを終えてドライヤーで乾かし、長尾夫婦が迎えに来るまでお客さんの犬用の6畳の部屋で待機してもらう。床暖房に一部屋ずつの空調、低反発マットの豪華版の部屋なのだがペットホテル利用者でこの部屋を利用する犬は少なく、大概フリーでデン達に混じってフラフラする。勿論喧嘩しそうな犬はその部屋か別の部屋に移すが、何故かうちに来る犬は皆大人しく喧嘩する子は非常に少ない。
しかしボスは喧嘩はしないんだが、下の世話が少々悪いので個室待機となった。

1時間後軽トラに乗って長男夫妻がやってきた。
迷惑料と称して奥さんが畑で栽培したサツマイモとニンジン、そして漁師のご主人が捕った沢山の魚を持ってきてくれた(どうやって捌くの?)

長 「いつもすいませんねぇ」

犬 「いつものことだから気にしないよ。それより・・・これ捌けないしさ、うちで飯食ってかない?」

長 「いやいや、魚捌いたら帰ります」

犬 「いいよ食ってきなって」

長 「じゃぁ・・・お言葉に甘えて。じゃぁ、キッチンお借りします」

長尾さんは素早い手つきで魚を捌いた。
料理が好きなスタッフ達は齧り付きで長尾さんの手際の良い料理に見入る。
刺身、ムニエル、河豚のてっちり鍋など沢山の料理が振舞われた。

一同 「美味しそう〜」

犬 「流石漁師。料理の腕も確かだね」

長 「いやいや、それほどでも〜 ボスがお世話になったお詫びですよ」

ス 「こんな料理が食べられるなら毎日ボスが来てくれても良いのに」

犬 「ホントだな。ワハハハハハハハ!」

そしてテーブルに料理が運ばれてきた。
美味しそうな刺身、熱々の鍋。寒い日にはとてもありがたい。
こんなこともあろうかと、うちには3升炊きの業務用炊飯器が2台ある。
お客さんが入れ替わり立ち代り来てご飯を誘うのが好きなので業務用を昔から揃えている(結構高い)
年に数回ちょっとしたパーティー(よくそんなのあるの?って言われるが我が家ではよくある)があるので本当はあと2台ぐらい欲しいと思っている。

私は簡単な料理しかできないが、奥さんやスタッフの料理はとても美味いのでお客さんが喜んで食べてくれるのが何より嬉しい。だからついつい昼飯時や夕飯時に来るお客さんを引き止めて厚意で食事に誘ってしまう。

さぁ、美味そうな料理がテーブルに並んだ。

一同 「いっただっきまぁ〜すっ!」

刺身を食べる者、ムニエルをつまむ者、ハフハフ言いながら鍋を突く者。美味しい料理の前では皆無口である。特にタラバを食ってる私は一番大人しい。
少々の沈黙の後、長尾さんがこんなことを言い出した。

長 「犬バカさん、今度紹介したい人がいるんだけどね」

犬 「ん?いいですよ」

長 「同じビーグル飼ってる人でねぇ、ちょっと遠いんだけど昔からの友人で佐藤っていうんだけどさぁ、たまに旅行行くから預かって欲しいってんだよ」

犬 「いいよ、うちはいつでも」

長 「あぁそう、ありがとう。とっても溺愛してるからさぁ、動物病院とかに預けられない人なんだよ。ここだったらさぁ、狭いケージに入れないから良いと思って」

犬 「予約してくれればいつでもいいから言ってよ」


そんな会話がなされた。
まさかその紹介されたお客さんがねぇ・・・・・

つづく
次回はファン限定記事。
そして次回 「愛を知らないワンコたち」最終回!

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第24話、Death and chance 2 運命がそうさせたのか?

21日に会って、24日に動物病院へ行く約束。
正直今のミドリ君の体力で病院まで2時間の長旅が耐えられるだろうか?
その前に生き永らえるだろうか?そこが心配だった。
22、23日とミドリ君の状況を電話で聞いたところ異常はないという。むしろ流動食も食べ、自力で排尿、排便をしているという。まずは一安心。

23日、オカマを掘られた我がリムジンは(嘘です)無事修理を終えたということで18時半に引き取りに行った。なんやかんやと説明を受け、修理費が33万になったということで、保険屋にはその旨伝えてあるなどの説明を受けた。代車費用も合わせるともっとになったと思うが、私には関係ない。

24日は早朝6時に当書庫「タイムリミット」の奈々ちゃんのオーナーが新しいスピッツを飼ったので、新しい子のお預かりで迎えに行くのと、トイプードル、チワワの迎えがあるので宮崎さんとは9時に迎えに行くことにしていた。

犬の迎えを終えて宮崎さん宅へ行くまでに時間がまだまだあった。
2時間の長旅なのでガソリンを入れようと思い、いつもは絶対に左折しない道を左折レーンへ移動し、赤信号で停まっていた。

程なくして青になったのでアクセルを踏むと動かない。

犬 「あれ?動かない?」

メーター付近を見るとエンジン警告灯、排気温度警告灯、バッテリー警告灯全てが点灯してるではないかっっっ!!!!これが走行中だとしたらブレーキまで利かない。今思えば相当恐ろしい。

後ろからは早く動けのクラクションの波。たまたま左折レーンだったから手信号で「お先にどうぞ」ができたものの、直進だったら道のど真ん中で停まる羽目に・・・・。
とりあえず邪魔だが左に寄っているのだ、落ち着け落ち着け。
まずはエンジンを止め、ディーラーに電話を・・・・あ〜時間外だ!
よしよし、この状況で9時にミドリ君をお迎えに行くことは困難だぞ・・・・電話しなくては。
あの状況の犬を病院に連れて行けないなんて私はなんて不孝者なんだ!!!とりあえずミドリ君の家の車を借りるか・・・その前に自分の車をどうしたら良いものか・・・・実にパニック!
とにかく今の状況を伝えよう。病院へ行く手立てはその後考えればいい。

犬 「あっ、もしもし、おはようございます犬バカですが、実は先日お話した僕の車なんですが、昨日返って来たんですがね、どうも調子が悪くて今故障しちゃって動かないんですよ。それでですね・・・」

宮 「あの〜・・・・」

犬 「どうしようかなって考えてるんですけどねぇ」

宮 「あの〜・・・・」

犬 「はい?」

宮 「昨晩犬バカさんのケータイに電話したんですが出られなくて」

犬 「え!?着信履歴に残ってないですけど・・・」

宮 「でも、発信履歴からプッシュしてお電話したんですが」

犬 「おかしいなぁ、着信履歴もないし、点滅もしてなかったですけどねぇ」

宮 「それでですね、犬バカさんのお手を煩わせなくて良くなりました」

犬 「え?」

宮 「昨晩犬バカさんに電話した時ミドリの様子がおかしかったんです。家族で寝ずに看病して今朝方6時に息を引き取りました」

犬 「遅かったかぁ・・・・」

宮 「犬バカさん早く病院へ連れて行きたがってましたものね。今日まで待たせるのが嫌なこと言ってましたものね」

犬 「そうなんですよ・・・」

宮 「犬バカさんはミドリの命が山だって分かってたんですよね」

犬 「えぇ・・・・まぁ・・・・」

宮 「きっとミドリが動物病院で死なないようにそうさせたんですよ。車が動かないのもそうかもしれませんね」

犬 「そう、ポジティブに仰られると頭が上がりません」

宮 「短い間のお付き合いでしたけれど、ありがとうございました。この心がどうしようもなくなったとき、沢山のワンちゃんを見送ったことのある犬バカさんに電話するかもしれません」

犬 「あぁ、結構ですよ。僕で力になれるのならいつでも電話ください」

宮 「お世話になりました。ありがとうございました」

犬 「それでは・・・・」


エンジンの切れた車の中で一人物思いに耽ってしまった。
もうちょっと早かったら・・・・でも、病院に連れて行ったところで完全に回復するわけじゃない。
実は宮崎さんのお宅へ伺った時、生かすことよりも、どう逝かせるか、またどうした逝き方が飼い主として納得できるかばかり話していた。私はミドリ君が元気になることよりも飼い主に対して死の受け入れ方をレクチャーしていたのである。それが良いことなのか悪いことなのかは私が判断すべきことじゃないし答えなど一生出てこないだろう。

ミドリ君がそうさせたとか、運命だとか、そういうことでしか納得できない自分に不甲斐なさを感じるし、偶然という不思議さも同時に感じる。命って犬って運命って・・・・・。


ふと気付くと大分時間が経っていた。
もしかしたらエンジンが冷えてかかるかもしれない。
そう思いキーを回すと、なんとエンジンがかかった。警告ランプも点いていない。

犬 「よっしゃ!今だ!」

車を走らせ無事に何とか犬舎に着く事ができた。


あまり現実離れしたことは信じたくないが、ミドリ君は病院へ行きたくなかったのかもしれない。そんな想いが車を動かなくしてなんて随分要領好い話だが、偶然にしてはっていうのもある。
本当の実話。今朝の出来事である。

今日はご家族で悲しみに暮れて、しばらくは立ち直ることができないんだろうな。
そんな時は微力ながらも話すことで気が晴れるなら力になってやろうと思う。
ミドリ君、あと一歩遅かったね。ごめんなさい。苦しまないで逝ったのがなによりも救いです。
さようなら。合掌。

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第23話、Death and chance 1 ミドリ君との出会いそして・・・

私の記事は突飛な話ばかりで 「これってフィクションだろ?」 って思う人もいると思う。
しかしねぇ、ブログ立ち上げて6年近く経つけど、毎回フィクション考えるだけの余裕も知識もない。
あるのは偶然やってくる日々のノンフィクションだけ。それをありのままに話すことだけしかない。

そりゃぁ小説家で金もらって記事書くなら書く意味もあるだろうし、生活の為にもなる。
6年間ただ皆さんを楽しませたり、「こんなことがあるんですよ」 とお知らせするだけのブログでネタを毎回考えて記事にするほど暇じゃない。
だから皆さんにお伝えしてる話は全て実話。実話じゃない話を毎回記事にしたって読み返したってつまらないと思う。まぁ、信じる人は信じてもらえば良いし、信じたくなけりゃそれでも良い。ただ私の周りでは本当に起きてる出来事だから・・・。



この仕事をしてると面白い出来事や人に会う。それは何も楽しいことだけではなく、悲しく辛いこともある。それでも偶然は私に纏わりついてくる。私だってこんなに立て続けに色んなことが起きたら皆さんに信じてもらえないんじゃないか?っていう不安はある。あるけどあったことだから正直に話す他ない。

偶然って言葉がある。私にとって偶然って結構身近にあったりする。
例えば数年に一回しか聴かないような歌謡曲が頭から離れなくて口ずさんでいたら夜の歌番組で取り上げられたり、何十年も会ってない人の話をしたら数日後に会うことになったり、写真を整理して友人が写ってて、久しぶりに会いたいなぁと思ってたら電話が来たり、今日は肉じゃがにしようと思ったら何件も隣近所から「作りすぎたから」って持ってきてくれたり、DVDレンタルしてきたその日、または次の日に借りてきたDVDと同じ映画をテレビで放送してたり・・・・。

まぁ、つまらない偶然が結構起きたりする。たまになら良いのだが、しょっちゅうあったりして面白いやら疲れるやら。




先月もらい事故を起こされた。オカマを掘られたのだが、こちらは赤信号停車中で何も悪いことは無い。
100%相手が悪いので保険屋を通して修理することになった。
衝撃は体にそれほど感じなかったのだが、リアバンパーがかなり破損してタイヤを擦ってる状態だった。
ディーラーに持って行き、修理期間は約2週間だと聞いていたので結構かかるなと思った。
代車を借りたのだが小さいし、借りた車だから気を遣う。毛なんか落ちてたら面倒なので犬を乗せるのはどうかな?と考えていた。

それでもスタッフなどの車もあって6台あるのだが、みんなトリミングやら配達やら往診やらで使っていて意外と空いてる車が無い。
まぁ、結局シートを敷いてプードルやらチワワやら小さい連中は乗れるのでそれほど不自由はしなかった。

修理に出して1週間ほど経った時、ディーラーから電話があった。修理完了は2月23日だと。
思った以上に時間がかかると思ったら板金塗装などに時間がかかると言う。ディーラーもお客さんの金じゃないと思えば取れるだけ取ろうと思ったのか、やらなくて良いものまで事故の後遺症として修理したようだ。代車だって3週間ほど借りてたら結構な額になるだろう。


そんな折、2月21日のこと。いつも贔屓にしてもらってるラブラドールの愛ちゃんの飼い主である原田さんから電話があった。何でも自分が通ってる日舞の教室仲間が飼ってるゴールデンが寝たきりになり、ここ5日ほどウンコをしてないのでどうしていいかという電話だった。昔その人と私は会ってるらしいのだが、ゴールデンなんて飼ってる人は珍しくないし、沢山いるので覚えていないが向こうはグレートデンを始めて見たので覚えているらしい。

電話では何だから直接私の番号を教えてもいいから電話させるよう伝えたらものの2〜3分で電話が来た。宮崎さんという。

宮 「犬バカさんでしょうか?原田さんから紹介された宮崎と申します」

犬 「えぇ、たった今電話がありましたよ。事情は聞いてます。犬の名前は?」

宮 「ミドリです」

犬 「えっと、性別、年齢は?」

宮 「オスです。年齢は13歳半になります」

犬 「ご飯食べてますか?」

宮 「あまり口にしないですね」

犬 「なるほど。それでウンチしないんだと思いますよ。犬は寝たきりでも下半身不随でもウンコは勝手にしますから心配ありません」


と、長々と話しても何なので仕事のついでに寄って診てあげることにした。流動食を買ってシンリンジを用意して。(なんて親切なブリーダーなの!)


で、その日の18時半ごろに宮崎さん宅へ伺った。
昔ながらのペットタイプのマホガニーゴールデンだった。
顔を見ればヤンチャだったことが伺える。

犬 「オイっミドリ君。食餌摂らないと駄目じゃないか。お母さん心配してるぞ」

シリンジに流動食を入れて口角より少量ずつ流し込む。
味が良いのか結構ガツガツ飲み込む。
飼い主も与え方が分からなかったらしく、これで与え方を覚えたので上手くいくと言っていた。

しかし・・・

頭蓋が落っこちてるし、舌の色も良くない。
正直今週が山だと直感した。それに動物病院へ連れて行って入院して病院で死なせるのは嫌だなと思った。しかしこの子に時間は無い。

宮 「犬バカさんお勧めの病院へ連れて行ってください」

犬 「分かりました。早く行きたいなぁ・・・・でもなぁ・・・・」

宮 「どうされましたか?」

犬 「いや、今僕の車事故に遭って修理中なんですよ。戻ってくるのが23日明後日の夕方引渡しなんで24日で良いですか?」

宮 「お願いします」

ミドリ君を動物病院へ行くことになったのだが・・・


つづく

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第22話、見捨てられポン太 その4 殺処分の日

運命の日、朝からみんな黙りこくって朝食を食べている。
朝食も摂らずにポン太を代わる代わる抱き合って泣いてるスタッフもいる。
病院へ連れて行くのに着いて来る者が3名、あとのスタッフは見ることができないと言って犬舎に残ることになった。

犬 「じゃあ、行ってくるぞ」

ス 「ポンちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!!」

犬 「もう、いいか?忘れ物はないな。じゃあ、行ってくるぞ」



車中はやけに静かだった。
ラジオの音だけが陽気にしゃべっているがみんな上の空。

前日に動物病院へは12時半に来るようにと言って地図を渡したのだが、若干早く着いた我々よりいち早く奴らの方が先に到着していた。よほど殺処分が嬉しいのだろうか?

スタッフ達は目を真っ赤にして奴らを睨み付けているが、当の本人は涼しい顔で出迎えていた。

女 「ちゃんと死ぬ所お互い見ましょうね。目を逸らしては駄目よ」

ス 「あなた自分のだった犬をよくも殺せますね!」

男 「お前らのお師匠様だって承諾したんだ、同罪だろ?」

ス 「・・・・・。」

犬 「とにかく入ろう。話は後だ」


病院に入ると午前中の診察を終えた先生が用意して待っていてくれた。

先 「こんにちは、見たくない人は車で待っていてもいいですよ」

するとここまで来たのに耐え切れなくなってスタッフの一人が出て行ってしまった。

先 「もう、いいかな?それではですね、早速ですが劇薬を使って死亡させるので、ここに承諾書があるのでサインをしてもらえますか?死んでからやっぱり止めたと言われても困るので、申し立てを一切しないとここにサインを。犬バカさんも」

私と女の異議申し立てを一切しないというサインを承諾書にした。

先生が注射器を取り出した。

先 「これは硝酸ストリキニーネです。劇薬で犬の殺処分に使われる薬です」

ス 「あの殺人に使われた奴ですよね?」(※愛犬家殺人事件に使用された劇薬)

先 「そうです。よくご存知ですね。これを注射いたしますと、5分ぐらいでフラフラしだしてやがて気を失うように死んでゆきます。実際は安楽死ではなく、窒息死のようなもので決して言葉にするほど生易しい死に方ではないですが・・・・今なら止めることはできますがどうしますか?」

女 「やってください」

先 「犬バカさんは?」

犬 「はい、お願いします」

先 「それでは犬をここへ乗せてください」

何がおきてるか判らずにスタッフの胸に抱かれてるポン太は尻尾を振って喜んでいる。
スタッフは涙を流しながら診察台にポン太を乗せた。

先 「それでは、注射いたします」

ス 「ポンちゃ〜〜〜ん!!!!!」


そして注射が行われた。
その後先生が心電図を設置しだして院内は心電図の音だけがこだました。

2〜3分もするとポン太はフラフラしだして次第に横たわった。
女はそれを見て涙ひとつも流さない。

ピッピッピッピッという心電図の音が突然ピーーーーという音に変わった。
横たわったポン太はまもなく息を引き取った。
先生が心電図を見て死を確認し、みんなに死んだことを告げた。
心電図を見ながら何を思ったのか?女はニヤニヤして先生の説明を聞く。
先生はポン太をダンボールの中にタオルを敷いて入れてくれた。

そのダンボールをスタッフに持たせた。

スタッフは何度も何度もポン太の顔を撫でながら涙を流した。

ス 「ポンちゃん・・・・まだ温かい・・・・」

犬 「よし、すぐに火葬場へ行くぞ、ペット霊園の人が待ってるんだ」

ペット霊園まではそう遠くない。予約してあるので急がなくては。
女も我々の車の後ろに着いてペット霊園まで着いてきた。

ペット霊園へ着くと様々なペット達の位牌が飾ってある。
その奥に火葬するボイラー質がある。
私はスタッフからダンボールを取り上げ、係りの人に渡した。
そしてあるビニール袋も手渡した。

犬 「これはこの犬が大事にしていたおもちゃや首輪などです」

と言って一緒に火葬してくださいと頼んだ。

ボイラーに入る前、係りの人が 「最後にお別れを」 と言ってまたダンボールを開けてくれて顔を見せてくれた。

ス 「まだ生きてるみたい」

ス 「ほんと、寝てるみたい」

ス 「綺麗なお顔ね。ごめんね、ポンちゃん・・・・。」


女も一応不貞腐れながらチンピラ彼氏と一緒にポン太の顔を見る。

係 「それでは火葬しますので一旦待合室でお待ちいただけますか?お骨になるまで小型犬ですから一時間ぐらいと見てください」


そう言われて10畳ぐらいある待合室に通された。
スタッフはシクシク泣いている。
女は男とテーブルに置かれている甘納豆とお茶をすすって男と笑って話している。

私は今回の殺処分代と火葬代を半分出し合うように提案すると、突然男は安心したのか気風の好い男になって全額出すと言い出した。ラッキ〜♪


そして約1時間ほどが過ぎ、係りの人が骨壷を持ってきた。
骨壷には我々のコールネーム「ポン太」ではなく、女の付けたコールネームである 「愛犬リュウ号の霊」 と書かれている。

係りの人がお骨を開けて見せてくれた。

ス 「こんなに細くなっちゃって・・・」

ス 「もう、戻ってこないなんて・・・・」

ス 「ポンちゃん、さようなら・・・・」

すると女も少し感慨深い表情で 「こういう風に骨になっちゃうと寂しいものがあるわね」 と、人間らしい一言を言った。

大きな仏壇の前に骨壷を置き、線香をあげる。
お坊さんがお経を読んでくれ、その間にお焼香をする。人間と同じような葬式である。
女も手を合わせて線香をあげた。少しは人間の心を持ち合わせたか?

しかし一番人間の心を持っていないのは私だった。
みんなが焼香をしたり線香をあげたりして弔っているのに後ろで腕組みして傍観してるだけだった。
スタッフが小声で 「社長もどうぞ」 と言うが私は断固拒否した。

一通りお経が終わると女はこう言った。

女 「私のこと散々なこと言ってたけど、犬バカさんお線香もあげなければ手も合わせないのね。よっぽど悔しかったのね」

犬 「そうですね」

女 「随分素直じゃない。最初からそうすればこの子だって死ななかったのに」

犬 「そうですね」

女 「それじゃあ私達御代払って帰りますわ。それじゃあ」

犬 「あっ!これを!」

と言って骨壷を手渡した。せめて四十九日までは毎日線香を上げ手を合わせてほしいと懇願した。
男も女も分かったと言ってくれ骨壷を抱いて帰っていった。





帰った後私はまたもや非難轟々の嵐である。

ス 「ポンちゃんに手を合わせないなんて!」

ス 「あんな奴らに骨壷あげるなんて!」

ス 「結構社長って冷たいんですね。いくら無宗教だからって愛犬に手を合わせないなんて」

私は徐に女達が帰ったことを確認してからため息をついた。
またもやその態度を見てみんな泣き出した。

ス 「ポンちゃ〜〜ん!!!!!」

ス 「ポンちゃんごめんね!!!!」

ス 「安らかに眠ってください」

骨壷もないのに仏壇に向かって泣いている。
そんなスタッフを見て私は大声で怒鳴った。いつまでも泣いてるな!ということで怒鳴ったのではない。


犬 「お前ら何年ブリーダーやって犬見てきたんだバカ野郎!!一人ぐらい気付くと思ったら誰一人気付かないでワンワン泣きやがって!!お前ら昨日食っただろ!!!!!」


一同キョトンとしている。
泣きながら 「私ポンちゃん食べたりしないですよ〜」 なんて言っている。

犬 「お前らなぁ、あの骨見て犬の骨だと思ってるのか?バカが」

ス 「??????」

犬 「美味かっただろ、この肉は〜」




スタッフはまだ分かっていない。





ス 「え?何がですか?」

犬 「いいか、お前らあの骨みてどう思った!」

ス 「そう言えば・・・細過ぎると思いました・・・・」

ス 「それに喉仏や頭蓋骨がないって思いました。犬ってこんなに骨多いかなとも」

ス 「あっ!もしかして!」

犬 「そう、昨日スタッフが美味しくいただきました!だろ!」






ス一同 「ケ○タッキー!!!!!!」






犬 「ケ○タッキーの骨にお経あげて焼香はさすがに演技でも俺嫌だったんだよ。みんなケ○タッキーの骨に手を合わせてバカだなぁって後ろで見てたんだよ」

ス 「じゃあ、ポンちゃんは?」

涙を拭きながら笑顔になったスタッフ達。
私は係員に向かってこう言った。

犬 「すいませ〜ん、もうポン太起きてるかな?」

まだちょっとフラフラしているポン太が尻尾を振って係員の部屋から出てきた。

ス一同 「ポンちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ポン太はスタッフの胸にまた抱かれて喜んでいる。

ス 「え?え?え?何かまだよく理解できてないんですけど、最初から説明してください」


事の成り行きはこうだ。

殺処分すると言われたとき、正直面食らった。
売り言葉に買い言葉で後で何とかなると思った。
しかし頭の回転が良いと言うか、悪知恵だけは働くというか、たまたまCMでケ○タッキーが何とかパックで990円とかやってるのを思い出した。これは使えると思った。久しぶりに食いたいし一石二鳥である。お別れパーティーの時は既に頭の中でバーチャルしていた。

獣医に電話して麻酔ではなく、鎮静剤の強いのを打ってもらうようお願いした。
頃合を見て先生が心電図のコードを外して死亡したように見せかけた。
まだ息してるのを見られてはまずいのですぐにダンボールに入れた。
胸が動いているのがバレないように厚くタオルをかけてくれた。

目が覚めては困るので大急ぎで火葬場へ。
普通火葬場では火葬する瞬間まで見せるが一旦待合室へと言われる。だって本当に焼けないから。
係りの人に手渡したビニール袋。実はポン太のおもちゃや首輪でなく、何を隠そうこれがケ○タッキーの骨である。係りの人も「長いことこの仕事やってるけどケ○タッキーの骨を焼く日がくるなんて思いもしなかった」 と言っていた。骨が細すぎて焼き過ぎると灰になってしまうので実際には一時間も焼いておらず、ものの7〜8分だと言っていた。

そして私の計画を話してしまってはスタッフが泣かなくなると相手に不審がられるので、あえてスタッフには誰にも教えなかった。

以上がカラクリである。我ながら天才だと思った。
人を騙すのもひとつの必要悪である。


犬 「みんなして俺が犬を殺すと思いやがって!」

ス 「そういう訳じゃないんですけど・・・・」

犬 「じゃあどういう訳だ!そう言えば辞めるって言ってた奴もいたなぁ。辞表書いて今朝辞めるって言ってた奴も。受理するか・・・・」

ス 「あっ!やっばーい!A子ちゃん、犬舎出て行ったかも!呼んでこなくちゃ!」




さて、骨壷を抱いて帰ったあのバカップルは四十九日まで手を合わせただろうか?
骨壷に入っているのが犬の骨ではなく、我々が前日に食べたケ○タッキーの骨だとは知る由もなく毎日線香を上げて手を合わせているだろうか?バーカ!











PS,ポン太はもう、うちに居れないのでお客さんの家で悠々自適に元気に過ごしています。あしからず。今日も犬バカ犬舎は平和な一日を送っている。


終わり

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熱血!犬バカ一代
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