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「発達障害者は全人口の6%と推定される」
「7人に1人はうつ病だ」
「日本国内に300万人のSAD患者がいる」
「100人に3人がパニック障害を発症している」
「100人に1人が統合失調症にかかる」
これらの数字は本当でしょうか?
数字は、話に説得力をもたせるために、論文や報告、報道、宣伝などで効果的に用いられます。しかし、我々はその数字の根拠を疑うことなく、鵜呑みにしてしまっている傾向はないでしょうか。
「大手新聞で書かれていたから」「国営放送で放送されていたから」「有名な専門家が言っていたから」「みんなそう言っているから」・・・。そうやって、人は情報の真偽に対する判断力を失っていくのです。
例えば、最初に挙げた「発達障害者は6%」という数字について、今や常識となりつつありますが、この数字は、誰が、どのような目的で、どのような手法で導き出したのでしょうか。少し検証します。
6%という数字は、文部科学省が2002年に発表した「今後の特別支援教育の在り方について(中間まとめ)」http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/021004a.htm で発表され、すぐに報道でセンセーショナルに取り扱われました。
その報告書にはこのように述べられています。
「本年文部科学省等が実施した『通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査』の結果から、LD、ADHD、高機能自閉症により学習や生活について特別な支援を必要とする児童生徒も6%程度の割合で通常の学級に在籍していることが考えられる」
さて、この6%という根拠となった「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」とはどのようになされたのでしょうか。上記中間まとめにも含まれているこの調査には、驚くべきことにこのような留意事項が記載されています。
「本調査は、担任教師による回答に基づくもので、学習障害(LD)の専門家チームによる判断ではなく、医師による診断によるものでもない。従って、本調査の結果は、学習障害(LD)・ADHD・高機能自閉症の割合を示すものではないことに注意する必要がある。」
この時点で、6%という数字の根拠以前の問題が生じています。調査自体はLDやADHDや高機能自閉症の割合ではないと言いながら、結論では6%と推定されるとなっています。小学生でもわかる非論理的な説明が、文部科学省への答申として発表されているのです。
さらには、その調査自体が問題です。先日Blogでも取り扱ったDSM(アメリカ精神医学会による精神疾患の診断マニュアル)を基盤とした75項目の質問項目を使い、担任の主観で子どもを評価するという手法がとられています。詳しい調査項目は上記リンク先で確認していただきたいのですが、その項目はとてもひどく、科学的とはとても言い難いしろものです。以下がその質問項目の例です。
・ 初めて出てきた語や、普段あまり使わない語などを読み間違える
・ 文章の要点を正しく読みとることが難しい
・ 大人びている。ませている
・ みんなから、「○○博士」「○○教授」と思われている(例:カレンダー博士)
・ 他の子どもは興味を持たないようなことに興味があり、「自分だけの知識世界」を持っている
・ 独特な目つきをすることがある
・ 友達と仲良くしたいという気持ちはあるけれど、友達関係をうまく築けない
ある一定以上の項目に該当してしまった児童生徒(正確には、担任によってそのように勝手に判断された児童生徒)は、「障害の可能性のある子」として計上されてしまったのです。
当然ですが、このような調査から出てきた数字は、発達障害の子どもの割合を示す可能性すらありません。事実、各自治体で同じ質問項目を使用した後追い調査では、地域によって10倍以上の格差が出ています(秋田県では1%未満、埼玉県では10%以上になっている)。
私は工学部出身なので、このようないい加減な調査結果や、それによる数字の独り歩きがまかり通っているこの現状にただ驚くばかりです。
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