近頃の若い者は・・・
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町内きっての論客で知られるIさんと偶然通勤電車で一緒になりました。60年ほどの昔に卒業した高校時代のクラスメートとの月一回の「無尽」の帰りだそうです。一盃きこしめしたIさんは上機嫌。おそらく、今宵の無尽会も、青春時代を思い出して大いに盛り上がったのでしょう。
Iさんは、早速、近頃の若い者の元気の無さが大いに気になる、という話から始めました。Iさんの言うには、「今日日の若い者たちには、我慢が足りない、コツコツやっていればいつか必ず報われるのだという信念が無い」というのです。
さらに、Iさんは現役時代は地方銀行の金融マンだったのですが、その彼の経験では、「下積みからコツコツと仕事を覚え、上司や先輩に叱られたり、可愛がられたりしながら、成長していったものだ。だから今世の中少し混迷しているものの大丈夫、必ず努力が報われる日は来るのだ」と若い人たちを激励したいとも言うのです。
Iさんは、『枕草子』の昔から、年配者が口にする定型句「今どきの若い者は・・」というあの不満を述べているのではないらしいのです。心底、若者に「為せば成る」というあの格言、ニチボウ貝塚の東京オリンピック優勝監督大松博文監督の「名言」をオウム返しに語っているのです。そして、これはIさんの信念というより彼の人生経験なのです。それも、自らの努力の結果であるよりはるかに彼の生きた時代の歴史に原因があるのです。そして、そのことを人呼んで「世代間の断絶」とも言うのです。
上の図を見てみましょう。
今となっては懐かしい「いざなぎ景気」(1966〜1970)、「平成景気」(1986年11月〜1991年2月)、それに今回(2002年2月〜2007年11月)の三つの代表的な好況時の、実質企業収益と実質雇用者所得をそれぞれ左と右に図示したものです。
そのうち、Iさんをはじめ一線をリタイアしたお年寄りたちが体験したのは、いざなぎ景気であって、そのときの企業収益は期間中に260%に増加、一方賃金は180%の増加と少し値引きされているとは言うものの所得分配に与っていました。だから、今のお年寄りは、若いときに「自分は頑張った」という記憶と「賃金が上がって家族の生活が楽になった」という経験が重なって、実経験として「為せば成る」を会得されてしまったのです。
しかるに、「今回」なる「いざなぎを超える長期景気」を見てみましょう。企業所得は2倍に上昇していたのに、労働者の所得は逆に減少しているではありませんか!!。つまり、好景気で儲かったのは企業だけです。当時流行したのが株式利得の最大化こそ「良い経営」というふれこみでした。なるほど経営陣や株主には大いに利益があったのですが、肝心の社員には全く還元されなかった。「 小泉 ・竹中・木村経済政策」とはまさにこれだったのです。
かてて加えて、この期間中、企業は馘きりというリストラも交えましたから、若い人の採用は停止され、就職極寒の時代でもありました。悲しいことに大量の無業若者を生産してしまいました。
かくのごとく、団塊世代の人々は「為せば成る」と十分「勘違いできる」歴史を経験したのに対し、団塊二世は「為しても成らぬ」ことを学んでしまったのです。世代間の軋轢とはこういう育った歴史環境によって生じるのだということを知っておきましょう。
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2010/11/9(火) 午後 8:03 [ おやじのぼやき ]
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