日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ・・・・、

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リスク方程式

先に本欄で、
リスク=事故の発生確率×発生後の損失の総量
なるリスク方程式を示しました。これを適用すると多くの計画が事前に評価できるようになります。
実にタイムリーなので、国土交通省交通政策審議会・中央新幹線小委員会が建設着工を承認したJR東海のリニア中央エクスプレスを例にとってこのシステムリスクを検討してみましょう。超高速鉄道ですから事故と言えば列車事故が心配になりますが、これについてはここではあえて考えません。鉄道事故は原発事故のように「発生後の損失の総量が無限大」にはならないからです。と言いますのは、列車事故はそれがどれほど悲しむべき大惨事であっても、一応、一組の列車の事故として空間的にも時間的にも局限されるからです。
事故ではなくてここで着目しなくてはいけない「損失の総量」とは、システムの完成に投下される過大な出費とそれによる「事業の失敗=経営破綻」の危険です。この事業、2045年までに総工費9300億円を投入して東京・大阪間にほぼ直線のガイドウェイを敷設するのだそうですが、今まで、一事業に限定してこのような巨額の投資をした<民間事業>の例は全くありません。まず、2027年までに東京・名古屋間を5兆円の投資によって開通させるそうですが、それすらも完成までのむこう15年間JR東海にはびた一文の収入がありません。収入どころか金利の支払いだけが重くのしかかります。
加えて、この9兆円という総工費、嘘も隠しもない誠実に積み上げた数値であろうとは思いますが、着工から完成まで机上の予定でも32年。こういう一世代以上にも及ぶ長期の大事業が予定金額でおさまった歴史は無数にある土木事業でただの一つもありません。明治の丹那トンネル工事では頭初予算の6.5倍かかっています。近くは本四架橋。はるかに短い工期にもかかわらず3本が3本とも5,000億円の頭初予算が1兆円余に、長良川河口堰は6.35倍、八ッ場ダムにいたっては天文学的倍率を要して未だ終了しません。しかしこれらはいずれも国家事業でしたから、合わない帳尻を強引に合わせることができました。しかし、リニア計画は民間事業。失敗は、畢竟、企業倒産で終わるしかありません。
しかし、鉄道事業は准公共事業であってみれば倒産して市場から撤退するというわけにはいきません。JR東海は、東海道新幹線をはじめ大動脈や小動脈、日本国の生命に係る鉄路を所有する大切な会社です。これが無くなったら、これによる<発生後の損失の総量>は間違いなく無限大です。
リニア中央エクスプレスは、リスク方程式の右辺=<資金ショート>という「事故の発生確率」をゼロにしない限り、<大動脈破裂>という無限大のリスクにつながる危険な賭けだと承知しなくてはなりません。上記の国土交通省交通政策審議会・中央新幹線小委員会の委員諸氏は、そこまで案じて着工許可を下されたのだろうとは思いますが、着工までの2年間慎重・真剣・徹底的検討を期待したいと思います。
 
制作著作 伊藤 洋 http://www2.yamanashi-ken.ac.jp/~itoyo/itoyo.html

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