日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ・・・・、

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(続)リスク方程式

リニア中央エクスプレスにとって最大のコンペチターは誰でしょう?最大にして最強のライバル、それはなんと言っても自身が所有する「東海道新幹線」です。1964年開通以来無事故の信頼性は鉄道史上まれにみる快挙。国民的信頼抜群の交通機関です。
東海道新幹線は東京と大阪を結んで、無くてはならない日本国の大動脈を形成しています。しかし、その輸送量は2008年の460億人キロをピークにリーマンショック後漸減傾向にあり、実は乗車率(座席利用率)も意外に低率の56%です。日本は、長期にわたる人口減少期に入りました。また、東海道新幹線はビジネス鉄道で、企業活動が低迷すると乗車率が敏感に下がります。つまり、人口が増加しかつ日本経済が活性化しないと乗車率の向上はかないません。JALの経営危機にみるように、航空業なら搭乗率56%では経営は成り立ちません。しかし、そこは飛行機と違って地上を走る鉄道のこと、新幹線は飛行機に比べてはるかにエネルギー効率が高いために採算が合って、乗車率56%でもJR東海の唯一最大の稼ぎ頭になっています。
ところが、ここにもう一本リニア中央エクスプレスが市場獲得競争に名乗りを上げることになりました。当然、乗客の配分比は利便性と運賃と目的地とを勘案しながら合理的に二手に分かれて乗車することになるでしょう。ここで、新規需要の発生に期待したいのですが、国家経済の現状からみてこれはほとんど不可能だと心得るべきです(新規需要は数字上でいくらでも操作できます。その過剰な予測で失敗した公共事業は本四架橋・東京湾アクアライン・グリーンピア等々枚挙にいとまがありません)。
JR東海の説明では、①現行の東海道新幹線と輸送力を同一に保つ、②新線の運賃は現在の新幹線に1,000円程度上乗せしただけでやれると説明しています。①は、東海道新幹線の全面補修期間中の代替機能を確保するためとされています。②は、にわかに信じ難い数値ではありますが、経営者がそうするというのですからそうだとするしかありません。しかし、速くてそんなに安いのならと、460億人キロの殆どの乗客がリニア新幹線に乗り移ったと仮定して、それでも乗車率は50%以下にしかなりません(新横浜と三河安城間、および岐阜羽島・京都間の乗客は乗らないので、乗車率はもっと低いだろうが)。ジェット機と同じように空中を飛行するリニアですから、そのエネルギー効率では採算は得られるはずがありません。ジェット機は、可能な限りエネルギー消費を減らそうと空気の薄い成層圏内にまで空路を取りますが、リニアは地上10センチと最も厚い空気と、時には向かい風と、ほとんどトンネルのために地下鉄風を右に左に押しっくらしながら走行します。加えて、航空業では持たない線路や駅舎という資産を所有しなくてはならず、それゆえそれをメンテナンスしなくてはなりません。
一方、客の激減した新幹線は補修どころか営業を廃止するしかありません。これでは、鉄道会社にとってドル箱は消失です。東海道新幹線が経営努力をし、中国新幹線級の486/h鉄輪式の高速列車を導入でもしますと、他の新幹線にまたがって乗り継ぐような旅行客は乗り換えの面倒を嫌がってリニアには乗りません。かくのごとく思考が一回りして、リニア新幹線こそ無用の長物になり下がることになるでしょう。
つまり、リニアモーターカーの究極の泣き所は、最も流体力学的に抵抗の大きい空気中を飛行機に匹敵する速度で走らなくてはならないこと、距離の2乗に反比例する電磁力によって動力を得るのにもかかわらず普通の(ロータリー)モーターと違ってローターとステーターの空隙距離が極めて大きい(リニア)モーターであるために効率が極端に悪いところだと思います。
 

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