日々是好日日記

心に思うよしなしごとを書きつづっています

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2012年2月17日

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合理化という罠

JR東海身延線は山梨県の県都甲府市と駿河の富士市とを結ぶごくごく細い動脈です。しかし、これが血管である以上沿線住民にとっては無くてはならない代物です。
一時赤字ローカル線の廃止が良いこととされた中曽根康弘内閣時代、これが廃止の俎上に上ったこともありましたが、沿線住民の「守る」活動の成果で一命を取りとめ、現在も細々と生き残っています。(筆者はその折の住民運動「身延線を守る会」の顧問を仰せつかったことがありました。)
しかし、廃止は免れたものの会社側の「経営合理化」という名のサービス低下には異議を唱えることもできず、沿線各駅はほとんど無人化され、また列車もワンマンカー化されるなど、主客が逆転したままの「サービス」産業となったまま今日に至っています。
かくて、身延線は沿線38駅中10程度の駅が辛うじて切符の買える駅となってしまいました。そこへこのたびまた新たに鰍沢口駅と下部温泉駅が無人駅に加わることとなるのだそうです。JR東海の説明では、駅利用人口が減少したからということだそうですが、まさに「泣きっ面に蜂」、公共サービスの低下と過疎化が雪だるまになって地域が崩壊していく典型的な姿になっています。
ところで、JR東海と言えばこういう「経営合理化」の一方で、すでに「中央リニアエクスプレス」などという事業に、上記両駅に要する人件費の数万年分ぐらいの経費を投入しています。加えて2年後には、これを10兆円を超す規模の本格事業へと本格着手するという蛮勇を表明してすらいます。この前途おぼつかない事業に回す天を突く巨額資金と、ちっぽけな田舎駅の駅員を廃止する「合理化」とがどこで間尺に合うのか筆者には全く分かりません。これぞまさしく「爪で拾って箕でこぼす」愚に等しいのではないでしょうか?
1945年、敗戦後の身延線は窓から乗らないと車内に入れない程に列車は混んで、栄えて?おりました。東京大空襲で焼け出され、着の身着のまま逃げてきた大勢の人々をこの沿線の人々が救ってあげたからです。つまり、あの過酷な戦争中にも、沿線の人々が戦災者を救えるだけのコミュニティを作っておいたからに他なりません。社会は、都市だけで生きられるのではない。その周縁が健在であって初めて中心が栄えるのだという当たり前の道理を天下の鉄道経営者=社会事業家は知らなくてはいけません。そういう良識と志だけが新しいビジネスの成功を呼び寄せられるのだ、と筆者はしみじみと思っています。
 
 
 

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