それとこれは別
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30年ほど前のこと。
甲府に向かう途中のSSで、缶コーヒーを買って飲んでいたところ、
同行のアメリカ人の内の一人が、何を飲んでいるのか?と聞いた。
「コーヒーだよ。」と答えたものの、わからなかったらしい顔つきだったので、
その缶をそのまま渡した。
飲んでいいのか?というジェスチャーに、どうぞとジェスチャーで返す。
ひと口含んだ途端、顔を歪ませてぺっと吐き出した。
「コーヒーじゃないか!!」
驚きにちょっぴり怒りを滲ませた声に、こちらが逆に軽く驚きつつ、
「あー、ごめん嫌いだったんだ〜。」と缶を引き取った。
げー、コーヒー飲んじゃったよ・・という顔をして、口直しの飲み物を買うべく自販機に向かう。
それに付き合いながら、「何でコーヒー嫌いなの?(アメリカ人なのに)」と聞いた。
「カフェインが入ってるから。」自販機のウインドウを見たまま答える。
そしてくるりとこちらに向き直って「だから紅茶も飲まない。」
「じゃ、いつもは何を飲んでるんです?」「緑茶。緑茶はどれ?」とウインドウを指差す。
「これだけど・・・・・・緑茶にもカフェインは入ってますよ。」
ボタンを押そうとしてた指が止まる。
「ウソだ。。。」
「だって、緑茶も紅茶も同じお茶だし・・・とにかく入ってるのはホント。ウーロン茶もそう。」
彼の指は、仕方無さそうにオレンジジュースのボタンを押した。
それを告げたときの、彼の表情の変化が印象に残る。
驚きと疑念と後悔と恐れとが次々に浮び入り混じっていくような。
私はそれを予期していたと思う。
それを告げたとき、私にイジワルな気持ちがなかったか、といえば嘘になるから。
30年経った今、同じシチュエーションに遭遇しても、
私はやはり、同じように告げるだろう。
その人の判断や禁忌は尊重する。
でも、知っている情報は伝える。
それとこれは別。
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