<銀行>信用リスク
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我々は一般的に、『リスク』(Risk)という言葉のイメージを、『危機』(Danger)と認識している。これは、当然に誤った認識ではないものの、金融業界において、『リスク』という言葉は、もう一つの意味合いを有している。それは、『不確実性』(Uncertainty)と呼ばれるものである。
金融機関は、様々な『リスク』に晒されて、経営活動が行われてる。例えば、大手金融機関で頻発している、システム障害。これは、一旦、金融機関のシステムに障害が発生すれば、入出金や振込処理、また融資の実行手続き等の全てが滞ることもあり、それにより手形に不渡りや各種『決済の不調』が生じ得る。被害は、システム障害が発生した金融機関の顧客に留まらず、様々な形で、広い方面へと波及する。これを『システムリスク』といい、明らかな『危機』に分類される。
その他、金融機関が破綻するかもしれない、といった風説を流布されることにより取付騒ぎ等が発生し、甚大な損害を被る『風説リスク』、また行員の事務手続き上のミスにより、1,000,000円が誤って10,000,000円にて振込や入金、出金されてしまう『事務リスク』等、これらは『危機』という意味合いでの『リスク』に分類されるのである。
一方で、金融機関のバランスシートの(一般的には)最大部分を占める『貸出債権』において、その貸出債権が返済されないかもしれない、というリスクのことを、『信用リスク』という。これは、個別債権の貸出期間が、数ヵ月の債権や数年、数十年の債権が存在し、将来に渡り、それらが確実に返済され続けるという『保証』は、どこにもない。つまり、『貸し出したお金が返済されないかもしれない』という『不確実』なリスクのことを指す。
逆説的に捉えれば、『明日、倒産する』ということが明らかな企業に対して、融資を行うことは、『信用リスク』には該当しない。当該融資の実行を行ったと同時に、同額を『貸倒引当金』として損金処理すればよいからである。つまり、貸し出したお金が『返済されるかもしれない』し、また同時に『返済されないかもしれない』からこそ、そこに『信用リスク』が生じ、金融機関のB/Sにおける『不良債権』の計上及び処理、またP/Lにおける『貸倒引当金』の算出根拠、つまりは『銀行決算の妥当性』という観点において、その正当性の担保に疑義が生ずる余地があるのである。
『信用リスク』は、大別すると『期待損失』(EL;Expected Loss)と『非期待損失』(UL;Unexpected Loss)に分類することが出来る。次回より、予め見積もることが可能である『期待損失』について、その算出公式の分解・分析及び考察を行っていく。また、『信用リスク』を最小化するための一つの選択肢として考えられている、『リレーションシップ・バンキング』についての言及を行い、『金融行政』における『制度設計』そのものの在り方について、私見を論じていく。
>>続く
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