【映画】 パリ20区、僕たちのクラス 〈原題:Entre les murs〉
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sigma DP2s Toycamera Standalone XP ローラン・カンテ監督 2008年公開 カンヌ映画祭 -パルムドール作品 移民の子弟が多くの割合を占める、パリのとある公立中学校 14歳・・・日本でいえば中学2-3年生にあたる24人の生徒達と ひとりの国語教師の間で繰り広げられる、1年間の物語 いくら国語教師の務めとはいえ、普段のフランス語さえ難儀している生徒らに 難解な文法やら雅語を教え込もうにも、さっぱり埒が明かない 「こういうのは直感で分るものだ」 「使っているうちに身に付くものだ」と説いても 生徒らの日常に全く縁のない言葉を教え込むのは無理に決まっている 彼らの言葉の乱れは、すなわち、彼らが置かれている生育環境の反映でもある ラップ音楽、ファッション、サッカー、パソコン・・・etc. 生徒らが "個性" の拠り所にしている得意分野でさえも 所詮は商業資本によって周到に開拓されたフィールドであって この意味で彼らもまた、資本主義に飼い馴らされた羊でしかないのだけれど 無論、まだ14歳の少年少女らにそんな自覚は無い このクラスの生徒達は、とにかく口数が多い それが、フランスの学校教育の根幹を成す 「雄弁術」 の成果なのか? あるいは、フランソワ先生による薫陶の賜物なのかは分からないけれど 論述形式のバカロレアが、中等教育の最終関門として待ち構えるこの国で 自らの考えを論理的に口述することは、必須のスキルなのかもしれない ただ、礼節と敬意さえ欠かなければ、生徒に発言の機会が認められていること そして、フランソワからの問い掛けに、生徒らがよく応えているという点で フランソワの授業では、学びの場としての "アゴラ" が実現されている 生意気盛りの騒々しい生徒らには違いないけれど、そこに救いがある まさに、「疾風怒濤」の年代に差し掛かった生徒からの「反抗」を受け止める・・・ その十字架を、フランソワという教師は敢えて背負わんとしているのかもしれない ただ、教師に対して反抗の狼煙を上げる生徒らにしても、世間の現実に対して盲目ではない 少しでも高い階層の学校へ進むことが、社会を生き抜いてゆく為の "優待チケット" になることを "移民" という社会的ハンデを背負わされた彼等は、14歳にして認識している 授業中の暴言と傷害沙汰を起こしたアフリカ系のある男子生徒は 前例に従って、「懲罰会議」にかけられる 事情をよく知る担任として、守ってやりたい気持ちはやまやまだけれど 生徒が起こした不祥事に対して、まず本人が責任を問われるという フランスと云う国における原則が曲げられることはないし 映画だからといって、情に訴えるような "例外" は起こらない 母親の嘆願も空しく、「退学処分」が言い渡される 重大な問題が提示され、ドラマティックな解決に導かれてゆく・・・という 映画的 / 興行的に分り易い結構を、『パリ20区、僕たちのクラス』 という作品はとらない 解決されるべき問題があるとすれば、それはスクリーンの中ではなく むしろ現実社会の側にあることを、この作品に触れたフランス人なら 誰もが思い知らされるだろうから 物語のラストシーン 生徒と教師がサッカーに興じ、周りではあらゆる肌の色の生徒たちが歓声を上げる そこには、「大人と子ども」 「指導者と生徒」 という区分けは存在しない 自我の芽生え始めた生徒と、決して完全無欠ではない教師が 生身の人間同士として向かい合ってゆくという この作品を流れるコンセプトを象徴しているかのようで印象的だった そういえば、若き日のチェ・ゲバラを描いた 『モーターサイクル・ダイアリーズ』 にも これによく似たシーンがあった。それはハンセン氏病療養所での出来事だった .
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肌の色、「大人と子ども」 「指導者と生徒」などの区分けなく、平等な(社会的)扱いとチャンスが与えられるというのは、理想としても、なかなか克服できない永遠のテーマなのかなと思いました。
2011/7/27(水) 午前 7:11 [ Grisha.P ]
「"自由" は "平等" によって脅かされるのか?」
例えばこういった命題が、毎年数十万人の高校生に課せられ
その膨大な答案を、多大な労力を費やして採点する・・・
そういう取り組みを200年に亘って続けてきたのが、フランスという国であるようです
その国家的努力は、素直に称賛に値すると思います
2011/7/28(木) 午前 5:56
はじめまして。
ご訪問ありがとうございました。
この日のblogを読ませて頂いて
つい先日観た
『ちいさな哲学者たち』にも類似するものがあるなぁ…
と思いました。
あげられた、この映画も一度観てみたいです。
難しい事はわかりませんが
貴殿のblogの言葉の綴りが
素敵な表現だなぁ
と感じまして
幼い文章で恐縮ですが
跡を残しました。
お邪魔しました。(__)
2011/7/30(土) 午後 6:54 [ parasol ]
こいく さん >
お返事が遅くなってしまい、申し訳ございません
コメントを添えて下さり、ありがとうございます
子安美知子さん『ミュンヘンの中学生』という本があって
もうだいぶ古い本なのですが、そこに描かれたシュタイナー教育の実践と
この映画で描かれた教室のことを、重ね合わせながら鑑賞しました
2011/8/3(水) 午前 1:15