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新鮮で苦しみ多い日々/堀川正美時代は感受性に運命をもたらす。 むきだしの純粋さがふたつに裂けていくとき 腕のながさよりもとおくから運命は 芯を一撃して決意をうながす。けれども 自分をつかいはたせるとき何がのこるだろう? 恐怖と愛はひとつのもの だれがまいにちまいにちそれにむきあえるだろう。 精神と情事ははなればなれになる。 タブロオのなかに青空はひろがり ガス・レンジにおかれた小鍋はぬれてつめたい。 時の締切まぎわでさえ 自分にであえるのはしあわせなやつだ さけべ。沈黙せよ。幽霊、おれの幽霊 してきたことの総和がおそいかかるとき おまえもすこしぐらいは出血するか? ちからをふるいおこしてエゴをささえ おとろえていくことにあらがい 生きものの感受性をふかめてゆき ぬれしぶく残酷と悲哀をみたすしかない。 だがどんな海へむかっているのか。 きりくちはかがやく、猥褻という言葉のすべすべの斜面で。 円熟する、自分の歳月をガラスのようにくだいて わずかずつ円熟のへりを噛み切ってゆく。 死と冒険がまじりあって噴きこぼれるとき かたくなな出発と帰還のちいさな天秤はしずまる 堀川正美
1931年生まれ。東京都出身。早大中退。昭和29年江森国友らと詩誌「氾」を創刊。36年「現代詩」編集委員。39年「太平洋」を発表、戦後詩に新風をもたらす詩集として注目された。評論集に「詩的想像力」などがある。 |