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『わたし』
お客さんに八つ当たりしてしまった。
運勢占いで最低だった。
寂しくて誰かに電話したかった。
でも迷惑がられるのが嫌だからできなかった。
家に帰りたかった。
でもバイト先の人たちに迷惑が掛かるし、今更一人暮らしやめたいだなんて言えなかった。
弱い自分を見せたくなかった。
ひとりだけ悲劇のヒロインにはなりたくなかった。
誰にも迷惑をかけたくなかった。
でも寂しくて仕方なかった。
どうしようもなくて独りで泣いた。
わんわん泣いた。
留め止めなく流れる涙は、とても温かかった。
泣き終わっても、また泣いた。
くしゃくしゃの顔して泣いた。
ひとりで泣いた。
狭い部屋の中央より少し端っこで泣いた。
窓を開けっぱなしだったので、もしかしたら外の人に見られたかもしれなかった。
それでも泣いた。
びーびー泣いた。
寂しくて仕方なかった。
小腹が空いた。
ご飯をチンした。
湯気の立つご飯を食べた。
いつのまにか涙が乾いていた。
いつのまにか、寂しさが薄れていた。
心いっぱいにいろんな人を思い描いた。
沢山思い出して、昔の仕草を目を瞑って思い出した。
いつのまにか、いつのまにか。
心がいっぱいだった。
いろんな人の顔でいっぱいだった。
いろんな人との思い出でいっぱいだった。
私の心の中はひとりじゃなかった。
いろんな、いろんな人でいっぱいだった。
寂しかった。
でも寂しくなかった。
ひとりだった。
でもひとりじゃなかった。
あったかい紅茶を飲んだ。
ティーパックの紅茶を淹れた。
少し時間をかけた。
少し苦くなった。
でも、おいしかった。
黙って飲んだ。
少しだけ苦かったけど、少しだけ甘かった。
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