KSS協議会ニュース87号 / 第27回KSS健康フォーラム
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平成24年 4月 2日 KSS協議会ニュース87号 絹・蚕・桑多目的利用協議会事務局 有限会社 プロザテック内 〒264−0023 千葉市若葉区貝塚町1099−3 TEL043−234−2631FAX043−234−2632 1.第27回KSS健康フォーラム
参加者;会員:8名、非会員:5名、講師:3名 計15名。中には震災被災地の福島地域に近い所でこれからの復興の対処にと目処を目論みながら養蚕関連の事業化への取組みに遠路参加頂けた。会員も大阪、京都、岐阜、長野からも遠路参加頂いた。
2.当会・小野寺敏会長の活動
下記講演会を時流に対峙して開催を予定されて、社会貢献の一端になることが期待される。 “子供たちの未来を守るプロジェクト” ―放射線から心と身体を守る為に今、何をすべきか?― 開催場所;福島県いわき芸術文化交流アリオス 開催日時;2012年4月28日(土) 時間;13〜16時 主催実行Future ForChildren(FFC)委員会(委員長:小野寺 敏:KSS協議会会長) 参加費;無料 後援;福島県いわき市、いわき市教育委員会、KFB福島放送、FCT福島中央テレビ、FTV福島テレビ、テレビュー福島、福島民報社、ラジオ福島 講演; 委員長挨拶 小野寺 敏 第一部 「放射能が体に与える影響について」 高橋周七/カリフォルニア人間科学大学院客員教授 「活性酸素から身を守る食品について」 八並一寿/玉川大学農学部准教授、KSS協議会副会長 第二部 「この時代に必要なストレス対処法」香山リカ(精神科医師、立教大学教授) 問合せ:FFC実行委員 事務局:東京都渋谷区渋谷3−5−16 渋谷3丁目スクエアビル2F TEL 03-6868-4577 FAX03-6869-0258 担当者:菅野、乾、田中 3.第27回KSS健康フォーラムのテーマとその概要
「食品機能性研究にもとめられるもの〜医農工連携による健康増進〜」
(独)農研機構食品総合研究所食品機能性研究領域長 農学博士 日野 明寛(アキヒロ) 日本が世界で最初の超高齢者社会を迎えたこと、そして高血圧症、糖尿病、脂質異常症が懸念されるなどメタボリックシンドローム(代謝異常)と生活習慣病に起因する健康障害の課題が当面の問題となる。予防医学的に貢献する健康機能性を有する食品を供給できる体制の構築が重要となる。 従来からの機能性研究の進展には目覚しいものがあるが、科学的知見の蓄積はまだ十分とは言えない。特定の機能成分を含む高品質な農産物・食品を提供できるネットワークの構築、機能性が優れた素材が手に入るようなシステムが必要。医療費の抑制と日本農業の活性化(6次産業化)が期待される。医薬品のように明確にアレルギーを止めるわけでなくとも組合せて使うことで快適な生活が送れるものも出現してきている。社会的にうまく使えるようなネットワークが現出することが期待される。機能性成分の標準成分表に相当するようなデータベースも少しずつ手懸けられている。 (パワーポイントの解説図は縮小版であるが関心がある所は拡大鏡にて観覧をお奨めする。判読できない必要部分は事務局に連絡を乞う) .
「ファイトケミカル(植物由来機能性成分)の食理作用について」 東京農工大学大学院農学研究院応用生命化学部門栄養生理化学研究室 教授 矢ケ崎 一三(ヤガサキ カズミ) ヒトをはじめとする生き物は生命維持のために外から常に必要物質を摂取する(栄養現象)。通常ヒトは栄養素を食べ物からとる。アミノ酸の一つであるグリシンが睡眠誘導作用をもつような事例が究明されてきた。栄養素の役割以外に薬理的作用の究明する分野を「食理学」として提唱している。ガン細胞は無限増殖性と転移性を現出する。浸潤はガン転移の特徴的な過程でこの特徴的過程の検定系で浸潤能を測定し、ガンの増殖及び/又は浸潤の抑制を判別した。リグナン、カテキン、スチルベノイド等の非栄養素、脂肪酸(EPA)、グリシン(アミノ酸)、ビタミン(C、E)が見出された。 複数のファイトケミカルは、担癌動物で抗癌作用を示し、ガン性脂質異常症を改善することが見出された。合併症の一つ糖尿腎症は早期に血糖値上昇を抑制し、糖尿病の発症を予防することが重要。筋肉は最大の組織であるので、食後の血糖を吸収し、その上昇抑制に働くとみて、これを基に糖の取込み能検定系を構築し、ファイトケミカルの作用で、イソフラボノイド、スチルベノイド等が2型糖尿病モデル動物で血糖値上昇を抑制し、耐糖能異常が改善することを見出した。 培養細胞、モデル動物レベルの実験で植物食品由来ファイトケミカルがガン・糖尿病の予防乃至軽症化に有用であることを究明した(検定能の構築から有用成分の機能の究明においてかなり高度のデータ解析を演出解説頂いたが、聴講者に少し骨折れたかも知れないが、究明の実態を知るいいチャンスであった)。 「エネルギーミニマム型高分子形成システム技術〜カイコの絹糸作り〜」
元農業生物資源研究所上席研究官 科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業チーム長
理学博士 馬越 淳(マゴシジュン) 生態系においては低いエネルギーで生体高分子を作る。合成繊維等は莫大なエネルギーを必要とする。カイコは桑の葉を食べタンパク質を体内で合成する巧妙な手法でタンパク質の分子を精密繰糸した糸を生糸(キイト)と云い生糸からセリシンを取り除く糸をシルク(絹)と云う。野蚕(ヤサン:桑葉以外の樹木の葉を食す)の作柞(サクサン)、天蚕(テンサン)、ムガ蚕(ムガサン)、シンジュ蚕、エリ蚕、インドタサール蚕等の野蚕糸もシルクと呼んでいる。繭繊維の組成は、フィブロインタンパク質が70〜80%、セリシンタンパク質が20〜30%、残りは無機物(0.7%)、ワックス(約0.6%)、色素(0.2%)である。繭繊維は二つフィラメント(フィブロインタンパク質)から成り、各フィラメントの断面積は約80μ㎡である。この二つのフィラメントをセリシンタンパク質で被覆した複合構造を持っている。繭繊維の長さは約1、500m、重量は0.3〜0.5gで、断面は2つの3角形をしたフィブロインとそれを包含するセリシンから構成られている。繭繊維は、二種類のタンパク質のフィブロインとセリシンから成る。シルクと呼称されるタンパク質はフィブロインである。 家蚕のフィブロインの主要なアミノ酸;グリシン、アラニン、セリン、チロシン(野蚕のフィブロインのアミノ酸;アラニン)。 家蚕の3つの分子量の異なる分子(フィブロインタンパク質)による構成 ;H鎖、L鎖とP25 H鎖:360KD,L鎖:25KD(S−S結合)、P25の周囲を6本のH鎖が水素結合で取り巻く。 フィブロインのアミノ酸の結晶部分:主はアラニン、グリシン、セリンの周期的配列になっている。 非結晶部分:グリシン、アラニン、を含 む18種類のアミノ酸で構成される。 繭糸セリシン;溶解性から単一のタンパク質でなく4つに分画、表面の溶解がよく、内側にそって順次溶解性は減少、セリシンⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳと呼称、主要アミノ酸:セリン、アスパラギン酸、グリシン。 絹フィブロインの結晶形:α型(カイコ体内の液状絹を常温乾燥する、絹フィブロインⅠ型)、β型(50℃以上で乾燥する、絹フブロインⅡ型)、液状絹を延伸すると配向したβ型なる。シルクの構造は配向型β構造。 カイコの糸作り;単に口から吐糸でなく、カイコの紡糸口から数十種の紡糸方法が精密に高度な技量で繊維がつくられる。乾式・複合・液晶・倦縮・多孔質・高速・ゲルーゾル転移・イオン制御・自力・自動制御・傾斜紡糸、ゾーン延伸、二酸化炭素固定、低エネルギー紡糸など幾つもの紡糸方法を巧妙に組合せフイブロイン分子を自動制御配向させてシルクを製造する。 大気中の二酸化炭素の利用は植物、光合成細菌と一部の微生物と見られてきたが、カイコやクモが 糸を作る際に大気中の二酸化炭素を絹糸の中のアミノ酸に取込んでいることを実証し得た。極めてユニークなしかも貴重な結果についてのすばらしい話題を聴講させて頂いた。 これからの環境への循環システムに多大な影響をもち、また有用性の高い事象であり、産業的にも意義ある話であった。 *会はこの度復帰された八並副会長に閉会時の挨拶をして頂き、散会とした。
次回は8月26日(月)、同じ場所・同時刻(於 東京都秋葉原)で予定している。講師3名で、希望の話題・講師の選択でご希望があれば事務局までご連絡をお待ちします。 4.その他の情報関係
①「シルクフィプロインが免疫力にも」/シルクフィブロイン/ヘルスライフビジネス(2012.2.1)記事(対談形式) ドクターセラム(株) 代表取締役 吉川 育矢 氏 要旨;九段クリニック Ⅱ型糖尿病患者10名による6カ月長期試験を実施。現在、阿部博幸理事長が論文をまとめている(いい結果が出ている)。 ②「健康食品産業は新たな時代に入りつつある」/ヘルスビジネス(2012.2.1)社説 明るい材料が多い一方景気を冷やすような悪い材料は今のところ見えてこない。健康食品の産業育成の姿勢;農林水産省は機能性食品の事業支援に乗り出し、新事業支援策の一環で新年度予算に300億円を組込んだ。 ③蚕糸・昆虫機能利用学術講演会(2012.3.18〜19、於九州大学箱崎キャンパス/蚕糸学会第24回大会) 423 「徳之島、沖永良部島、沖縄本島のシマクワの食品機能性の特徴」八並一寿、小野寺敏、高濱(一田)昌利(玉川大・昭和薬科大・京工繊大)④「昆虫キチンの利用技術の開発と応用」 羽賀 篤信/本会員 第80巻第3号193−210頁(平成23年12月)別刷(事務局保管)。 ⑤健康食品素材の科学的実証データベース(HFデーターベース)サイトオープンのお知らせ 2013年3月まで年会費無料!登録はお早めに! http://www.hfs−data.jp/ |

