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映画感想―田中登

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月曜ワイド劇場「白い悪魔が忍びよる」

1984年5月28日 テレビ朝日系

監督:田中登
脚本:播磨幸兒
音楽:佐藤允彦
原作:藤本義一

出演:山本陽子、西郷輝彦、佐藤慶、加賀まり子、山村聡

★★★★−
1984年5月28日、テレビ朝日で放映された「月曜ワイド劇場」だ。
映画ではないが、田中登監督枠で書かせてもらいます。
ラピュタ阿佐ヶ谷で鑑賞しました。

裕福な家庭―義父は大学教授を引退して今は隠居生活、旦那は新聞記者政治部、
大きな邸で立派な庭や蔵もある、そんな家庭の主婦が薬物中毒に犯されていく話だ。

しかし、これ、きっかけがなんとも凄い。
この主婦が友人と新宿を歩いていると、道端に謎の男が倒れている。
気味悪がって誰も声を掛けないし友人も通り過ぎようとする。
あ、ちなみにこの友人は樹木希林で、この初めのシーンのみ登場です。(←私の見間違えでなければ)
主婦は山本陽子ですね。
この山本陽子が、よせば良いのに「大丈夫ですか」なんて、男に声を掛けてしまう。
この男、麻薬中毒なんですね。
のっそり立ち上がると、「奥さんはなんて優しいんだ。こんなに親切にされたのは初めてですよ」と、
奥さんに興味津々。これが、また私の大好きな佐藤慶なんですよ。
それから奥さんの周りをチョロチョロとうろつくものの、この追跡はそれ程しつこくない。
男は正面から来ないんです。
奥さんの書道教室の先生(加賀まり子)へと近づいて、
そこから奥さんへと麻薬を手渡すんです、「肩凝りの薬」と偽ってね。
それからはもう、錠剤服用→軽いヤク中→注射で麻薬→佐藤慶に犯され写真撮られる
→ヤク漬けの日々・幻覚症状→ヤク欲しさにやくざと寝る→麻薬が旦那にバレる
→家出して佐藤慶の女になり、更に売春をして稼ぐ
…と清純な山本陽子さんがどんどん堕落していくわけです。

「白い悪魔」とは即ち麻薬のことなんですが、本当の悪魔は佐藤慶です。
黒いコートをひらひらさせて歩く佐藤慶は、まさに悪魔の姿。あの形相は悪魔の顔ですよ。
奥さんを薬漬けにするまでの手法も、まるで手品のようで、
ストーカーにありがちな異常な興奮状態や激しい好意もなく、
人間っぽくない…うん、やっぱり悪魔なんですね。
ラストも、泥だらけのコートだけ残して姿を消すんです。
こういう終り方って、今の二時間ドラマではないなー。
大体、捕まるとか謎ときがだらだらと行われたりするでしょ?
この作品では謎ときが一切ない。
だから佐藤慶は、一体何者だったのか、どうしてヤク中になったのか…などは謎のまま。
佐藤慶については何も明かされないまま終わる。
こういうの、悪魔だったのかなーみたいな余韻を残して良いですね。
だらだらと種明かしされると興ざめすること、結構ありますから。

作品の大半は、麻薬漬けになった山本陽子の葛藤です。
薬が切れた時の凄みのある演技と、薬をやった直後の嬉々とした様子の変化が見事です。
従順で素直だった奥さんが、段々陽気ながらも言動がおかしくなっていくところが面白い。
ラピュタのチラシには
「クスリが切れた彼女が錯乱する場面はポランスキーの『反撥』を髣髴とさせる」
とありましたが、私は『反撥』を観ていないので残念ながら分かりません。
この作品を観ると、麻薬中毒の推移がよく分かりますね。

これは、一見すると麻薬の恐怖を描いたもののようですが、
私は、世の男性への警告なのではないかと思います。
この旦那(西郷輝彦)、結構な勝手野郎です。
新聞記者で忙しく夜も帰りが遅いというのは仕方ないとしても、
疲れているからと夜の営みを断る妻に対して
「ふざけるな!!妻のコンディションに夫がいちいち合わせていられるか!」と怒鳴ったり
介護から家事まで全てをこなす妻の体調の悪さを全く心配せず、「おい、めし!」と叫んだり。
麻薬中毒が発覚しても、
「俺は今スクープを抱えている!明日は北海道に行くんだ!
こんな時にくだらないことで手間をとらせるな!!いいか、これはお前の問題だから自分でどうにかしろ。それによって、俺が今後を決める。分かったか!!」なんて…ちょっと酷いよね?

世の中の旦那さーん、奥さんを道具扱いしていると、とんでもないことになりますよー♪ってね。

今の二時間ドラマでは、たとえ麻薬の事を扱ってもこうは作らないだろうなーという作品です。
謎や疑問の残る作品ですが、恐怖映画(ドラマ)としても楽しかったです。

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私はTVで見ただけですが、山本陽子がイメージをかなぐりすてて、捨て身で堕ちていく所が印象に強く残ってます。 田中登が監督した訳ではないのでしょうが、佐藤慶、加賀まり子なども本気モードで演技してますね。

2007/3/30(金) 午前 11:27 [ ひろちゃん2001 ]

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山本陽子はかなり捨て身で演技していますよね。メイクや髪型もどんどんケバケバしくなっていき、娼婦の姿などは酷い有様でした。その酷さがまた、麻薬の恐怖を示していて真に迫っているのですがね。ところで…この作品は田中登が監督したテレビドラマだと思います。テロップにも「監督 田中登」とありましたし、ラピュタの田中登特集の中で上映されていたので。やっぱり監督の作品はテレビドラマでも違うなーと、監督贔屓の私は思ってしまいました(笑)

2007/3/30(金) 午前 11:52 [ kobutatoahiru ]

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そうですよ、テレビ朝日の月曜ワイドで放送されていました。 田中登は、近年はTVばかりで、本編を撮っていないのが残念ですね。 私は、田中登では、”人妻暴行致死事件”がBESTです。 しかし、ラピュタって面白い企画をやるのですね。 近いから行って(調布なので)見ようかな。

2007/3/30(金) 午後 0:13 [ ひろちゃん2001 ]

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ラピュタで田中登監督のパンフレットが販売しており(今回の企画の為にHotwaxが作ったそうです)、その中にあった作品一覧で「こんなにテレビドラマを手掛けたのかー」とびっくり致しました。ラピュタの企画はテレビドラマも3本上映してくれるので、なかなか観る機会のない今となっては嬉しい限りです♪「人妻集団暴行致死事件」もラインナップに入っていました!私は今回観るのが初めてなので楽しみです。hiochanさんも是非是非!

2007/3/30(金) 午後 11:11 [ kobutatoahiru ]

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kobutatoahiruさん、はじめまして。突然のコメント失礼いたします。 私も昨日「白い悪魔が忍びよる」を観たのですが、山本陽子の演技と佐藤慶の怖さに、釘付けになりました。 kobutatoahiruさんのご指摘通り、この作品は身勝手な夫への警告だと思います。そこら辺をうまく入れた脚本も見事だったと思います。 このような素晴しい作品が陽の目をみずに、このままジャンクされていくのは非常に惜しいです。DVD化などされればよいと思うのですが。 また遊びにきます。

2007/4/1(日) 午前 7:20 [ ショコラ ]

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はじめまして linenさん この作品はテレビドラマで埋もれさせては勿体無い出来栄えのものでしたね。今回を逃したら見る機会はなかったと思うので、貴重な体験でした。単なる麻薬の恐ろしさやそこからの救出劇を描くだけではなく、夫婦関係をさり気なく取り入れているところや謎のまま去る佐藤慶などを登場させる事で、見事な作品になっていますよね。勿論、山本陽子の迫真の演技あってこそだとは思いますが!また観られる日がくるのかなー…

2007/4/1(日) 午後 3:37 [ kobutatoahiru ]

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にっかつロマンポルノでは、田中登だけでなく、神代辰巳、西村、曽根等の傑作、快作が多いのですが、にっかつ自身がビデオ化に消極的であり、漸く重い腰を上げたら、AVに食われてしまって、見れなくなってしまっている作品が多いですね。映画会社が倒産するとそのまま本編が撮れなくなってしまう事が多いのが残念ですね。日活の前に大映の監督たちも埋もれてしまった人が多いですね。ラピュタは今度行ってみます。

2007/4/1(日) 午後 5:17 [ ひろちゃん2001 ]

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hiochanさん うーん、なんとも残念なことですね。ラピュタで見かけたのですが、田中登監督作品は何作かDVD化されているのですね。驚いてしまいました。「牝猫たちの夜」「実録阿部定」などでしたが。にっかつロマンポルノは素晴らしい作品が多いなーと、観る度に思い知らされます。もっともっと観てみたいです!

2007/4/2(月) 午前 1:02 [ kobutatoahiru ]

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神代の場合は、別の会社で、結構映画を撮れていたのに、田中登の場合は、”丑三”が作品的、興行的に失敗した事が響いて、TVの方へ流れて行ってしまったのです。(残念) 田中以外で、にっかつでお勧めなのは、西村昭五郎のハードボイルド物、神代作品、小沼勝の谷ナオミ物、曽根の”花の応援団”シリーズなどです。

2007/4/2(月) 午後 2:45 [ ひろちゃん2001 ]

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hiochanさん 田中登監督がTV作品に向かったのは、そういう経緯があったのですね。「丑三つの村」も今回の特集で上映されるので、しかと観てきます!上記に挙げて頂いた監督の作品は小沼勝の「夢野久作の少女地獄」と神代の「四畳半襖の裏張り」しか観たことありません。上映の情報を得たら(レンタルもあるかな…)絶対観てみたいですね!有難うございました☆

2007/4/3(火) 午前 1:44 [ kobutatoahiru ]

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にっかつ無き後では、邦ピンク系でも名作・快作があるので、お見逃し無きように。高橋伴明、周防などなど。

2007/4/3(火) 午後 1:35 [ ひろちゃん2001 ]

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ひろちゃんさん はい、注意深く上映情報をチェックします!周防監督は「変態家族 兄貴の嫁さん」を観ましたが、楽しかったです、笑えて。最近のものでは、「たまもの」(いまおかしんじ監督)などを観たかったのですが、見逃しています。できる限り追いかけます。

2007/4/4(水) 午前 3:04 [ kobutatoahiru ]

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ピンク4天王とか。 後は、ビデオ販売系で廣木隆一の”夢魔”(イタリア映画ではありません)、”魔王街”なんかがお勧めです。

2007/4/4(水) 午前 10:38 [ ひろちゃん2001 ]

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ひろちゃんさん 情報有難うございます!「夢魔」「魔王街」など、題名からして惹かれますね。「夢魔」なんかは、題名からは武智鉄二の「白日夢」のようなものなのかなー…なんて想像してしまいます。あれをもっとエロティックにしたような。あ、あくまでも勝手な想像です(笑)

2007/4/4(水) 午後 3:41 [ kobutatoahiru ]

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廣木隆一は、ビデオ系シネマで伸上がった珍しい監督です。 特に紹介の2作品等の作品は快優の田口トモロヲの存在感とあいまって 妖艶な作品ですので、お勧めです。(追加で。”君といつまでも”も)

2007/4/4(水) 午後 4:05 [ ひろちゃん2001 ]

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