
1979年
監督:田中登
脚本・原作:石井隆
出演:鹿沼えり、地井武男、水島美奈子、山口美也子、青山恭子、古尾谷雅人
★★★+
女性週刊誌の記者・名美(鹿沼えり)は、強姦被害者達のその後を取材する中で、
次第に自分自身が強姦されたかのような奇怪な妄想に囚われていく。
名美は「事件のことは思い出したくない」と逃げる被害者に詰め寄り、
「他の被害者達に教訓となるように!どうやって立ち直ったのか、
被害にあった後どのような苦しい目にあったかを是非!」としつこく質問する。
この強姦被害者のその後という記事は、大人気の特集だ。
名美は初めて任された連載ということと、女性の為になっているという正義感で、
この仕事に燃えている。
取材途中に出会った他社の記者・村木(地井武男)は、
名美が被害者の写真を撮ろうとするのを制止する。
実は村木も強姦被害者をずっと追っていたのだが、記事にした事はないのだった。
村木には、強姦された妻が、その強姦相手と駆け落ちしてしまったという過去があったのだ。
村木と名美は喧嘩相手として接するようになるが、その内に2人の距離は段々と縮まってくる。
連載最後の被害者である看護婦を取材に行った名美だったが、
この看護婦は強姦された後発狂し、危険な人物なのであった。
名美の身に危険が迫ろうとしていたその時、助けに入った村木だが…。
これは、不思議な作品でした。現実と妄想がごっちゃになったものです。
名美は、強姦被害者の取材をしていくうちに、強姦されたいという欲求を抱いているように見えました。それは、被害者達が強姦をされたことによって、
現在の性生活の中で異様な昂奮を得ていること(宙を見ている虚ろな目、などで表現されます)、
そして被害者達に「強姦されていないあなたには分からない」などの言われ方をすることから、
段々と憧れのようなものを抱いていったのではないでしょうか。
勿論、自分でも気が付いていない深層心理で、だとは思いますが。
「天使のはらわた 名美」の“天使のはらわた”ってなんだろう?と観ながらずっと思っていました。
出ました出ました!最後に。最後の取材対象者の看護婦は、病院で被害にあったのですが…。
変な男に麻酔薬を嗅がされて、「お前のはらわたが見たい!お前のはらわたが見たい!」と言いながら、腹をメスで裂かれるんですね。ここ、結構気持ち悪いです。変な内臓の映像が一瞬ですが出てきます。
サブリミナル効果のようです。いや、何度も何度もは挟まれませんが(笑)
これかー、はらわたって…と納得がいきました。
この女性、腹を切られた後、死体が浸かっているホルマリン溶液の中で強姦されるんですね。
名美はこの発狂した女に、強姦のようなことをされるんです。途中で助けが来ますが。
この後です、名美の現実と妄想がごっちゃになるのは。
恐らく看護婦との出来事がショックで、それまで取材した被害者の過去が全部流れこんできたのですね。会社で揉みくちゃにされて服を脱がされるという妄想の場面なんかは、ちょっと不思議な世界でした。
しかし、この名美という女、私は好かないですね。
都合の良い正義感を抱いて、同じ女性でありながら被害者達を更に追い詰めていく。
これはひょっとしたら、強姦自体よりも辛いのではないだろうか。
強姦よりも辛いことはないとしても、まぁ二次被害ですよね。
自分は間違っていないと言い張る名美に、ちょっとした憤りを感じていたので、
こうやって被害者の過去が流れこんで苦しい目に遭うのは、その報いだ!と思ってしまいました。
それから、自分のことを「名美は…」と呼ぶのも気になりましたね。
確かに鹿沼えりは可愛らしいですが、
記者というのはもっとクールでいて欲しい…というのは私の勝手な願望(笑)
とても力強い画面だな、と感じました。
八神純子の「みずいろの雨」は印象的です。
台所のゴキブリの死骸の映像も、いやにリアルでした。
ところどころが妙にグロテスクな作品です。
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田中作品なのですが、石井隆色が強い映画ですね。 私もみずいろの雨の音楽の使い方の上手さが印象に残ってます。
2007/4/9(月) 午前 10:21 [ ひろちゃん2001 ]
ひろちゃんさん そうなんです、なんだか、画面が荒々しいというか力強い感じでした。“絵”が用いられたりしていましたよね。漫画みたいな。ああいうのも、いつもと違う感じで、それはそれで新鮮でした。
2007/4/9(月) 午前 11:41 [ kobutatoahiru ]
石井も映画ファン(監督にもなりましたが)だったので、名美ものは、あの名作”浮雲”がベースにあるみたいです。 すれ違いドラマなんですよね。
2007/4/9(月) 午後 0:42 [ ひろちゃん2001 ]
ひろちゃんさん あ、石井隆さんは監督もしていらっしゃるんですね!「浮雲」がベースにあるとは…、ちょっと驚きですね。
2007/4/10(火) 午前 1:31 [ kobutatoahiru ]
見てはいませんが、なんだか三島由紀夫の「音楽」のようなテーマですね。この記事を読んだら見てみたくなりました。ビデオ屋にあるかな?
2007/4/10(火) 午前 8:02
監督としても良いですよ。”死んでもいい”、”ヌードの夜”はお勧めです。近作はあの杉本彩の”花と蛇”ですよ。(未見です)
2007/4/10(火) 午前 10:00 [ ひろちゃん2001 ]
neponさん なるほど〜、「音楽」ですか!言われてみれば、主人公が強い願望を抱いているところや(「音楽」の場合それが身体にまで影響を与えてしまいますよね)、強迫観念のようになってしまうところなんかが同じですね。「音楽」は小説は勿論映画も好きです。neponさんの視点、自分にはなかったので面白いな〜と思いました。ビデオはどうだろう…今TUTAYAで検索してみましたがありませんでしたね。
2007/4/10(火) 午前 11:46 [ kobutatoahiru ]
ひろちゃんさん 先程調べたら「花と蛇」の監督さんだとありましたので、なるほど〜と思いました。観てないんですけどね(笑)お勧めの作品を是非観てみたいですね!
2007/4/10(火) 午前 11:52 [ kobutatoahiru ]
漫画家だけあって、絵から入る演出で、見ごたえがありますよ。 ”死んでも良い”は、大竹しのぶの刹那な愛の深みに嵌る所が悲しく美しいです。
2007/4/10(火) 午後 1:52 [ ひろちゃん2001 ]
私、大竹しのぶの演技力は凄いなと感じているので、彼女が出るというだけでちょっと興味深いです。と、言っても彼女の作品少ししか観ていませんが(笑)
2007/4/11(水) 午前 0:17 [ kobutatoahiru ]
私生活では変な人ですが、役者としての集中度はものすごいですね。
2007/4/11(水) 午後 0:02 [ ひろちゃん2001 ]