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去る2014611日に参議院憲法審査会で国民投票法の改正案が可決され、13日の本会議で成立し、憲法改正の国民投票が可能となりました。
 
この参議院憲法審査会における可決の際に、将来において、立憲主義に反する憲法改正を防ぎ、また、目前の課題である解釈改憲に対し、事前に解釈変更の案などについて十分な国会審議を受けることを内閣に義務付けることによりそれを阻止する、以下のような附帯決議を付させて頂きました。(全体は下記を参照)
 
一、 本法律の施行に当たり、憲法審査会においては、主権者たる国民がその意思に基づき憲法において国家権力の行使の在り方について定め、これにより国民の基本的人権を保障するという日本国憲法を始めとする近代憲法の基本となる考え方である立憲主義に基づいて、徹底的に審議を尽くすこと
 
六、 本法律の施行に当たっては、憲法の最高法規性及び国民代表機関たる国会の国権の最高機関としての地位に鑑み、政府にあっては、憲法の解釈を変更しようとするときは、当該解釈の変更の案及び第四項における政府の憲法解釈の考え方に係る原則への適合性について、国会での審議を十分に踏まえること
 
※ なお、この附帯決議については、本日15日付の朝日新聞「天声人語」においても、大変分かりやすくご説明頂いております。
 
附帯決議とは、法的拘束力はないものの、法案可決に当たっての国会の委員会の立法意思を示すものとして、大きな政治的拘束力を有し、事実上の法規範として機能し得るものです。この附帯決議採択の際にも、委員会出席の谷垣法務大臣、新藤総務大臣はそれぞれ、「決議の趣旨を尊重し、適切に対処する」旨の発言を行っています。
 
私は憲法審査会の幹事を務めていますが、①安倍総理という立憲主義や憲法13条などを全く理解せず、また、解釈改憲という暴挙を強行しようとする危険な最大権力者が存在し、さらに、②大日本帝国憲法と憲法的には同質の自民党草案が存在する状況のもとで、拙速に国民投票法の改正を行うことは、国民の皆様に対して極めて危険なことであると考えてきました。
 
それ故に、「国民投票法を成立させる条件として、安倍総理の憲法観の撤回と自民党草案の撤回を国会審議や党首討論などで突き付けるべき」という主張を民主党の会議の中でも再三述べてきました。
 
もし、現在の解釈改憲の危機のように、立憲主義等に理解のない政治勢力が圧倒的多数を占め、自民党憲法草案のような改正案が国会で発議され、それがかつての郵政解散のような政治権力の情報操作による混乱のもと国民投票で可決してしまったら、つまり、一旦憲法が壊れてしまったら、もはや誰も国民の皆様を守れる者がいなくなります。
 
誤った憲法のもとで内閣は容易に国民の自由や権利の侵害を起こし、それに対し、国会は誤った憲法のもと人権侵害を許容する立法しかできず、さらに、最高裁も誤った憲法により人権侵害を放置する判決しか出せなくなります。
 
こうした危機意識を有しながらも、『党として解釈改憲に反対し、そして、安倍総理に対して「堂々と憲法改正で勝負してみろ」と迫るためには、その改正手続法を成立させない訳にはいかない』という民主党の議論の中で、苦渋の判断をした次第ですが、何としてでも自らの責任でその危険を排除するとともに、現下の解釈改憲の強行を打撃する決意でおりました。
 
そうした決意のもと、民主党の白 眞勲(はく しんくん)筆頭幹事にご相談し、附帯決議案を起草し、白筆頭幹事の百戦錬磨の戦略・戦術のご指導のもとに与党自民党と協議を重ね、最後は、審査会の直前まで協議を行い、その結果、一定の内容を確保したまま、自民党を含む賛成多数の可決に至ることができました。
 
今後の衆参の憲法審査会の審議と政府の憲法解釈やその変更は、この附帯決議の内容を踏まえて行われることになります。
 
国民主権や立憲主義を蹂躙しようとする空前絶後の誤った政治状況の中、今と将来の国民の皆様を守るために、参議院として非常に重要な取り組みをさせて頂けたものと考えています。
 
早速、集団的自衛権行使の解釈改憲について、この附帯決議第六項の遵守を内閣に求める質問主意書を613日付けで提出致しましたが(20日が答弁期日)、引き続き、全力で安倍政権と対峙して参ります。
 
 以下に、各項目の概要をご説明させて頂きます。(※下線などは小西加工による)
 
――――――――――――――――――――――――――――
日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
平成二十六年六月十一日 参議院憲法審査会
 
一、 本法律の施行に当たり、憲法審査会においては、主権者たる国民がその意思に基づき憲法において国家権力の行使の在り方について定め、これにより国民の基本的人権を保障するという日本国憲法を始めとする近代憲法の基本となる考え方である立憲主義に基づいて、徹底的に審議を尽くすこと
 
二、 本法律の施行に当たり、憲法審査会においては、日本国憲法の定める国民主権、基本的人権の尊重及び恒久平和主義の基本原理に基づいて、徹底的に審議を尽くすこと
 
三、 本法律の施行に当たり、憲法審査会においては、日本国憲法の定める憲法の最高法規性並びに国民主権及び間接民主制の趣旨にのっとり、立法措置によって可能とすることができるかどうかについて、徹底的に審議を尽くすこと
 
 
・ 第一項は、将来、立憲主義に反する自民党憲法草案第13条のような憲法改正案が審議されることとなった際に、それが、立憲主義に反しないかどうか徹底的に審議を行い、それを排除する(改正案として発議しない)ことを定めたものです。
 
  「国家権力を制限し、国民の自由や権利を保障する」という立憲主義と適合する内容以外のことを憲法に一言たりとも書き込んではいけません。それをした瞬間に、大日本帝国憲法と同じように治安維持法などの法律で如何様にも国民の皆様に対する人権侵害を国家権力が犯すことができるようになります。
   (参考: 自民党草案13条が明治憲法と憲法的に同質であることを示す「芦部憲法」抜粋)
 
・ 第二項は、将来、恒久平和主義などの憲法の三大原理を破壊する憲法改正案が提出された場合にそうした改正案を排除し、発議されることを防ぐためのものです。
 
憲法の三大原理は義務教育から全日本国民が習っていることではありますが、これを否定する自民党憲法草案などがある中、絶対に国会が過ちを起こさぬようこれを防ぐことにより、将来の国民の皆様を守るための規定です。
 
・ 第三項は、そもそも憲法改正によらず法律で実現可能なものは立法措置のみで対処することを義務付ける趣旨です。
 
  実は、憲法改正の発議により主権者である国民の皆様に国民投票をお願いする必要があるときは、国会がある政策を実現しようとするときに憲法の条文を変えない限り国会としてどうしても法律が作れない(=違憲立法になる)ときのみです。
 
それ以外の場合は、法律で速やかに実現すればいいだけであり、むしろ、法律でできることをわざわざ憲法に書き込むことは憲法全体の価値をおとしめ、憲法の有する法規範力を低下させることになります。こうしたことを、憲法学的には「人権のインフレ現象」といいます。
この意味で、環境権などについても、既に、環境基本法も環境省もあるのに本当に憲法改正の必要があるのか徹底的な審議が求められます。
 
なお、この第三項は、自民党草案のようなある特定の歴史や伝統文化による憲法改正原案が持ち込まれたときに、「どうしてもやりたいなら、思想良心の自由や政教分離など憲法が許す範囲内で、法律でやればいい」とそれを排除するためのものでもあります。
特定の歴史観等を憲法規範とし国家価値とすることは第一項の立憲主義にも反しますが、二重の意味で国会が誤った改正発議をすることを防ぐための規定です
 
 
四、 本法律の施行に当たり、政府にあっては、『 憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に当該解釈を変更することができるという性質のものではなく、仮に政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねず、このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないが、いずれにせよ、その当否については、個別的、具体的に検討されるべきものである 』と政府自身も憲法の解釈の変更に関する審議で明らかにしているところであり、それを十分に踏まえること。
 
注:『 』の中が第二次安倍内閣も引き継ぐと答弁している政府の「憲法の解釈変更のルール」。
 
 
五、 本法律の施行に当たり、政府においては、前項に基づき、解釈に当たっては、立憲主義及び国民主権の原理に基づき憲法規範そのものに対する国民の信頼を保持し、かつ、日本国憲法を国の最高法規とする法秩序の維持のために、取り組むこと。
 
六、 本法律の施行に当たっては、憲法の最高法規性及び国民代表機関たる国会の国権の最高機関としての地位に鑑み、政府にあっては、憲法の解釈を変更しようとするときは、当該解釈の変更の案及び第四項における政府の憲法解釈の考え方に係る原則への適合性について、国会での審議を十分に踏まえること
 
 
・ 第四項及び第五項は、政府自らが明らかにし、第二次安倍内閣においても引き継ぐとしている、論理的整合性の必要などの「解釈変更のルール」を逸脱した解釈変更を禁止し(第四項)、さらに、立憲主義や国民主権に反するような解釈変更を禁止し、かつ、そうした解釈改憲は、国民の憲法規範への信頼の喪失や法秩序の崩壊を意味するとして(第五項)、解釈改憲を内容的に阻止するとともに次の第六項の国会監督規定の布石としているものです。
 
・ 第六項は、解釈改憲を手続的にも阻止するためのものであり、仮に政府が憲法解釈の変更が可能と考えるときは、閣議決定の事前に、その解釈の変更の法的根拠とそれが第四項の「解釈変更のルール」を逸脱していないことの証明を国会に対して行い、国会で十分な審議を受け、それを踏まえなければならないとしているものです。
 
  最高法規である憲法は主権者国民の皆様のものであり、内閣による憲法の運用解釈が国民の手を離れ恣意的かつ意図的なものになることがないよう、主権者国民の代表機関である国会が国会審議等により内閣を監督することになっています(=国民主権、間接民主制、議院内閣制)。従って、内閣が憲法解釈の変更を行うときは、事前に、その変更案とその適正について国会で徹底的な審議を受ける必要があります
 
特に、憲法第九条については、半世紀以上にわたりこうした主権者国民に代わる監督を内閣に対して国会が何千回という国会審議を積み重ねることにより行ってきたものであり、これを一内閣の閣議決定だけで解釈変更を行うことは、議会の否定、ひいては主権者国民を否定する絶対に許されない政治的クーデターというべき蛮行です。
 
つまり、第四項〜第六項は、一言で言えば、閣議決定による解釈改憲をその内容面・手続面の双方で縛りを掛け、それを断固封じるためのものです。
安倍総理は、憲法第九条の解釈改憲の論理的整合性などについて、国会で本格的な論戦を行えば到底持ちこたえられないために、議院内閣制やその前提の国民主権等を蹂躙し、閣議決定だけで解釈改憲を強行しようとしています。
そうした暴挙を国民の皆様の代表機関である国会で、断固として阻止するための附帯決議です。
 
 
※ なお、他にも国民投票運動の過度の規制を阻止するための規定(第十五項、第十六項)など衆院附帯決議にはない多くの項目を全20項目盛り込んであります。決議の全体は参議院HPの当日の憲法審査会の議事録末尾でご確認頂けます。

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