モコモコ雲を探しに♪

プロフ画を宇野亜喜良氏に描いて頂いちゃいました♫な〜んちゃって(≧∇≦)

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   気分上々
           森絵都                  角川書店

ウェルカムの小部屋

文句なしの婚約者と別れ、自称発明家と結婚し、案の定離婚した女性を癒してくれるのは、元夫が『ウェルカム!』と表現した最新式のトイレだった…。
 
 
最後の二行が、うまい
 このからくりを知るのに必要なのは一定の時間だけだったのに、夫にはそれが待てなかった。私は夫が待てるようになるまで待てなかった。

彼女の彼の特別な日 彼の彼女の特別の日

元彼の結婚式の帰り、初めてバーに立ち寄った彼女は隣席の男から「互いに一つずつ願いを叶えあいませんか」とナンパされる。
 
大好きな祖母の始終九日の帰り、初めて一人で立ち寄ったバーで、隣席の女性が祖母そっくりだったため、勇気をふりしぼって生まれて初めて女性に声をかける。
 
 
彼女の章は「ダ・ヴィンチ」に、彼の章はネットで公開されたという、一つの恋のA面B面のような作品。
彼の話を読み、彼女の話を読み返さずにはいられない、これもラストがうまい一作。

17レボリューション

女子高生の千春は、「イキが悪い」男に立て続けに失恋し、意気消沈。
「イキがいい」を一番の価値基準にしようと自分改革を思い付いた十七歳の誕生日、「イキが悪い」親友のイヅモに絶交宣言を言い渡すのだが…
 
 
高校生を主人公にした初の作品とのことで意外。
普通、高校生だったら「イケてる」と言う気がするのですが、「イキがいい」と言ってしまう千春の描写にうまさを感じ、イヅモと同じ穴の狢だと( ̄ー ̄)ニヤリ
薄暗い未来図のどこが悪い!』と開き直る様にも( ̄ー ̄)ニヤリ

本物の恋

十七歳の夏祭りで、たまたま同じカップルに熱い視線を送っていた縁で知り合った男が、「本物の恋」をしていると愕然とし「本物の恋」に目覚め、どこかで彼を捜していた女が、八年後の偶然の男との再会で知る驚愕の真実とは…
 
 
これも、うまい
短編なのに、人生が詰まっている観で、余韻あるラストがたまらない。

東の果つるところ

左右対称の名前が幸運の理由と重んじる草間一族の呪縛から自分の意志で逃れようとした草間美果が、東に逃げ、女優・武澤花緒としてデビューするが、死期が迫る中、十五歳になったお腹の中の我が子に宛てて手紙を綴る。
 
 人間の背後には過去があり、過去の中心には家族がいる。
 そんな現実を見るにつけ、私の中へ居座っていた家族願望は急速にしぼんでいきました。
 今は思います。人はむしろ他人を大切に生きるべきではないのか、と。
 家族は選べない。けれど他人は選ぶことができる。家族の数は限られているけれど他人は無限に開けている。
 
 
『こだわるというのは囚われること』という言葉に共感。
左右対称の名で埋め尽くされた二日がかりで完成させたという家系図が圧巻
 
 どのみち人の心は儚く、身体はいずれ朽ちる。しかし、名前は不動である。骨は灰と化し、魂は輪廻し、あとに残るのは家系図のみ──。
 
ところで、左右対称の名前って、運がいいのかしら…気になる。

本が失われた日、の翌日

本という本が、この世界から完全に失われ、自分も職業作家ではありえなくなる…
 
 
こんな日がくることを、活字中毒としては考えたくもないけれど、本という形に囚われず活字を追い求めていくのかも…

ブレノワール

ジャンは、ブルトン人である以前に自分は自分だと考えの下、ブルトン人の呪縛から逃れたい一心で、頑固者の母をはじめ親戚から距離を置いていたが、母の遺言通りの人生を歩んでいることに気付き、長い年月を経て母の真意を知る。
 
 通り過ぎない人々。土の匂いがする彼らとともに僕らはこの地に根を張り、新たな種を撒きつづけ、わかちあえる実りを待つだろう。
 
「東の果つるところ」と同様、一族の呪縛から逃れようともがく苦悩を描いているが、得る答えが違うというのが印象的。
 
梨木香歩さんの「西の魔女が死んだ」のサプライズを連想。
 

ヨハネスブルグのマフィア

黄熱病の予防接種を受けに行った東京港湾合同庁舎で知り合った男と恋に落ちるという、三十九年二ヶ月生きてきて起こらなかったことを体験。
 
その十年後、再び同じ場所に黄熱病の予防接種に行くと四十九年二ヶ月起こらなかったことも四十九年三ヶ月目に起こりうるということを知る。
 
 
まるで、ハンフリー・ボガードの主演映画を見ているかのような洒落た一作。
確かに、人生何が起こるかわからない。

気分上々

中学生の柊也は、四ヶ月前に亡くなった父の遺言を守り、キャラがまったく違う寡黙な男を演じる羽目になったお蔭で幼馴染の片想いの相手・依林と距離を感じるようになり、恋敵・の出現に嫉妬するあまり、エロいDVDの鑑賞会より翼の食事の誘いに乗ってしまい…
 
 
担当編集者の「中二以上の男子を主人公にするならエロは必須」という意見を尊重した作品だそうで、その助言が大いに生かされており、柊也ママ同様、私も吹いてしまった。
 
依林ママの達観した観のある豪快な次の台詞が印象的。
「金持ちには不愉快なヤツが多いよ。不愉快なヤツを敵にしたっていいことひとつもない。客にすれば金が生まれて愉快になる」

デビューから二十年間に、色々な場所で発表してきた九編の短編を発表順に収録した短編集です。
 
読み始めて、何度も感嘆の溜息をついちゃいました。
それだけでは物足らず、つい「森さん、うまい」って、数回声に出してしまいました。
 
長編も素晴らしいけど、「架空の球を追う」、「異国のおじさんを伴う」、そして本書と、短編も本当にうまい。
 
 
すると、「あとがき」の最後に、こう書かれていて、納得。
 
 最後に──私は長編小説と同じくらい短編小説が好きです。短編小説の良さは、畢竟、「人生、短い中でもいろいろ起こり得る」ことを、その短い枚数の中で仄めかせることができることではないでしようか。重要な何かがもたらされるのに、必ずしも長い時間は必要とされないかもしれない。その可能性のような、その希望のようなものを、今後も自分なりにおっていきたいです。
 
しかし、短い中でそれを描くのは至難の技のはずで、短編こそ作家の力量が問われる。
 
私は短編の場合、特に最後の一文で余韻に浸れるか否かが決まると思っているのですが、本書は、すべてにおいて筆の置き方が絶妙で感服。
どっぷりと浸ることができます。
 
まさに、「気分上々」になれる短編集でした♪
 

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閉じる コメント(8)

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どのお話も最後がスッキリまとまっていたり、ニヤリとさせられたり…ほんとにお上手ですよね
内容も短い中にギュギュット詰まっていて、ホントに良かったです
トラバさせてくださいね

2012/4/6(金) 午前 10:44 く〜みん 返信する

く〜みんさん。二十年間に書かれた短編を集めたというのに、一冊にして違和感を感じさせないこともすごいと感心しました。
トラバありがとうございました(*^^*)

2012/4/7(土) 午前 11:43 金平糖 返信する

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予約しているのですが、もうすぐ順番が回ってきそうなので楽しみです♪金平糖さんのご感想で期待度が更に高まってきました^^。
金平糖さんが挙げられていた2冊の短編集も読んでいないので、こちらもチェックしておきますね〜^^♪

2012/4/8(日) 午後 2:47 lime 返信する

limeさん。長編の「この女」も、ますますお上手になってきたと感心させられましたが、本書のように20年間に書かれた短編を集めた本も、変化の様子を追えてまたいいものだと思いました。

2012/4/9(月) 午前 11:24 金平糖 返信する

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これもおもしろかったなぁ〜!(^^)!
すべて余韻を感ずる作品ばかりでした。こんちゃんと同じく森さんってこんなにうまかったっけ?と失礼ながら思ってしまった(笑)

2012/5/9(水) 午後 7:13 たまごアイス 返信する

たまちゃん。短編がうまい作家さんて、なかなかいないよね。森さんは長編も面白いし、次作が楽しみ。被災犬のノンフィクションが出ているんだけど、それを読もうか、すごく迷ってる^^;

2012/5/10(木) 午前 10:20 金平糖 返信する

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「ブレノワール」が別収録されている本を読みましたよ〜〜。

「チーズと塩と豆と」角田光代 井上荒野 森絵都 江國香織

4編が収録されています。作家さんと題名からして惹かれるでしょう?
どれも絵が浮かぶ異国の物語で余韻が残り、いい感じでした。

2013/3/4(月) 午前 6:57 たまごアイス 返信する

たまちゃん。その本は、テレビの企画じゃない?番組をチラリと見ました。ただ、森さん以外の三人の作家さん、好みではないので手を出せずにいるのよ…

2013/3/5(火) 午前 11:30 金平糖 返信する

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