モコモコ雲を探しに♪

プロフ画を宇野亜喜良氏に描いて頂いちゃいました♫な〜んちゃって(≧∇≦)

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「夢幻花」(東野圭吾)

    夢幻花
             東野圭吾             PHP研究所
 
【プロローグ1】
娘が生まれたばかりの日下部真一和子夫婦は、通り魔・田中和道に襲われる
 
【プロローグ2】
中二の蒲生蒼太は、年間恒例行事である入谷の朝顔市で熱心に見入る父・真嗣と歳の離れた兄・要介(27)に距離と疎外感を感じていた。
 
朝顔市で知り合った同い年の伊庭孝美に初恋をし、メール交換するようになり何度かデートを重ねていたが、父に見咎められて以来、孝美とは連絡が取れなくなる。
 
     ……………★……………★……………★……………★……………
 
大学生の秋山梨乃(20)は、オリンピックを目指す水泳選手だったが、ある理由から水泳をやめ、進む道を模索中。
 
彼女はデビューを控えたアマチュアバンドでキーボードをしていた従兄・鳥井尚人(22)の突然の自殺の報を受け呆然とする。
 
葬儀の席で、久しぶりに祖父・秋山周治に再会し、一人暮らしの周治の家を訪ねるようになる。
花を育てるのが趣味の周治のためにブログ開設を手助けすることになる。
 
昼休みに電話を入れ、夕方訪ねてみると、何者かに殺害された周治の遺体を発見する
 
刑事の早瀬亮介は、秋山周治という被害者の名前を聞き、愕然とする。
周治は、別居状態の妻と暮らしている一人息子・裕太の恩人だったからだ。
久しぶりに電話をしてきた亮太から、自分の代りに周治に恩返しをしてくれと頼まれるが、捜査は難航。
 
梨乃は、周治が「ブログ掲載したら大変なことになる」と言っていた最後に咲かせた黄色い花が盗まれていることに気づき警察に通報するが、重要視されず、捜査が進展しないことに苛立ちを覚え、ブログに黄色い花の写真をアップし、反応を見ることに。
 
すると、植物学関連の会社であるボタニカ・エンタープライズ代表の蒲生要介が、「重大な相談があるから会って欲しい」とメールを寄越す。
 
要介は、祖父の死因を気にしている様子で、黄色い花の写真削除とブログ閉鎖を勧める。
黄色い花は、ある研究機関が昨年開発した完全極秘のもので、何故外部にもれたのか疑問だと言い、「危険だからあの花には関わるな」と言うのだ。
 
後日、要介に会おうと家を訪ねると、大阪の大学院で原子力を学んでいる弟の蒼太が、要介は警察庁勤務であると告げる。
黄色い花の写真を見せると、花はアサガオだが、「黄色いアサガオは存在しない」と言うのだ。
 
二年前に他界した父と、要介に、深い溝を感じている蒼太は、要介が隠していることを暴くことにより、その溝が埋められる気がし、梨乃に協力し、周治の死の謎を調べることに
 
蒼太は、尚人のバンドのボーカル・大杉雅哉に招待を受けた梨乃に誘われたライブで、新しいキーボードが伊庭孝美にそっくりで驚愕する。
しかし白石景子と名乗っていた彼女は、蒼太に会った直後、バンドを突然辞め、姿を消す
 
周治と十三年間新種の花の研究開発をしていたという久遠食品研究開発センター分子生物学研究室副室長・日野和郎に紹介された朝顔の研究者で歯科医師・田原昌邦を訪ね、花はかつては存在していたが絶えてしまった「ナンテンクルマザキ」であることを知る。
 
「濃い黄色を発現させるには、カロチノイド系の色素が不可欠なんだ。こいつは現存するアサガオには含まれていない。だから幻の花なんだよ」
 
田原は、「黄色いアサガオは禁断の花」で、「追い続けると身を滅ぼす」と言われているで「夢幻花」だと話す。
蒼太は、田原が持っていた変化アサガオの講演会で撮った写真の中に、伊庭孝美が写っているのを、発見する
 
周治の事件をきっかけに、黄色いアサガオを追っていた梨乃だが、奇妙な偶然から蒼太の初恋の女性・伊庭孝美を探す羽目になり、約五十年前の事件に行き着き、要介だけではなく蒼太の母・志摩子も蒼太の前から姿を消す
 

江戸時代に変化朝顔栽培がブームになったという件は、何冊かの時代物小説で出てきたので、知っていました。
 
しかし、大麻や芥子など広く知られている植物以外幻覚をもたらす植物の総称を「夢幻花」というのは知りませんでした。
 
以前より東野さんは、科学&時事ネタを上手く作品に取り込み、考えさせられ、尚且つエンタメ作品として仕上げるなあと、その手腕に感服しています。
 
本作は、まさにその王道的作品。
 
殺人事件の真相を迫るうちに、黄色い花が関係してくる。
その黄色い花は、現在、存在しないはずの「夢幻花」。
 
しかし、「夢幻花」には、隠された面があった。
同様に、本書にも、隠された面があった。
 
その面の方こそ、東野さんが書きたかったことではないかと、思わずにいられませんでした。
 
梨乃も蒼太も、それぞれに人生の壁にぶち当たり新たな一歩を踏み出せずに入るという共通性があります。
 
「あたしたち、何だか似てるよね。一所懸命、自分が信じた道を進んできたはずなのに、いつの間にか迷子になってる」
 
その蒼太の専攻が原子力だったため、夢幻花放射能を暗喩しているように思え仕方が無かったのですが、孝美が夢幻花を「負の遺産」と語る場面で確信。
 
世の中には負の遺産というものがあるのよ、蒼太君」孝美は優しい口調でいった。「それが放っておけば消えてなくなるものなら、そのままにしておけばいい。でもそうならないなら、誰かが引き受けなければならないでしょ?
 
この言葉が、原発事故後、進路に迷っていた蒼太にある決心させる。
 
「ふつうの家なら、放置しておけば自然と廃屋になる。だけど゛原発は違う。放置しておけば勝手に廃炉になるというわけじゃない。たとえ発電していなくても、厳重に管理し、身長に廃炉への手順を踏んでいく必要がある。おまけに廃炉の際には、膨大な量の放射能廃棄物が発生する。それを処分する場所さえ、まだ決まっていない。そういう場所を作れるかどうかさえも不明だ。仮に処分場ができて、そこに埋めたとしても、放射能のレベルが安全な値に下がるまでには何万年もかかる。実質的にはこの国は、もう原発から逃れられないんだ。そういう選択を、何十年も前に済ませてしまっているんだ」
 
 
 
「もし今後も日本が原発を使用していくなら、安全面を含め、今まで以上に高い技術が求められる。仮に撤退するとすればどうか。俺は推進する以上に高い技術が必要になると思う。これまで、世界の誰も経験しなかった問題に立ち向かっていかなきゃならないわけだから」
 
ほんと、使用済み核燃料の処理法や、古くなった原発の廃炉の仕方まで考えずに、子孫に「負の遺産」を押し付け、見切り発車させた輩が恨めしい。
 
原発事故以前、『もう放射能のない、きれいな環境は存在しなくなってしまった。私たちの未来は既に放射能にうっすらとまみれている』と書かれていたのは、「内部被曝の脅威」の肥田舜太郎さん。
 
 
蒼太が進路を決定する上で出会った『カッコイイ人間』と、廃炉にするにせよ付き合っていかねばならぬ宿命にある原子力を学ぶ人間が少なくなることを懸念し、自分は原子力の世界に身を置き反対の立場を貫くとする「原発のウソ」の小出裕章氏が完全に重なりました。
 
 
先日、東海村で三十人以上の被曝者が出ましたが、蒼太のような科学者は必要なのだと改めて思わされました。
 
しかし、主体はあくまでも原発問題ではなく、殺人ミステリー。
 
プロローグ1の五十年前の通り魔事件や、プロローグ2の蒼太の初恋が、最後につながってくる様もお見事。
 
さすが、東野作品です。
先が気になるあまり、一気読みしてしまいました。
 
 
 
 
 

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閉じる コメント(10)

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これは、読みたい本なんですよね〜

2013/6/4(火) 午後 4:16 LIBRA 返信する

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面白そうですね〜。
これは、読まねば。

2013/6/4(火) 午後 9:06 fmn*t*21 返信する

LIBRAさん。面白い上考えさせられる本なので是非

2013/6/5(水) 午前 9:38 金平糖 返信する

ももたろうさん。山本幸久さんの「幸福トラベラー」を読み終え幸福そうだった次女にこれを渡しました。若い人に読んで欲しい一冊です。

2013/6/5(水) 午前 9:39 金平糖 返信する

時事問題を絡めてくるのが本当にお上手ですよね。
考えさせられそうです。

2013/6/5(水) 午後 2:46 Tommy 返信する

Tommyさん。「片想い」とか「分身」とか「プラチナデータ」とか、時事ネタをうまく使いますよね。
負の遺産は、誰かが背負わねばならない。行動をうつす前に、子孫にしわ寄せが行かないか、常に考えるべきですよね…。

2013/6/6(木) 午後 2:37 金平糖 返信する

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原発問題だったり、植物の種?だったり、確かに時事ネタが入ってるのは良い!
でも、なんだろうなぁ〜〜〜本書の広告で「老人が殺害された」ってあって、、、でも読んでみると、なかなかその老人が殺害されない。読みながら「まだ、始まらないのか??」と疲れてた気がする。
いろいろと広げすぎて、長くなってしまった感じがしました。

トラバ返しさせてください

2013/6/22(土) 午前 11:06 わぐま(*^。^*) 返信する

わぐまさん。最近の作品は、声高には叫ばないけれど、どこかしら原発問題に苦言を呈しているのが、多く見受けられますよね。新に加筆した感?本書も然りで、わぐまさんの消化不良の原因に思えました。
私はとても楽しめたので、またまたわぐまさんとの感性の違いを興味深く思いましたよ(*・∀-)☆
トラバ返しありがとうございました♪

2013/6/25(火) 午後 0:53 金平糖 返信する

プロローグの2つの事件と、黄色いアサガオ、老人殺し、不自然な警察庁の動き…
張り巡らされた伏線に、意外な真相、さすがの東野圭吾さんでした\(^o^)/

2014/2/7(金) 午後 8:13 やっくん 返信する

やっくんさん。ええ、プロローグに登場した人物が、いつ出てくるんだろうって気が抜けませんでした。
「負の遺産」は真剣に考えねばならないのに、目を背けさせたいA首相の圧で都知事選の報道も制限されているようです…。

2014/2/8(土) 午前 9:30 金平糖 返信する

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