まるごと山行
ハチカ沢から甑岳周回(平成24年5月19日)ハチカ沢コース登山口(10:52)ー甑岳山頂(12:52−12:57)− 山頂広場(13:09ー13:20)ー 沢下り分岐(13:56)ー源流(14:23)ー林道(15:04)ーハチカ沢コース登山口(15:30)<平成24年5月19日>
甑岳 1015m 往路 2時間00分 復路 2時間22分 移動距離 9.3km 総上昇量 712m ハチカ沢コースは地形図にはないがしっかりとした整備されたコースである。登山口までも標識が案内してくれる。このハチカ沢コースの東に500mくらい離れて沢沿いのルートが地形図に表されている。帰路はこのルートを藪こぎして下った。沢の源流からは渓流の音を聞きながら廃道を歩いた。最後は林道を30分近く登り返すことになった。 山形県の東根市と村山市に跨がる甑岳は山形市内からも御所山(船形山)からの稜線が平野に連なる最後の高まりとして目を引く山だ。去年の暮れの雪深い頃に東根から甑岳を目指したが沢沿いの新雪に行く手を阻まれ涙を飲んだ。
そもそも、東根市から甑岳へのルートはハチカ沢が有名だが、その登山口がはっきりしなかった。暮れの時はその登山口も探せず地形図にある破線を頼りに登り始めた。今回の山行でこの破線とハチカ沢コースは全く違うことが解った。 まずは東根市の日塔川を車で遡り林道に入った。好天のためか林道にも何台かの車を見かけた。地形図の沢沿いのルートから沢登りをしたかったがそれに繋がる林道に先客の駐車があったので、そのままハチカ沢コースまで登山口の標識に従って進んだ。登山口には立派な看板があった。 ハチカ沢コースは坂のたびに一の坂、二の坂という具合に標識があり山頂までの距離も時に明示してあって飽きさせない。しかし、沢は付近にはなくGPSの軌跡で確認すると尾根伝いに登っているようだった。今も、ハチカ沢とはどこにあるのかはわからない。
最近整備された岩神山コースとの合流点で大きなリュックを下ろして休んでいる方に出くわした。岩神山コースを初めて歩いたと言われるので最初は初心者の山ガールかと思い、生意気はアドバイスをしたが厳冬期の葉山がホームグランドを聞いて恐れいった。先にどうぞと勧められたが、後を追うのがやっとで幕井コースとの合流を過ぎた頃には遠く山頂近くの尾根を登っていたのが見えた。 12時を過ぎ、初夏のような日差しが照りつける。何パーティかはもう下山している。どうも体が重い。徳内坂の手前で下山途中の単独の若者とスライドする。二本のステッキで重そうなからだをひきずっている私をみて、これからが急な登りですが、山頂まではもうすぐですよと激励してくれた。年寄りに見られたなとがっかりしながらも、何とか山頂広場に着いた。
広場では大勢が休んでいた。先ほどの山ガールからもお疲れ様とねぎらってもらった。ここで一緒に休んで夏山の話しを聞きたい気もしたがあまりの脚力の違いが恥ずかしく、三角点まで行ってきますと言ってそのまま進んだ。 広場を過ぎると急に道は荒れてきたが、まだ雪が残る道は気持ちがよい。見晴らしは良くない山頂が見える頃に女性の声が聞こえて来た。私に、いやね、藪とか木が倒れていてね、と気さくに声をかけてきた。沈んだこころが少し明るくなった。三角点と手で再会の挨拶をした後、遠く舟形山へと続く尾根を胸の中に抱いて帰路に着いた。
山頂広場には山ガールの姿はなく、やっぱりがっかりした。4人パーティが展望を楽しんでいたが、その一人が職場の同僚でびっくりした。岩神山ルートを下るという。私はそのままピストンするか沢を下るか迷っていたが、4人のおかげで決心出来た。山慣れたところと見せたいとの大見えから沢を下る予定だと自慢げに告げた。 GPSが教える破線ルートへの分岐は尾根の左側の1本の木の幹に小さくマークがあって容易に分かった。しかし、まったく道はなく踏み跡も探せなかった。地図では350mくらいを沢下りすれば林道に着くらしい。すこし足を踏み入れたが藪で見通しは悪い。
転落、道迷いは沢下りが最も危ないとは、常識だが、それに藪が厚く足場も不案内だ。登りなら崖の前で立ち止まれるが、下りでは落とし穴の上を歩くようなものだ。ストックで探りながら降りるが地面が見えない所も多い。GPSの破線を探しながら進むが尾根伝いのようにはルートは見出せない。崖が見えたら躊躇なく登り返すつもりでいた。 倒木の陰からニリンソウが咲いていた。まだ急な下りが続くが崖はなさそうだ。それでも見通しの悪い沢を下り続けると水音が聞こえてきた。ついに沢の源流まで下りたったのだ。あとはこの沢の流れを辿れば林道までゆけることは冬の山行で分かっていた。沢沿いの藪こぎよりは水の中を歩いたほうがいいかもしれないと思い、スパッツを着けた。
しかし、沢は多くの倒木で塞がれていた。すこし下ると沢の脇に踏み跡らしきものが見出せた。ここまでくれば冒険も終幕を迎える。冬に進行を断念した風景らしきところに来た。そこに脱ぎ捨てられた上着が灌木にのっていた。やっと人の気配に出会えてほっとしたが、持ち主のその後を思うと背筋がちょっと寒くなった。 沢沿いをトラバースする廃道を歩くがいつしか藪にまぎれ崖の上に立った。しかし、一度来た地形なので、沢の流れの方に戻ればいいだろう。下りに崖のないところを探して廃道に戻った。堰を過ぎれば林道はすぐそこだ。あとは林道を30くらい歩いてハチカ沢登山口まで登り返した。登山口駐車場には他に車もなく、うるさかった蠅もいなくなっていた。着替えをして後は車で帰るだけだ
林道の降り口で車をとめて下りてきた破線のルートを偲んだ。V字に切れる沢の彼方には明るく輝く尾根が頭を覗かせていた。この沢を雪の時期に登りつめて遭難しなかったことを、今、嬉しく思うほどの荒れた沢だった(完)。 |
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