全体表示

[ リスト ]

 日曜日の朝、ドヴォルザークを聴きながら、一筆。
 

 
表1 発電方式別の発電原価試算結果(1kWh当たりの発電費用)
発電方式
発電単価(円/kWh)
設備利用率(%)
水力
8.2〜13.3
45
石油
10.0〜17.3
30〜80
LNG
5.8〜7.1
60〜80
石炭
5.0〜6.5
70〜80
原子力
4.8〜6.2
70〜85
太陽光
46
12
風力
10〜14
20
注)設備利用率(%)=1年間の発電電力量/(定格出力×1年間の時間数)×100%

使用データ:
経済産業省、エネルギー白書 2008年版(2008)
 
上記の表を見て頂いても知恵の回る人であれば、原子力発電が必ずしも圧倒的に他の発電方式と比較してコストが安いとは言えない事が
ご理解いただけるものと思うが、もう少し、この表に突っ込んでみたいと思っている。
 
1KWhあたりの発電単価だが、原子力は¥4.8〜¥6.2と表示されている。これに比較して水力は¥8.2〜¥13.3と約倍のコストが掛かっている。石油の場合、その時の相場もあるだろうが、やはり2倍程度割高になっている。LNG 石炭の場合も同様に相場によるのだろうが、3割から5割、高い事が判る。太陽光発電は、10倍程度のコストが書かれている。風力は、2倍から2.5倍程度である事が読み取れる。
 
 さて、このコスト比較表、公正なものであろうか?まず、この点から比較しなければならない。
 
 太陽光発電が発電コストが非常に高く設定されているのは、実は、発電そのものに掛かるランニングコストは圧倒的に安いのだが、問題は、施設費とその太陽光パネルの寿命から割り出す減価償却費が圧倒的に高いと言う事で、コストが高めに設定されている。当然、減価償却後に新しい施設を作る必要性がある為にコストには、この減価償却に伴う経費が割り当てられている。これは、原子力発電以外のコストにも同様に反映している。
 
 原子力発電以外の発電方式の場合、天災や事故などに伴う、リスク回避の為に、損害保険に加入している。当然、その保険も発電コストに組み込まれており、万が一、事故などで被害が出た場合は、この保険が適用される。
 
 しかし、原子力発電の場合、一般的な損保には入れない事もあって、政府が保険制度を作って強制的に加入させているのだが、この場合の保険とは、国が担保するだけでその総額1200億円に留まる。
 
 しかし、この保険制度による東電の負担は、この発電コストに入っていない。また減価償却も50年から100年とされ、建設費と運営費、燃料費などだけがランニングコストとなり、結果、不慮の事故が起こった場合や半世紀後の解体、廃炉に伴う費用は、全くこのコストには入っていないのである。
 
 今回の事故の場合、30キロ圏内に住む人への保証金や賠償金、農業被害、漁業被害、その他の経済的な被害に伴う支払い総額は、一部の保険会社の分析によると最大3兆円を超える可能性が指摘されている。
 
 この原発の開発費の数倍もの費用が掛かると思われている。また今後事故の終息に伴う費用、廃炉へのプロセスなどを考えれば、更に1兆円規模の費用捻出が必要となり、この原発を新規に作る費用の5倍程度の経費が必要となる。
 
 つまり、これらの諸経費を計上すれば、原発に於ける、発電コストは、現在の10倍から15倍程度になるはずだ、つまり、危険性への認識の甘さが、圧倒的に安いと夢の様なコストを実現化していたのだ。
 
 現在日本にある原発を、直下型に大地震が襲っても事故が回避できるだけの改良、津波や高潮、洪水、そして台風などによる水害にも充分に対応しうる施設への増強などを、強制すれば、このコストは、現在より3倍程度引きあがるはずであると考えている。これは、関西電力の記者会見の折に、震度7強の直下型、30メートルを超える津波などに充分対応しうる改善を加えた場合、発電コストは、現在より数倍になると発表している事を考えれば、素人である小生でも理解できる。
 
 つまり、これらの災害(想定内)ですら、現在、充分にリスクヘッジされていないのが現実で、その満足にヘッジ出来ないリスクへの対応が今回の事故を生んだと言っても過言でない。つまり間違いなく人災である。
 
 予測が付かなかったとしても、過去に同等程度の地震や津波が記録されている限り、この最悪のケースを想定した対応がなされているべきで、これを発電コストが安いと言ういわば神話の様な虚偽を国民に信じ込ませた結果、安い電力を供給し続ける事になったのだ。
 
 しかも、以前にも書いたが、廃炉への経費は、1円たりともコストには参入されていない、つまり半世紀後以降、その経費計上があった時点で、次の電気代に、そのコスト分が加算される事になる、今回の事故で国民の充分に理解できたと思うが、廃炉までのプロセスは10年単位の長い歳月と費用が必要となり、その費用は、建設費を上回る額になると言う事だ。
 
 つまり、我が国の原子炉がどんどん、寿命になり廃炉、新規の開発や建設が始まると、この発電コストは、一気に現在の3倍から5倍程度に跳ね上げると言う事になる。これは事故が起こらなかった場合であり、もし、これに事故が伴えば、そのコストは、10倍ではきかないだろう。
 
 この様に、考えると、原子力発電による発電コストは、必ずしも圧倒的に廉価であるとは到底、言えない事に国民も気付くはずである。
 
 次に、排出二酸化炭素量の問題も最後に簡単に書いておく、水力や太陽光発電、風力などは、元々自然エネルギーであるから、殆ど発電に伴う二酸化炭素は出ない。
 
 火力発電の場合、その燃料の種類で大きく違うが、石炭や石油などは、排出量が膨大で、温暖化を促進させる原因であるとされている。それでは原子力発電はどうであるのか、発電そのものでは、二酸化炭素は排出されないのだが、ウランの精製やプルトニウムなどを使用するMOX燃料などの再処理時に出る二酸化炭素量は、かなり膨大であり、それらを総合すると、必ずしも原子力発電が排出二酸化炭素量を減らすとは言えないと言う専門家も存在する事から、これも、原発推進を上げる人々が勝手に作り上げた幻想の様なものである事がご理解いただけると思っている。
 
 この様に、自民党政権が原発推進を掲げる為に国民への説明としたコスト、自然への負荷、安全性と言う神話は、今回の事故によって脆くも崩れ去ったと言うのが、現実である。
 
 本当のコストさへ、偽りの数値を並び立てて、安い安いと連呼し、国際競争力が、電力コスト削減には必要不可欠と騙した彼ら、自民党議員は、国民の前で切腹すべき国賊である。
 
 与謝野氏は、反省しないと暴言を吐いたが、この数字を見て尚、国民の利便性の為に原子力を推進したと言い切ることが出来るのだろうか、四選目の石原都知事も同様で、必ずしも原発でなくても充分に電力は担保できたはずである。
 
 中東が不安定であるとした、地政学上の問題を主張する人も多いのだが、燃料コストが高くなってもメタンハイドレードなど、自前のエネルギー開発にそれこそ国を上げて取り組むべきで、後は、個別発電の強化さえ成し遂げれば、我が国の競争力を損なう事も無く充分に対応可能である。
 
 行政を信じてはならない、そして大企業も同様である、彼らにはモラルも無ければ慈愛なども持ち合わせていないのだと言う事を・・・・・
 
 全ての原発は、直ぐに停止すべきであると警告して終わりにする。
 

この記事に

開く コメント(21) ログインしてすべて表示


.


プライバシーポリシー -  利用規約 -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2016 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事