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9.11事件以後のテロ行為容疑者を多数収容してきたキューバのグアンタナモ収容所は、ブッシュ政権のテロとの戦いの行き過ぎの象徴的存在として強い国際的批判を受けてきたことから、オバマ次期大統領はその閉鎖をつとに公約し、マケインが当選しても同じ結果となったと思われる。
テロとの徹底した戦いの完遂のためにはどんなことでも許されるべしとの確信の下特別軍事裁判所で公平にみえる裁判をすれば如何なる国際的非難にも耐えられるとの判断からブッシュ政権は、各方面からの閉鎖要求には耳をかさなかったが、その存在は、米国の評判を余りにも傷つけてきたということであろう。
イラク戦争における悪名高いアブグレイブ収容所での捕虜虐待と性質は多少異なるものの、テロリスト確信犯を拘束し、裁くには他に有効な方法がなかったといえばそれまでであるが、他方において拷問等含む尋問取り調べ手法や多数の無実な人間も対象となったことも事実であると思われるので、グアンタナモ収容所については問題が多すぎた。
しかし、同収容所を閉鎖するとなると、既収容者のとりあえずの移送先や拘束続行、裁判の要否を含め今後の具体的対応の仕方を処理しなければならず、さらに既釈放者や新たな釈放者の証言等今後の展開次第では、責任者の処罰要求の検討を迫られるといった問題も出てくることも避けられなるので、後始末は実にやっかいとなろう。下記記事は、そのようなグアンタナモ収容所の閉鎖にかかわる後始末問題の複雑性についての詳細な情報と問題点をわかりやすく説明くれるものです。(Y. I.)
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12月14日「国際情報センター」記事
「米のテロ戦争:キューバのグアンタナモ収容所と特別軍事裁判所」
1、 対テロ戦争において、米国は、テロ容疑者を国外で拘束した場合、これらの容疑者を国外で尋問する、その後、キューバのグアンタナモ米軍基地に移送し、「敵戦闘員」として拘束すると共に、これらの容疑者を特別軍事裁判所で裁いてきた。
ブッシュ政権がこれらの容疑者に起訴することなしに長期間拘束していることは、人権団体や米の多くの人々から、人権尊重に反する行為として非難されてきた。尋問において拷問のような手段が使われたことも強く非難されてきた。
先の大統領選挙で、オバマもマッケインもブッシュ政権のやり方を批判し、オバマ次期大統領はこのグアンタナモ収容所の閉鎖を公約してきた。
2、 しかしグアンタナモ収容所(現在、約250名を収容)の閉鎖は簡単ではない。
第1:拘束者をどこに移せばいいのか。
釈放できる者は本国に送還するのが普通であるが、彼らを本国に帰した場合、本国で拷問されたり、死刑に処せられる恐れがある。拘束者の国籍はイエーメン、アルジェリア、中国、チュニジア、ロシアなどである。
アムネスティ・インターナショナルは、これまで少なくとも7名がロシアに帰されたが、彼らは拷問など手荒い扱いを受けた、被拘束者はロシアには帰さないで欲しいと言っていると述べている(12月10日放送のFOXニュース)。
ウイグル人の拘束者は中国国籍であるが、中国に帰した場合、拷問され、死刑に処せられる恐れもある。それでアルバニアがこれまで中国籍のウイグル人5名をグアンタナモから受け入れた。
アルジェリア、チュニジアなどについても同じ懸念がある。
迫害が待っているところに人を送還することは、それを禁止した国際法の原則(「ノン・ルフ―ルマン原則」という)に反してしまう。他方、米は釈放していいという拘束者を政治亡命者として受け入れられないとしている。
12月12日付ワシントン・ポスト紙は「ポルトガル、EUに元グアンタナモ拘束者の受け入れを迫る」との見出しで概略次のとおり報じている。
12月11日、公表された書簡でアマド・ポルトガル外相は、「EUは踏み出す必要がある。原則と一貫性の問題として、我々は拘束者の再定住に関し米政府を助ける意思があることを示すべきである。ポルトガル政府はこの再定住に参画する用意がある。」と述べた。グアンタナモ収容所は欧州の人々から米の無法性のシンボルとされてきたし、欧州の役人は米を批判し、収容所の閉鎖を求めてきたが、それを容易にする具体的な措置をとる意思はこれまでなかった。
米国務省の法律顧問ベリンガーは、ポルトガルの書簡は「非常に意義深い」、「他の欧州への挑戦である」と述べた。ヒューマン・ライト・ウオッチのダスカル氏は、これは新しい動きの始まりでありうる、しかしオバマ政権も米で拘束者を受け入れる決断をすべきである」と述べた。
12月12日付ニューヨーク・タイムズ紙はポルトガルの動きに関し、「この動きはグアンタナモ収容所の閉鎖を助けるかもしれない」との同趣旨の記事を掲載している。
第2:危険性のある拘束者について、受入れ国が監視もせずに釈放する恐れがある。
現在の拘束者250名のうち、約100名がイエーメン国籍であるが、イエーメンに帰した場合どうなるか。2000年の米軍艦コール号事件の犯人、アブド・アル・ナシリはグアンタナモで拘束されているが、その共謀者はイエーメンで逮捕され、有罪の判決を受けたが、その後釈放された。国防省はイエーメンでのテロ容疑者の脱走や釈放に懸念を持っている。ペンタゴンはグアンタナモ収容所より釈放された520名のうち、テロ戦線に再参加したと確認または疑われている者は37名いるとしている。(12月10日FOXニュース)
第3:グアンタナモ基地には、9・11テロ容疑者も収容されており、かつこれらを裁く特別軍事裁判所が置かれており、裁判が行われている。オバマ次期大統領は特別軍事裁判所に批判的で、米国内での通常の裁判所か軍法会議で裁判すべきとしている。
この特別軍事裁判所では、ハリッド・シェイク・ムハンマド(9・11テロの作戦首謀者とされる)、ビン・アル・シブ(首謀者と実行犯の連絡係であった)、ムスタファ・アル・ハウサウイ(資金面の担当者)、ワリド・ビン・アタッシュ(ハイジャック実行者を選定した)、アンマール・アル・バルーチ(ハリッド・シェイク・ムハンマドの甥)の5名の裁判が行われている。
12月8日の法廷で、これらの5名の容疑者は9・11テロへの責任を認める用意があるので、罪状認否をさせてほしい、アメリカ人の弁護士など信用しないので、法廷での動議などで時間を浪費したくない旨申し立てた。
12月9日付米各紙の報道を総合すると、次のとおり。
5名は9月に弁護について相談したいと申し出、裁判所、検察の同意を得て相談を重ねてきた。そして11月4日付の書簡で、5名は特別軍事裁判所のヘンリー裁判官(大佐)宛に罪状認否を行いたいと連絡した。早く結審して、死刑にして欲しいとの趣旨である。殉教者になりたいということである。
12月8日、裁判官が、被告が有罪を申し立てたから望みどおり死刑判決が出せるかどうか、陪審の結論が必要かもしれないと疑問を提起し、また5名のうちのビン・アル・シブとハウサウイは有罪を認めうる精神的能力があるかの鑑定が必要で、それには時間がかかると述べた。これを受け、5名の実質的リーダーであるシェイク・ムハンマドが「我々の兄弟についての結論が出るまで、有罪申し立ては延期する」旨、述べた。
この法廷には、9・11テロの被害者遺族やマスコミが傍聴にきていた。遺族の一人は、彼らに処刑の名誉をあたえ殉教者にすることはやめ、米国の刑務所で朽ち果てさせるべきだと述べた。
ヘンリー裁判官が11月4日の書簡を12月7日に読んだと述べたのに対し、シェイク・ムハンマドは「裁判所は伝書鳩でも使っているのか」と質問した。
閉廷にあたり、ビン・アル・ナシブは、「オサマ・ビンラデンに挨拶を送り、忠誠を再確認する。ジハードが続き、米の心臓部をあらゆる種類の大量破壊兵器で攻撃することを希望する」と述べた。
裁判官は1月4日までに、死刑のケースで有罪申し出を受け入れることが出来るのか否か(陪審の結論が必要ではないか)について、特別軍事裁判所法についての見解を弁護側と検察側に提出を求めると述べた。
この特別軍事裁判所の存続とグアンタナモ収容所の閉鎖問題は法的には無関係と言えるが、事実上の関連を持ってこざるを得ない。
3、 この問題は、オバマ政権にとり、「変化」を示す格好の材料であるが、外交(EUとの話し合い)や内政(多分、問題のない拘束者を米国内に残留させるためだけにも、新立法が必要であろう)面での措置がいることになるだろう。
米国内裁判所に移管した場合、これら容疑者から「水責め」で得られた供述の証拠能力など諸問題が弁護側から提起されることになり、それがまた9・11犠牲者の遺族の心痛を深めることになる。
9・11テロの犯人の処罰はしっかりとやる必要もある。
ブッシュ政権がテロ戦争の一環として行ったことの後始末はそう簡単ではない。
4、 なお、12月8日の法廷での言動から見ても、シェイク・ムハンマドなど、9・11テロ計画・実施犯には、全く反省の色はない。
上記記事の原文は、http://blogs.yahoo.co.jp/kokusaijoho_center/27602199.htmlでご覧になれます。
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