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2010年5月9日

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PS3/XBOX360:「ケイン アンド リンチ2 ドッグ・デイズ」は,その場にいるようなリアルな暴力シーンを,独特の映像で表現


スクウェア・エニックスがエクストリーム・エッジレーベルでリリースを予定しているタイトルを順に紹介する記事の第2弾は,ヒットマンシリーズで知られるデンマークのIO Interactiveが開発した「ケイン アンド リンチ2 ドッグ・デイズ」PS3/XBOX360)だ。本作は,2007年にリリースされた『KANE&LYNGH:DOGDAYS』の続編で,子供を事故でなくし,自暴自棄になったケインと,妻を殺した容疑をかけられて死刑を宣告されたリンチの二人が,またしてもペアを組み,撃ちまくりの大暴れすることになるのだ。前作でプレイヤーが操作したのはケインだったが,今回演じるのはリンチのほうだ。

ケイン(右)とリンチ(左)が上海を舞台に,自分の幸せのために撃ちまくる

「ケイン アンド リンチ2 ドッグ・デイズ」公式サイト


「The 7」との壮絶な戦いのあと,上海に逃げたリンチはある組織の手下としてひっそり働いていたが,大きな武器の取引きに関わることになり,手助けを必要とする。そこで呼び出したのがケインだ。妻子から離れて逃亡生活を続けるケインは,リンチの依頼に応えて上海に出向き,死刑を宣告された二人のやばい男が再び顔を合わせることになる。
仕事は簡単なはずだったが,もちろん,予定どおり簡単に終わってしまうとゲームにならないので,話は意外な方向に進んでいくのである。

前作では,開発段階から「映画的な演出」「ストーリー重視」といった方向性が打ち出され,普通のアクションゲームとは一味違うものが目指されていた。救いのない物語や,個性的なキャラクター造形など,ゲームの雰囲気は評価されたものの,操作性やマップデザイン,そして単調な戦闘などの面に難があり,結果としてゲームメディアの評価はあまり芳しくはなかったようだ。もっとも,世界累計の販売本数は100万本を超えており(ソースによっては200万本近く),このクライムアクションを気に入ったプレイヤーの数は少なくなかった。


続編となる本作では,そうした方向をさらに推し進めており,その一つが,まるで手持ちのカメラで撮影したかのようなゲーム画面だ。ときどきノイズが入ったり,カメラが上下に揺れたり,激しくパンしたりと,まるでカメラマンが実際にそこにいて撮影しているような迫真性を狙っており,犯罪の現場を,例えばYou Tubeなどで間接的に見ているような気分になってくる。
また,監視カメラから見たモノクロ映像や,携帯電話で撮影したような雰囲気のザラッとしたシーンなども登場し,リアリティを高めている。映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」や「クローバーフィールド/HAKAISHA」など,ハリウッド映画で最近見られる擬似ドキュメンタリー(モキュメンタリー)の手法をゲームに応用したといえそうだ。
とはいえ,こうしたことは,やりすぎると操作性に難が出る可能性もあるので,さじ加減は微妙だろう。このあたりは実際にプレイするまで,なんともいえないが。

ストーリーについては断片的にしか分からないものの,世界のあちこちに行った前作に比べ,今回は上海の街がメインステージになるようだ。きらびやかなネオンがともり,観光客でごったがえす表通りを一歩出ると,そこは暗く狭い裏通り。犯罪の温床であり,危険な二人にお似合いの危険な場所だ。
ある事件をきっかけに二人はマフィアを敵に回すことになり,さらには裏通りの住民や警察,軍までも相手に,上海のあちこちで銃撃戦を繰り広げることになる。


物語優先ということでゲームシステムについては前作を踏襲し,オープンエンドではなくリニアにミッションが続くスタイル。細かく描かれた上海の街を自由に散策したいような気もするが,ミッションの内容はターゲットの警護や追跡など,前作よりもバラエティに富んでいる。
また,前作にもあったマルチプレイモード,「フラジール アライアンス」もパワーアップしたとのこと。これは,仲間と共にAI警備員の守る銀行を襲い金を奪うのだが,仲間を殺せば彼の分け前が手に入るので,逃げる途中にどうしても仲間同士の撃ち合いが発生するという,もう,誰を信じていいか分からないユニークなモード。Co-op(協力モード)と対人戦が一緒になった,本作ならではのマルチプレイが楽しめるわけだ。

主人公の二人は,あらためていうまでもなく悪人で犯罪者。やっていることも,正義や人助けのためではなく,自分自身の利益のためだ。個性的なアンチヒーローが迫真の映像表現で見せる暴力描写は,プレイヤーを選んでしまうところもあるかもしれない。だが,アメリカ生まれの陽性なアクションとはちょっと違う,ヨーロッパ産の本作だけに,例えばヒットマンのデカダンスな雰囲気にグッと来た人なら,本作も楽しめるはず。まだ未公開の部分がかなり多いので,続報を楽しみにしてほしい。
ケイン アンド リンチ2 ドッグ・デイズは2010年8月26日,全世界同時発売が予定されている。

「シンギュラリティ」紹介記事

「ブラーレーサーズ」紹介記事



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PS:『ニーアレプリカント』レポート


スクウェア・エニックスは4月22日,PlayStation 3用ソフト『ニーアレプリカント』を発売した。本作は2003年にPlayStation 2用ソフトとして発売された伝説の怪作,「ドラッグ オン ドラグーン」(以下,DoD)の開発を手がけたキャビアが制作するアクションRPG。死の病“黒文病”におかされた妹「ヨナ」を救うため,主人公「ニーア」は“深淵ナル叡智ノ書物”「白の書」を伴い,マモノとの死闘に身を投じていく。


なお,Xbox 360用ソフト「ニーア ゲシュタルト」は,ニーアの設定やヨナとの関係,音声言語などが異なるが,ゲーム内容は基本的に同じだ。本稿では,PS3「ニーア レプリカント」でのプレイをもとに,同作の魅力を紹介していく。

「ニーア レプリカント/ゲシュタルト」公式サイト


今なお多くのファンに愛される伝説のダークファンタジー

「DoD」を生み出したスタッフによる待望の最新作


 徹底した狂気と絶望の世界を描き,かつて全国のプレイヤーに多大なトラウマとインパクトを与えた「DoD」。「ニーア レプリカント」はそのスタッフが再結集して創り出した作品ということで,発売前から,ただの“剣と魔法のRPG”では終わらないであろう的なオーラが煌々と発散されていた。
それもそのはず。実は「DoD」と「ニーア レプリカント」の世界観には繋がりがあり,本作はファンが愛を込めて“マルチバッドエンディングゲーム”と称している「DoD」の中でも,最悪の結末と悪名高い“新宿エンド”後の世界が舞台となっているのである。
「DoD」を知らない人のために補足しておくと,新宿エンドは,ほか四つのエンディング制覇&全武器コンプリートという非常に困難な条件をクリアすることで見られる特殊なエンディングだ。数々の苦難を乗り越えた結果,画面に映し出された主人公達を見て放心状態になったプレイヤーは多いだろう。


 そして「ニーア レプリカント」の物語冒頭,荒廃した東京でヨナを守りながら,鉄パイプと“黒の書”を手にマモノと戦うニーア。新宿エンド後に,何らかの理由で世界が一度滅んだのは間違いなさそうだが,なぜそのような事態に陥ったのか明言はされていない。
こういう書き方をすると,完全に「DoD」の続編なのかと思われそうだが,あくまで裏設定であり,実際のところは熱心なファンならピンとくる程度にしか,世界観の繋がりは臭わせていない。もちろん「DoD」を知っているほうが色々な小ネタを楽しめるが,同作をプレイしていないプレイヤーでもまったく問題なく物語に入り込めるので,その点に関しては安心してほしい。



ストレスの無い戦闘システムと

個性豊か“すぎる”仲間たち


武器攻撃はボタンを連打するだけで派手にコンボが繋がる。ほかにもタメ攻撃やダウン攻撃,ジャンプ攻撃など,多彩なアクションが発動可能。武器も片手剣,両手剣,槍の3タイプがあり,それぞれ攻撃パターンが異なっている
 アクション性の高い戦闘システムは非常に軽快かつ爽快。正直言って色々と粗が目立った「DoD」の戦闘システムとは,比べ物にならないくらい遊びやすくなっており,言葉は悪いが「本当に同じスタッフか?」と驚かされるDoDファンもいるかもしれない。
本作では□,△ボタンに武器攻撃が割り当てられており,防御,回避,魔法はR1/R2/L1/L2のそれぞれに,好きなように設定できる。基本的には戦う相手によって,セットする魔法を適宜変更していくのがオススメだが,防御と回避を完全に捨て,すべてのキーに魔法をセットする攻撃特化のプレイスタイルだってアリだ。ちなみに筆者は防御を捨て,回避に徹しながら常に3種類の魔法を使い分けられるように設定している。
特筆すべきは,武器攻撃から魔法への切り替えが非常にスムーズな点だ。多数の敵との激しい戦闘の中で,流れるように攻撃と魔法を連携させて戦うことができる。戦闘に関してはストレスがまったくないと言っても過言ではないだろう。

魔法は溜めることで発射弾数や威力が増加する。その分MPの消費も激しくなるが,MPは魔法弾への武器攻撃や時間経過で回復するのでガンガン使用して問題ない

また,本作には一緒に戦ってくれる仲間も存在する。半陰陽(両性具有)の双剣使い「カイネ」と,強大な魔力を操る異形「実験兵器7号」。どちらも一癖も二癖もある尖ったキャラクターで,カイネは非常に口が悪く戦闘中に放送禁止用語を連発するし,実験兵器7号はとても仲間キャラクターとは思えない不気味なビジュアルをしている。この辺の設定は「さすが『DoD』スタッフ……」という感じだ。
仲間にはメニュー画面から簡単な命令を出すことが可能だが,基本的には自動で戦闘する。使用する技や魔法は一切指定できないので,ダメージソースとしてはあまり期待できないが,その分何度倒されても,しばらくすれば復活するようになっているので,サポート役としては優秀だ。

半身にマモノを宿す半陰陽の戦士カイネ。戦い方も言動も荒々しく,ことあるごとにニーア達を罵るが,時折仲間思いの優しい一面が垣間見えることも

魔法でニーアをサポートしてくれる実験兵器7号。不気味な見た目とは裏腹に,性格は非常に素直で心優しい


言葉を力に変える独特の強化システム


 ゲーム序盤ではまだ無垢な少年であるニーアだが,物語をある程度進めると成長し,青年期に入る。ニーアの性格や周りの環境など,様々な変化があるが,とくに大きいのは使用できる武器の種類が増えることだ。逞しい青年になったことで,大型の槍や両手剣を扱えるようになる。それぞれモーションや攻撃範囲がまったく違うので,少年期よりもさらに奥深い戦闘が楽しめるだろう。


 ちなみに本作には防具が存在せず,装備品は武器のみとなる。武器はそれぞれ指定の素材を組み合わせることで強化していくことが可能だ。入手した時点で性能が低くても,強化を繰り返していけば最終的に見違えるほど強くなることもある。また、強化により武器の重量が変化し、使い勝手も変わることがあるので注意しよう。

どこかで見たことがある武器の数々に,「DoD」ファンならニヤリとさせられるはず。ぜひともコンプリートを目指したいところだ

また,“ワード”という独特の強化システムについても説明しておこう。敵を倒すことで稀に獲得できるワードは,魔法/武器/防御/回避のそれぞれに割り当てることで,さまざまな付加効果を得ることができる。例えば武器なら,「煉獄の理と」+百獣の剣+「ハ,絶望ノ淵ニ立ツベシ」のように,武器名の前と後ろにセット可能だ。この場合は,「煉獄の理と」が持つ“特殊効果をLv5にする”という付加効果が,“武器に混乱効果を付加する”「ハ,絶望ノ淵ニ立ツベシ」と合わさることによって,“混乱効果Lv5”を持つ百獣の剣が完成するというわけである。そのほかにもステータスブースト系や,獲得経験値,アイテムドロップ率をアップするようなワードもあるので,状況に応じて,武器や魔法との相性も考えてセットしていくといい。

ワードにはどこかしら狂気じみた雰囲気を感じさせる物が多い。付け替えはいつでも可能なので,強力なものを手に入れたらすぐにセットし直すようにしよう


他ジャンルのネタを大胆に活用

欲張りな演出が物語を盛り上げる


「アクションRPG」というジャンルにとらわれない演出の数々も本作の魅力。戦闘に弾幕シューティングの要素を取り込んでいるのも興味深いし,謎解きなどでもカメラ視点などを上手く利用することでプレイヤーに予想外の驚きを与えてくれる。
キャラクターを真横から眺める2Dアクションゲームのような場面もあれば,死角の多い俯瞰視点で不気味な洋館を探索するという,ホラーアドベンチャー風の謎解きが始まってしまったりもするのだ。
かつて新宿でのラスボス戦で,何の前触れも無しに超高難度の音ゲーをプレイヤーに強いた「DoD」スタッフらしい大胆な演出だといえる。ゲームマニアを唸らせる遊び心が満載だが,本作ではそのどれもが出オチではなく,ちゃんと物語やゲーム展開を盛り上げる要素として機能しているのが素晴らしい。

物語を進めるたびに新鮮な驚きがあり,「次はどんな仕掛けなんだ!?」と先が気になってしょうがなくなる。RPGではほかにないくらい,カメラワークを上手く利用した作品だ

 なお,昨今のRPGのほとんどがそうであるように,本作でもメインストーリーを進める過程でさまざまなサブクエストを受けることができる。ボリュームはなかなかのもので,全クエストをコンプリートするには結構なプレイ時間を要するだろう。クエストをクリアすることで,それの続きとなる新たなクエストが出現したり,一部のクエストは青年期になった時点で進行不能になったりするので,取り逃がしには注意しよう。キャラクター同士の掛け合いも非常に良くできているので,魅力的な物語やキャラクターを,より深く掘り下げるためにも,クエストは積極的にこなすことをオススメしたい。
そのほかにも,素材採取や魚釣り,農作物の栽培など,寄り道要素は充実している。とはいえ,ストーリー展開が本当に気になるゲームなので,それらを本格的に楽しむのは,2周目以降になるという人が多そうだ。


また,細かいところでは音楽の素晴らしさについても触れておきたい。本作のBGMのほとんどはボーカル曲になっており,その歌詞にはゲーム内の架空の言語が使われている。全体的に物悲しさを感じさせるはかなげな曲が多いが,そのどれもが何とも耳に心地良く,かつゲームの雰囲気と完璧にマッチしており,プレイヤーを「ニーア レプリカント」の世界に深く没入させてくれるのだ。


ちなみに本作はマルチエンディング方式で,周回プレイが楽しめる作りになっている。クリアすることで新たなエピソードがプレイ可能になったりもするので,ぜひともやり込みたいところだ。
……マルチエンディングと聞いて,「DoD」経験者の方々は嫌な予感がしたかもしれないが,安心してほしい。同作のような,“どこまでいっても絶望しかない”展開ではないとだけ,フォローしておこう(絶望は相変わらず常につきまとっているが)。


最後まで新鮮な気持ちで楽しめる傑作


 「ニーア レプリカント」は,欠点を探すのが難しい傑作。グラフィックスや戦闘システムなどは全体的に良くできているが,なかでもジャンルにとらわれず,プレイヤーを楽しませてくれる大胆な演出の数々が高評価のポイントだ。ゲーム好きのツボを突くのが非常に上手く,決して斬新というわけでもないのに,最後まで新鮮な気持ちで遊べる作りになっている。
欲をいうなら,ワードによる強化システムが面白かっただけに,ワードの効果が固定されているのが少々残念だ。コンセプトが個性的なだけに,多少のランダム要素でもあれば,さらにやり込める作品になっていたと思う。
また,原稿中で何度も触れているとおり,「DoD」よりは遥かにマイルドだが,やはりシナリオにはダークな部分も多いので,その辺は好き嫌いが分かれるところかもしれない。しかし,シリアスな物語の合間に見せるコミカルな部分や,キャラクターの関係が非常に面白いので,苦手意識を持たず,ぜひともプレイしてほしい作品だ。「心が動く」という意味においては,本作は本当に“感動”できるタイトルである。


ちなみに今後は,DLCの配信も予定されているようだ。2周目,3周目,4周目……と繰り返し楽しめる作品になっているだけに,こういった拡張要素は非常にうれしいところ。ゲーム性を拡張するものなのか,ストーリーを補完するものなのかは不明だが,本作をプレイすれば,DLCの配信が待ち遠しくなること請け合いだ。本編をすでにクリア済みの人も,周回プレイで世界観/物語を掘り下げつつ,DLCの配信を楽しみに待ってみよう。

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PS:『ニーアレプリカント』レポート


スクウェア・エニックスは4月22日,PlayStation 3用ソフト『ニーアレプリカント』を発売した。本作は2003年にPlayStation 2用ソフトとして発売された伝説の怪作,「ドラッグ オン ドラグーン」(以下,DoD)の開発を手がけたキャビアが制作するアクションRPG。死の病“黒文病”におかされた妹「ヨナ」を救うため,主人公「ニーア」は“深淵ナル叡智ノ書物”「白の書」を伴い,マモノとの死闘に身を投じていく。


なお,Xbox 360用ソフト「ニーア ゲシュタルト」は,ニーアの設定やヨナとの関係,音声言語などが異なるが,ゲーム内容は基本的に同じだ。本稿では,PS3「ニーア レプリカント」でのプレイをもとに,同作の魅力を紹介していく。

「ニーア レプリカント/ゲシュタルト」公式サイト


今なお多くのファンに愛される伝説のダークファンタジー

「DoD」を生み出したスタッフによる待望の最新作


 徹底した狂気と絶望の世界を描き,かつて全国のプレイヤーに多大なトラウマとインパクトを与えた「DoD」。「ニーア レプリカント」はそのスタッフが再結集して創り出した作品ということで,発売前から,ただの“剣と魔法のRPG”では終わらないであろう的なオーラが煌々と発散されていた。
それもそのはず。実は「DoD」と「ニーア レプリカント」の世界観には繋がりがあり,本作はファンが愛を込めて“マルチバッドエンディングゲーム”と称している「DoD」の中でも,最悪の結末と悪名高い“新宿エンド”後の世界が舞台となっているのである。
「DoD」を知らない人のために補足しておくと,新宿エンドは,ほか四つのエンディング制覇&全武器コンプリートという非常に困難な条件をクリアすることで見られる特殊なエンディングだ。数々の苦難を乗り越えた結果,画面に映し出された主人公達を見て放心状態になったプレイヤーは多いだろう。


 そして「ニーア レプリカント」の物語冒頭,荒廃した東京でヨナを守りながら,鉄パイプと“黒の書”を手にマモノと戦うニーア。新宿エンド後に,何らかの理由で世界が一度滅んだのは間違いなさそうだが,なぜそのような事態に陥ったのか明言はされていない。
こういう書き方をすると,完全に「DoD」の続編なのかと思われそうだが,あくまで裏設定であり,実際のところは熱心なファンならピンとくる程度にしか,世界観の繋がりは臭わせていない。もちろん「DoD」を知っているほうが色々な小ネタを楽しめるが,同作をプレイしていないプレイヤーでもまったく問題なく物語に入り込めるので,その点に関しては安心してほしい。



ストレスの無い戦闘システムと

個性豊か“すぎる”仲間たち


武器攻撃はボタンを連打するだけで派手にコンボが繋がる。ほかにもタメ攻撃やダウン攻撃,ジャンプ攻撃など,多彩なアクションが発動可能。武器も片手剣,両手剣,槍の3タイプがあり,それぞれ攻撃パターンが異なっている
 アクション性の高い戦闘システムは非常に軽快かつ爽快。正直言って色々と粗が目立った「DoD」の戦闘システムとは,比べ物にならないくらい遊びやすくなっており,言葉は悪いが「本当に同じスタッフか?」と驚かされるDoDファンもいるかもしれない。
本作では□,△ボタンに武器攻撃が割り当てられており,防御,回避,魔法はR1/R2/L1/L2のそれぞれに,好きなように設定できる。基本的には戦う相手によって,セットする魔法を適宜変更していくのがオススメだが,防御と回避を完全に捨て,すべてのキーに魔法をセットする攻撃特化のプレイスタイルだってアリだ。ちなみに筆者は防御を捨て,回避に徹しながら常に3種類の魔法を使い分けられるように設定している。
特筆すべきは,武器攻撃から魔法への切り替えが非常にスムーズな点だ。多数の敵との激しい戦闘の中で,流れるように攻撃と魔法を連携させて戦うことができる。戦闘に関してはストレスがまったくないと言っても過言ではないだろう。

魔法は溜めることで発射弾数や威力が増加する。その分MPの消費も激しくなるが,MPは魔法弾への武器攻撃や時間経過で回復するのでガンガン使用して問題ない

また,本作には一緒に戦ってくれる仲間も存在する。半陰陽(両性具有)の双剣使い「カイネ」と,強大な魔力を操る異形「実験兵器7号」。どちらも一癖も二癖もある尖ったキャラクターで,カイネは非常に口が悪く戦闘中に放送禁止用語を連発するし,実験兵器7号はとても仲間キャラクターとは思えない不気味なビジュアルをしている。この辺の設定は「さすが『DoD』スタッフ……」という感じだ。
仲間にはメニュー画面から簡単な命令を出すことが可能だが,基本的には自動で戦闘する。使用する技や魔法は一切指定できないので,ダメージソースとしてはあまり期待できないが,その分何度倒されても,しばらくすれば復活するようになっているので,サポート役としては優秀だ。

半身にマモノを宿す半陰陽の戦士カイネ。戦い方も言動も荒々しく,ことあるごとにニーア達を罵るが,時折仲間思いの優しい一面が垣間見えることも

魔法でニーアをサポートしてくれる実験兵器7号。不気味な見た目とは裏腹に,性格は非常に素直で心優しい


言葉を力に変える独特の強化システム


 ゲーム序盤ではまだ無垢な少年であるニーアだが,物語をある程度進めると成長し,青年期に入る。ニーアの性格や周りの環境など,様々な変化があるが,とくに大きいのは使用できる武器の種類が増えることだ。逞しい青年になったことで,大型の槍や両手剣を扱えるようになる。それぞれモーションや攻撃範囲がまったく違うので,少年期よりもさらに奥深い戦闘が楽しめるだろう。


 ちなみに本作には防具が存在せず,装備品は武器のみとなる。武器はそれぞれ指定の素材を組み合わせることで強化していくことが可能だ。入手した時点で性能が低くても,強化を繰り返していけば最終的に見違えるほど強くなることもある。また、強化により武器の重量が変化し、使い勝手も変わることがあるので注意しよう。

どこかで見たことがある武器の数々に,「DoD」ファンならニヤリとさせられるはず。ぜひともコンプリートを目指したいところだ

また,“ワード”という独特の強化システムについても説明しておこう。敵を倒すことで稀に獲得できるワードは,魔法/武器/防御/回避のそれぞれに割り当てることで,さまざまな付加効果を得ることができる。例えば武器なら,「煉獄の理と」+百獣の剣+「ハ,絶望ノ淵ニ立ツベシ」のように,武器名の前と後ろにセット可能だ。この場合は,「煉獄の理と」が持つ“特殊効果をLv5にする”という付加効果が,“武器に混乱効果を付加する”「ハ,絶望ノ淵ニ立ツベシ」と合わさることによって,“混乱効果Lv5”を持つ百獣の剣が完成するというわけである。そのほかにもステータスブースト系や,獲得経験値,アイテムドロップ率をアップするようなワードもあるので,状況に応じて,武器や魔法との相性も考えてセットしていくといい。

ワードにはどこかしら狂気じみた雰囲気を感じさせる物が多い。付け替えはいつでも可能なので,強力なものを手に入れたらすぐにセットし直すようにしよう


他ジャンルのネタを大胆に活用

欲張りな演出が物語を盛り上げる


「アクションRPG」というジャンルにとらわれない演出の数々も本作の魅力。戦闘に弾幕シューティングの要素を取り込んでいるのも興味深いし,謎解きなどでもカメラ視点などを上手く利用することでプレイヤーに予想外の驚きを与えてくれる。
キャラクターを真横から眺める2Dアクションゲームのような場面もあれば,死角の多い俯瞰視点で不気味な洋館を探索するという,ホラーアドベンチャー風の謎解きが始まってしまったりもするのだ。
かつて新宿でのラスボス戦で,何の前触れも無しに超高難度の音ゲーをプレイヤーに強いた「DoD」スタッフらしい大胆な演出だといえる。ゲームマニアを唸らせる遊び心が満載だが,本作ではそのどれもが出オチではなく,ちゃんと物語やゲーム展開を盛り上げる要素として機能しているのが素晴らしい。

物語を進めるたびに新鮮な驚きがあり,「次はどんな仕掛けなんだ!?」と先が気になってしょうがなくなる。RPGではほかにないくらい,カメラワークを上手く利用した作品だ

 なお,昨今のRPGのほとんどがそうであるように,本作でもメインストーリーを進める過程でさまざまなサブクエストを受けることができる。ボリュームはなかなかのもので,全クエストをコンプリートするには結構なプレイ時間を要するだろう。クエストをクリアすることで,それの続きとなる新たなクエストが出現したり,一部のクエストは青年期になった時点で進行不能になったりするので,取り逃がしには注意しよう。キャラクター同士の掛け合いも非常に良くできているので,魅力的な物語やキャラクターを,より深く掘り下げるためにも,クエストは積極的にこなすことをオススメしたい。
そのほかにも,素材採取や魚釣り,農作物の栽培など,寄り道要素は充実している。とはいえ,ストーリー展開が本当に気になるゲームなので,それらを本格的に楽しむのは,2周目以降になるという人が多そうだ。


また,細かいところでは音楽の素晴らしさについても触れておきたい。本作のBGMのほとんどはボーカル曲になっており,その歌詞にはゲーム内の架空の言語が使われている。全体的に物悲しさを感じさせるはかなげな曲が多いが,そのどれもが何とも耳に心地良く,かつゲームの雰囲気と完璧にマッチしており,プレイヤーを「ニーア レプリカント」の世界に深く没入させてくれるのだ。


ちなみに本作はマルチエンディング方式で,周回プレイが楽しめる作りになっている。クリアすることで新たなエピソードがプレイ可能になったりもするので,ぜひともやり込みたいところだ。
……マルチエンディングと聞いて,「DoD」経験者の方々は嫌な予感がしたかもしれないが,安心してほしい。同作のような,“どこまでいっても絶望しかない”展開ではないとだけ,フォローしておこう(絶望は相変わらず常につきまとっているが)。


最後まで新鮮な気持ちで楽しめる傑作


 「ニーア レプリカント」は,欠点を探すのが難しい傑作。グラフィックスや戦闘システムなどは全体的に良くできているが,なかでもジャンルにとらわれず,プレイヤーを楽しませてくれる大胆な演出の数々が高評価のポイントだ。ゲーム好きのツボを突くのが非常に上手く,決して斬新というわけでもないのに,最後まで新鮮な気持ちで遊べる作りになっている。
欲をいうなら,ワードによる強化システムが面白かっただけに,ワードの効果が固定されているのが少々残念だ。コンセプトが個性的なだけに,多少のランダム要素でもあれば,さらにやり込める作品になっていたと思う。
また,原稿中で何度も触れているとおり,「DoD」よりは遥かにマイルドだが,やはりシナリオにはダークな部分も多いので,その辺は好き嫌いが分かれるところかもしれない。しかし,シリアスな物語の合間に見せるコミカルな部分や,キャラクターの関係が非常に面白いので,苦手意識を持たず,ぜひともプレイしてほしい作品だ。「心が動く」という意味においては,本作は本当に“感動”できるタイトルである。


ちなみに今後は,DLCの配信も予定されているようだ。2周目,3周目,4周目……と繰り返し楽しめる作品になっているだけに,こういった拡張要素は非常にうれしいところ。ゲーム性を拡張するものなのか,ストーリーを補完するものなのかは不明だが,本作をプレイすれば,DLCの配信が待ち遠しくなること請け合いだ。本編をすでにクリア済みの人も,周回プレイで世界観/物語を掘り下げつつ,DLCの配信を楽しみに待ってみよう。

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