読書 江戸のパスポート

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久しぶりに面白い本を読んだ感じがします。
『江戸のパスポート』柴田純著・吉川弘文館歴史文化ライブラリー432 です。江戸時代は1800〜1840年ころが一番盛んだったそうですが、往来手形(これを著者はパスポートとよぶ)の交付を受けて持っていれば旅の途中で病気になるなどの危機には、支援がうけられ身元の村まで送り届けてもらうこともできたそうです。
 文献史料による実例もあげられています。京都の宮津(天の橋立のあるところですね)から岐阜県の村まで6日で送られてきた女性もいます。宿継ぎ・村継ぎのネットワークで送られてきたのです。
 ところが、この旅行難民救済システムは危機に直面します。手形の交付を受けられない無宿などの流浪者の増加と偽往来手形の横行です。明和・天保の大飢饉では大量の乞食が発生し、流浪して亡くなる人も多かったことが分かります。
 手形をもたないこれらの人々は、支援の対象とならず、行き倒れて生きて見つかっても、雨露をやっとしのげ最低の食料を与えられる以上の支援はありませんでした。多くは落命したようです。
 そのため手形の偽造がはびこり、往来の多い村々に負担を強い、制度の荒廃をまねきます。病人が送られてくるとすぐ次の中継点に向けて夜中でも送り出す半強制的な追放や、書類の不備などを理由に引き取りを拒否することなどです。
 ではなぜ、流浪の無宿が増えたのか、それは義絶による帳外者(人別帳から削除されたひと・今的には無戸籍者)の増加だそうです。それは連座・縁座(親族や地域が不行跡者の後始末を負担させられること)の重い負担を避けるために、不行跡者や出奔者を予防的に早めに義絶する傾向が高まったのだそうです。流浪の無宿は、乞食巡礼、游芸人などなど雑多な人々だったようです。これは、封建制の土台である人別帳人口を掘り崩す危機であり、幕藩体制の動揺からくる現象でもありました。
 往来手形と支援体制の歴史から明治になってからの終焉と、無宿の分析を実証的に展開していてとても面白かったです。江戸期に始まる旅行の大衆化と、仏教、儒教に由来する相互支援の習俗に基礎をおく旅行難民支援の歴史は、強者の論理だけが幅をきかせている今日こそ、明日を考えるうえで意義があると強調しています。

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