読書==『原発のコスト』−−原発ほど危険で高コストの発電はない
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本書の著者・大島堅一は原発が低コストの電源だという、政府や電力企業、原子力産業や御用学者などの詭弁を早くから暴き、実はいちばん高コストで危険な電源であると主張してきた学究です。
そして、本書は原発の、くわしい自然科学的・技術的側面以外の社会的側面については、幅広く言及していて、原発問題入門にも最適です。しかし、内容はきわめて批判的、論争的であり、原発推進勢力を「原子力複合体」とよんで責任をきびしく追及し、解体を求めています。
この点では、私も以前から、原発固執勢力の呼称について、「原子力村」「原発利益共同体」などの呼び方に批判的で「原発利権複合体」を提唱してきたところであり、大いにわが意を得た思いです。http://blogs.yahoo.co.jp/kumagoro_sasayama/43108099.html
私的には初見のものは少なかったのですが、なかでも参考になったのは、第二章の被害補償の問題で、政府・電力企業のスキームとその批判、及び、第三章の、原発の発電コストの分析のうち、使用済核燃料の再処理と地層処分にわたる巨額の費用と、それが原発の国民的コストであることの分析の部分です。
原発が、原発利権複合体の利権のために、政府の施策としていかに国民に重い負担を強いてきたか、そして福島原発災害で未曾有の被害を与えておきながら、いかに責任逃れを企て、国民に尻拭いを押し付けようとしているのかが明らかにされています。
そして、国民と共存できない、危険で不経済な原発からの脱却が、必要であるばかりでなく、再生可能エネルギーへのシフトなどで可能であり、それが真の国民的経済的合理性にも合致することを説得力をこめて論証しています。
読みやすさという点では、最初に原発災害のひどさと、賠償の問題点にふれ、現実の深刻さを念頭にまず置いた上で、コスト問題などの分析に進むという順序を踏んだことの意味はわかるのですが、なかなか本題に入っていかず、ここでやめてしまう人がいるかもしれないと気になりました。前書きで、全体のレビューについて述べておくとかの配慮があるとよいのにというのが率直な感想でした。
ともあれ、非常に時宜にかない、広く求められていた書物であり、多くの人々に読んでいただきたい一冊です。
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