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第42回[文化/批評]研究会のお知らせ

以下のとおり、第42回[文化/批評]研究会を開催します。
事前申し込み不要です。ふるってご参集ください。
 
第42回[文化/批評]研究会
とき:2012年5月25日(金)15:30〜17:30
場所:大阪大学豊中キャンパス・美学棟1階日本B教室

報告者:五十嵐惠邦(ヴァンダービルト大学)
「最後の日本兵の帰還―横井庄一・小野田寛郎・中村輝夫」

 今回の発表では、日本の敗戦後四半世紀以上たって「発見」された元兵士たち、横井庄一、小野田寛郎、そして中村輝夫(民族名:スニヨン、中国名:李光輝)の生還について考えてみる。彼らは、日本の敗戦後四半世紀以上たって、再び姿を現したが、それまでのあいだに日本社会は多くを経験し、全く異なった場所となってしまっていた。敗戦によっていったん瓦解した社会が、混乱を乗り越え「日本」という新しい秩序を作り上げただけでなく、高度成長期は日本社会でのメディアの役割を格段と大きなものとした。そして、日本社会のなかにいた者たちは、このような社会的な変革とともに変わっていったため、この変化の過激さを必ずしも認識する機会をもたなかったのである。
 しかし、横井と小野田の帰還は、戦後日本をパニックにおとしいれたといってよいかもしれない。もうとっくに治ったと思っていた戦争の傷が、突然ぱっくりと口を開けてしまったのである。日本のマス・メディアは過剰に反応し、表象機能を昂進させることでこの傷を強引に覆ってしまった。メディア先導の出来事となったのであり、横井と小野田が、マス・メディアの寵児になったのも、このような戦後日本社会の状況に後押しされたためである。それに反して、中村がモロタイ島で保護されたというニュースが伝わった時、日本のマス・メディアの反応が鈍かったのには、元植民地出身の日本兵であった彼の帰還が戦後日本の創り上げた国民的な物語にうまくあてはまらなかったこと、そして当時の複雑な国際関係に取り込まれてしまったことなどの理由があった。
 横井、小野田と中村を並べ、比較してみることで、戦後日本が一九七〇年代半ばに面した新しい歴史的な局面があぶりだされるであろう。彼らの帰還は、戦後日本の想像力をはるかに超えていたのであり、戦後日本のメディアはそれぞれ異なった反応を見せたのである。この三人の帰還は、この時期までに、日本のイメージは再構築され、戦争という過去との関係も大きく変容してしまったことを示す。
 
 

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