サラワクBlog

マレーシア、サラワク、植物、銭湯、街歩き、旅行、リクガメ、古いスーパーカブ、ワークショップなど。Web「サラワクの森・街・ひと」

熱帯の植物の戦略その1

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ジャングルの植物たちは、生き残りをかけて、厳しい生存競争を繰り広げています。特に重要なのが「光」です。植物は太陽の光を受け、光合成を行い、生きるのに必要なエネルギーを作ります。

しかし熱帯のジャングルは、多種多様な植物が繁茂し、しかもそれらが垂直分布、つまり地面から上空に向かって成長しているだけではなく、「着生植物」といわれる、地上に根を下ろさず、他の木に根を張って成長する植物や、「つる植物」という、他の樹木を支えにして上空に成長していく植物などがとても多く、地上付近、樹冠、根元から樹冠の間など、あらゆる空間に植物が繁茂しているのです。

こんな状態で植物たちは、いろんな工夫をして、何とかして多くの太陽の光を受けようと、戦略を練っています。

写真の植物がとった戦略は、大木の幹に張り付くこと、でした。ジャングルの樹木は、光を求めて上へ上へ、まるでモヤシのようにまっすぐ成長していきます。その幹は枝もなく電信柱のようです。このわずかな空間を、この植物は利用しました。よく見てみるとより光の多く当たる面に張り付いています。

幹に張り付く戦略のもう一つの利点は、水を得やすいことです。雨が降ると、一滴の雨水は葉や枝を伝い、すこしずつ合流し、やがて幹にそって集約され、滝のような流れとなって、地上に落ちていきます。その水をこの植物は存分に利用できるのです。

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橋ができる、道がとおる

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サラワクのジャングルに暮らす先住民族は、主に「ロングハウス」と言われる、木造高床式の共同住居(長屋)で暮らしています。このロングハウスは行政の最小単位で、ロングハウス=村でもあります。このロングハウスはサラワクのジャングルに点在する形で建てられています。電気、水道、ガスなどの社会基盤はまだ十分に整備されておらず、大都市クアラルンプールの暮らしと比較すると、相当大きな格差が存在します。

社会基盤のうち、道路もほとんど普及しておらず、ロングハウスの人々の移動手段は、川を舟で移動するのが主になっています。人々は毎日川でマンディ(水浴び)や洗濯をし、生活用水も川から得ています。川から魚やエビを捕ることもあります。そして舟で川を移動する。まさに川と共に暮らす「川の民」といってもいいと思います。(写真1枚目は舟で登校する子どもたち)

しかし一方で道がない、ということは、移動が制限される、ということでもあります。手こぎの舟で移動することもありますが、なんと言っても力を発揮するのが船外モーターです。たいていの家庭には舟があり、それに装着する船外モーターを持っています。このモーターは借金をして買う人もいて、家の中で一番の高額品といえます。

しかしこの船外モーターも、近所の村へ行ったり、漁をしたり、畑に行くなど、ロングハウスの周辺を移動するには力を発揮しますが、少し離れた町まで行くには力不足です。街まで行くには写真のような乗り合い水上バスを使わなくてはなりません。

私がよく訪ねるロングハウスも、道路がなく、川を舟で移動する暮らしを送っている村です。しかしこの村に、もうすぐ道が通じるのです。今サラワク州は「サラワク回廊プロジェクト」というプロジェクトを推進しています。これはサラワクの沿岸部と内陸部を道路や送電網でつなぐ回廊を作ることによって、ダムによる発電や石炭、木材資源、パーム油、造船業、漁業、石油、天然ガスなどを循環させ、海外からの工場誘致、投資、雇用創出などを通して経済成長をさせようという総合開発プロジェクトです。

私がよく訪ねるそのロングハウスは、ちょうどこのサラワク回廊による幹線道路が、そばを通過する場所にあるのです。この道路はサラワク第3の都市シブから、ラジャン川河口にあるタンジョンマニスという港に向けて作られているのですが、上空から見るとジャングルの中をほぼ一直線に道路がつくられていることがよく分かります。途中、マレーシアで最も長い川であるラジャン側を横切るのですが、そこに巨大な橋も架けられています。

村人にこの橋についていろいろ聞いてみると、多くの人が「楽しみにしている」「便利になる」という答えでした。特に船外モーターを持たない人や、女性、若者などは、道路ができることで自力で町まで移動できる、ということに大きな魅力を感じているようです。また道路と同時に、現金収入の手段が増えるのではないかと期待している人もいました。

道は村人にとって移動の自由をもたらすだけではなく、生活の幅を広げることにもつながると言えそうです。ただ、私はある年老いた女性の言葉が印象に残っています。その女性は「道を通じていろんなものが村に入ってくるけど、その中には村にとって悪いものも入ってくるに違いない。それが心配だ」といいました。

道がロングハウスに何をもたらすのか、今後も見ていきたいと思います。

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ロングハウスの火災8「全焼からの復興」

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ロングハウスはその構造上、一度出火すると全焼してしまうことがほとんどです。ロングハウスの火災やそれを防ぐための活動について書いてきました。

ロングハウスに暮らす人々は、銀行口座を持っていない人がほとんどです。また火災保険などに加入しているロングハウスもほぼ皆無でしょう。だから、ロングハウスが全焼するとすべてを失うことになります。

では、火災にあった後あとはどうするのでしょうか。事例によっては行政から一時見舞金をもらえることもありますが、ほんのわずかです。多くは政府からローンをもらって、再びロングハウスを再建します。

全焼した私の知り合いのロングハウスの場合、政府から60年のローンをもらって、ロングハウスを再建しています。毎月5,000円〜10,000円を60年にわたって返済していくのです。

ロングハウスの火災跡にまずは仮設のロングハウスを建てるところからはじまります。ロングハウス建設は最初に村人が総出で柱と屋根の骨組みを作りますが、その後は各自が自分の住居部分を、時間と予算に応じてマイペースで作っていきます。ですのでお金のない家庭は壁がなかったり、いまだに床が張られてなかったりします。(写真1枚目)

さて、私の知り合いのロングハウスは、一度全焼したのに、再び火災に弱い構造のロングハウスを建てるのですが、火災の経験を活かし以前とは違った構造をロングハウスに取り入れました。それは火元になることの多い台所と、ロングハウスを離して建てる、というものです。台所と母屋になるロングハウスの間に空間を設けることにより、延焼を防ぎ、火が出ても最小限の犠牲で済むわけです。(写真2枚目。右手が台所)

この手法は最近注目されていて、別の友人のロングハウスでは、まだ火災には遭っていないのですが、台所を改造して屋根を取り払い、母屋との間に空間を作るということを、村の取り決めとして実施しはじめています。(写真3枚目)

しかし、火災に遭いすべてを失ったにもかかわらず、彼らなぜ。火災に弱い構造のロングハウスを建てるのでしょうか。彼らにとってロングハウスはさまざまなデメリットを補ってあまりある「何か」があるのだと思います。

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ロングハウスの火災7「火事を防ぐために・その2」

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ロングハウスの火事を防ぐための活動3年目(2008年)は、最終年です。今後はこうした海外からの援助がなくても、自分たちで課題に取り組んでいかなくてはなりません。そのために昨年度からおこなわれているのが組織作りです。日本消防団のような組織をロングハウスの中に作りました。また火事を出さないためのルール作りを村人自身が考えました。こうした村人の取り組みを後押しするのが、行政、特に消防機関です。

この3年間、毎年、ロングハウスの人と一緒に消防署を訪れ、協力を要請してきましたが、意外なことに、ロングハウスの火災に対する行政機関の関心はたいへん低いと感じました。年間どれくらいのロングハウスが火災に遭っているのかの数の把握もされていません。行政のロングハウス火災への関心の低さにはいろんな要因があると思います。サラワク州の消防体制のインフラが不十分であること、僻地の火災より町の防災を優先していること、消防署とロングハウスの地理的な隔たりがあること、などがあります。

もうひとつ大きな壁は村人と消防当局との心理的な隔たりだと思います。特に村人は消防署と連携する、という発想さえなく、逆に「何となく難しいところ」というイメージを抱いていました。

そこでこの活動では、ロングハウスの人と一緒に消防署を表敬訪問し、お互いに顔の見える関係作りを試みました。そうすると、消防署のスタッフの中には同じイバン人もいて、言葉も通じることが分かり、また一緒に食事をすることで、打ち解け、仲良くなっていきます。消防署の方からも今後積極的に連携していくことに前向きになってきました。実際、この活動が終了したあとも、年に数回、ロングハウスに消防署のスタッフを招き、消火訓練やワークショップの開催がおこなわれるようになっています。

今回の活動は、あるひとつのロングハウスに焦点を当て、活動を展開しましたが、今後は、ここでの事例を「住民組織による消防・防災体制作りのモデル」として、流域の他のロングハウスにも広げていく予定です。

以上の活動「住民組織による消防・防災体制作りモデルプラン作成事業」については、インターユースのホームページに詳しく紹介されています。
→ http://www.city.sakai.lg.jp/fureai/08iys-report.html

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ロングハウスの火災6「火事を防ぐために・その1」

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ロングハウスの火事の原因が「タバコの火の不始末」「灯油ランプ」「ガスコンロ」と分かったところで、では、どうやって火事を防ぐか、ということが大事になってきます。インターユース堺と、堺市消防局の協力をいただきながら、村人が話し合いを重ねました。

このプロジェクトは3年にわたって実施され、1年目の火災の原因調査を受け、2年目(2007年)は、初期の段階で消火できる体制作りを目指しました。ロングハウスはその構造上、出火した火が大きくなってしまうと、もう手がつけられず全焼を免れません。そのため、万が一出火した場合は火が小さいうちにいち早く消火する必要があります。

この初期消火に有効なのが消火器です。消火器の設置されているロングハウスはほとんどないといっていいと思います。あっても1台か2台で、しかもほこりをかぶって管理されていることはまずないでしょう。

インターユース堺の協力を得て消火器がロングハウスに寄贈されました。大切なことは、消火器は各世帯に設置するのではなく、ロングハウス共有の消火器として、誰にでも手の届くところに設置することです。また消火にあたっては一台の消火器よりも数台の消火器を使って集中的に消火することが有効です。これらの観点から寄贈され消火器はロングハウスの廊下の低い位置に設置されることになりました。

また堺市消防局の消防士から、消火器の使い方、管理のしかた、置き場所、詰め替えの方法、使い方などを指導を受けました。

もうひとつ大切なことがあります。消火器をもらって設置しただけではただの「置物」にすぎません。ロングハウスの誰もが消火器を使えるようになることです。そこで実際に消火器を使って火を消す消火訓練が行われました。特に台所で火を扱うことの多い女性や、日中留守を守るお年寄りが、火災の現場に遭遇することが多いと予想されます。訓練には子どもからお年寄りまで多くの村人が参加し、実際に初期消火を体験しました。

また、これまで存在していなかった「消防委員会」を組織し、村落開発・運営委員会の中に位置づけました。この委員会の役割は住民の防火意識を向上させること、初期消火の訓練をすること、ルール作りをおこなうこと、です。

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