詩集 消える季節

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本棚の片隅にあった手作りの古詩集

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黄色い表紙の詩集 P72〜P73

     消える季節(夏から秋)

 運動会のピストルの音で、夏は逃走した。
 もう笑われないだろう。
 ひとつの季節がめぐっていったと言っても。
 虫たちはもう、とっくに鳴き続けていたのに。
 朝、水が冷たいと、初めて感じたときにも、
 秘かに暖かいものをもっているだろうか、
 心に、ひとは。
 そして、雨にぬれている子猫や、橋の上で黒く
 泥酔しているひとに、秋がやってきたことを
 知らせなくてはならない。
 消える季節に驚くものは、綿タンポポの目立つ
 野、家影の冷ややかさ、十月のカレンダーを見
 たとき。着始めた上着のクリーニングのにおい。
 そして私の”秋”宣言。

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消える季節
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