図書館のことや食べ物のあれこれ

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【本 「カブールの本屋」】

3月7日(土)晴れ
☆☆ 昨夜のWBCでの日本選手の活躍 素晴らしかったですね ☆☆

アフガニスタンのある家族の歴史

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著者:アスネ・セイエルスタッド
訳者:江川紹子
出版社:イーストプレス
出版年:2005/7/15 初版第1刷
価格:1800円


アフガニスタンについて

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                (この地図は本書8〜9から引用)
アフガニスタンと言えば、2001年9月11日の「同時多発テロ」!
また、昨年8月末にはアフガニスタンで活動する日本のNGO組織「ペシャワール会」の伊藤さんが武装グループに殺害されている。アフガニスタンの復興のために献身的な活動をしていてもこういうことに巻きこまれてしまう危険な地域である。思いはずの命が簡単に奪われてしまうとはなんと非情なことだろう。


外務省からは下記のような情報がでている。(2009/2/25現在)

 ●下記以外のアフガニスタン全土
    :「退避を勧告します。渡航は延期してください。」(継続)

 ●首都カブール、ジャララバード、ヘラート、マザリ・シャリフ及びバーミヤンの各都市
    :「退避を勧告します。渡航は延期してください。」(真にやむを得ない事情で現地に残留せざ    るを得ない場合は、政府機関、所属団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとっ     てください。)(継続)


9.11では首謀者 オサマラディンの潜伏するアフガニスタンを攻めろとブッシュ前大統領の雄たけびとともに、2001年10月7日、アメリカ・イギリス軍などの連合軍はアフガニスタンを軍事攻撃、約2か月後 タリバン政権は崩壊。

その前、ソ連は1978年にアフガニスタンに侵攻した。
1980年 第22回 モスクワオリンピックが開催されるも、ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議してアメリカはオリンピックボイコットを呼びかけた。
日本・韓国などが不参加となったことは記憶にある。

しかし、イギリス、フランス、イタリア、オーストラリア、オランダ、ベルギー、ポルトガル、スペインは政府見解と違ってもスポーツの政治からの独立を主張し参加。
マラソンの瀬古選手、柔道の山下選手、水泳の長崎宏子選手を始めとして、出場が決まっていた選手たちの失意は計り知れないほどだったはず。本当に気の毒な事態だった。

さて、ソ連の侵攻中の約10年間、アメリカによって莫大な資金と武器・戦術を提供されたイスラム主義者たち、20万人のゲリラ部隊の中に、オサマ・ビンラディンがいた。
大量の兵士と武器を投入してアフガニスタン制圧にソ連は挑んだが、ベトナム戦争のように地理を知り尽くしたゲリラ兵士に惨敗、1989年 ソ連は撤退した。
撤退を決めた当時のゴルバチョフ大統領の緩和政策の結果であり、東西冷戦の終局に入っていた。
同じ年、ベルリンの壁崩壊。
1991年、ソ連共産党によるソビエト連邦は消滅した。

しかし、ソ連が去った後のアフガニスタンは民主化を嫌うタリバンに支配され、その後はアメリカなど連合軍と現地軍の戦争で庶民は絶え間ない恐怖と不安の日々を送ることになった。
難民の多くはパキスタンへ逃れた。

やっと静かになったかと思ったら、今度は2001年10月 アメリカなど連合ぐうによる「対テロ戦争」の攻撃地となる。

次から次へと戦禍に見舞われ、人々の暮らしは脅かされ続ける中、この「本屋」を営むスルタンは、アフガニスタンの歴史書・文学書・詩集、各部族に伝わる言語の違うさまざまな書物などの収集と保存を自分の生涯の仕事としている。タリバン兵士による本の略奪・焚書などに遭いながらも大切な本を命がけで守ってきた人でもある。 
この仕事に使命感を持ち、一家の長としても威厳を保ち、2人の妻とその間にできた子供たちや親族をまとめ、商売人としても目下のところ成功を収めている。

しかし、女性たちは自立を阻まれている。男性と家族のために生きている。恋の告白も許されず、結婚も親が決めるしきたりの中で女性たちの人権は踏みにじられているではないかと読んでいて腹が立ってくる
訳者も著者も女性ならではの表現だと思う箇所が多く、江川さんも書いているようにアフガニスタンの人々が身近に感じられるのが読み終わっての一番の感想である

現在、タリバンはまだ勢力を失っていないということだが詳細はわからない。

本書は、2001年11月から1ヶ月間、カブールで「本屋」を開くスルタン・カーンの家族のもとで起居をともにした経験から書かれたノンフィクション小説である。
タリバン政権がどんな政策でアフガニスタンを支配したか、本書から引用する。

タリバンの16の布告

1 女の肌の露出の禁止・・・・・ブルカ着用していない女を車に乗せてはいけない

2 音楽の禁止・・・商店・ホテル・自動車・輪タクでカセットテープで音楽を流してはいけない

3 ひげをそることの禁止・・・

4 礼拝の義務・・・すべての輸送機関は祈りの時間の15分前には停止しなければならない

5 鳩の飼育と闘鳥の禁止・・・このような趣味は禁止 ゲームに使われた鳩は殺す

6 麻薬とその使用者の撲滅・・・常用者は監禁。販売店は閉鎖 処罰

7 凧揚げ・・・不道徳な影響をもたらす凧の販売店は強制撤去

8 絵の複製の禁止・・・自動車・商店・家財・ホテルその他の場所に絵画や写真・彫刻は撤去

9 賭けごとの禁止・・・賭博場は摘発、賭博行為者は1か月拘留

10 英欧風の髪形の禁止・・・長髪の男は逮捕され、断髪、散髪代は罪人の負担

11 借金の利息・為替手数料、取引手数料の禁止・・・違反者は長期の禁固刑

12 川の土手での洗濯の禁止・・家まで連行され、尾の夫に厳罰が下される

13 婚礼での音楽と踊りの禁止・・違反の場合は家族の長が逮捕され処罰

14 太鼓演奏の禁止・・処罰

15 洋服屋が女性の衣服を仕立て、採寸することの禁止・・・ファション雑誌が見つかれば収監

16 呪術の禁止・・・この類の本はすべて焼かれ、呪術師は悔い改めるまで収監


◆これらの教えを守らないと天国には行けない。
タリバンが去って自由な空気が流れ始めた。
とはいってイスラム社会の風習はまた別である。
当時 タリバンによる教育を受けた子供たちのことが危惧される。

◆一夫多妻制、ブルカを脱ぎ始めた女性たちも最近では目立ち始めたという。
しかし、家族・一族の了解がなければ恋も結婚もましてや仕事も自由に選ぶことができない。

アフガニスタンの女性たちのおかれた境遇はあまり、知られていない。
女性ばかりか、暮らしぶりが私たちにはわからなかった。
破壊されたがれきを前に、泣く人々、放心状態の人々の姿をテレビで見ることはあっても、なかなか日々の暮らしぶりを伝えるものはない。

映画・カンダハールとの関連

映画カンダハールの記憶がよみがえった。

これはアフガニスタンからカナダに亡命した女性ジャーナリストが故郷のアフガニスタンを旅する物語であったが、9・11の直前の2000年に危険を冒して現地で撮影された映画である。
私は大阪のシネマパラダイスでこの映画を観た。
2001年9・11事件以降、この映画が世界中で絶賛され有名な映画の賞を受けたことを知った。

ビンラディンという名もタリバンという名も知らないでアフガニスタンを忘れていた(私はそう)人々に
この映画は、タリバンに支配されていた時代の人々の暮らしを描いている。
特に女性たちに対する徹底的な差別支配は信じられない。
こんなひどい暮らしを強いられているアフガニスタンの人々には世界のことはほとんど知られていない。
イスラム世界のことは特に、わかりにくい。
しかし、間接的に世界はつながっているのではないだろうか。
ソ連崩壊後、ブッシュのアメリカ大国主義が世界を覆い、それに反発するイスラム世界との衝突は世界のバランスを崩したではなかったか。

オバマ新政権のアフガニスタン戦略

オバマ大統領はイラク撤退を早々と宣言。
一方で、「対テロ」の主戦場はアフガニスタンと発表。
アフガニスタンはまだ政情不安定で各地でタリバンとの戦争が起きている。
アフガニスタンの政情安定のため、戦力もさらに増強されるということだが、どうなることだろう。
中東情勢はとても難しい。
しかし、武器を持たない庶民にとっては戦争は御免。
これ以上は戦乱が拡大しないことを祈りたい。


訳者 江川紹子さんについて

訳者があの評論家の江川さんだとは、本書をめくるまで気がつかなかった。
あの、江川さん? 
オウム真理教の時の江川さんだった。
どんな訳になっているのだろうと興味を持って読んだ。

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