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♪アッメリカァ〜、ファックイェー!!
ストーリーの骨組み自体は硬質なヒーローアクションであり、これを人形劇のスタイルで描かれているのが斬新で、世界平和を守るため活動する私設軍隊「チーム★アメリカ」を主人公に置いている。人形の動き,顔の造りや表情が非常にリアルな出来栄えであり、その精巧さに驚くと同時に感心してしまう。背景となるジオラマや銃や戦闘機等の兵器を始めとした小道具の造型も良い出来だ。そしてパペットによる文字通りの「ワイヤーアクション」に迫力を感じてしまうのだから凄い。爆破,津波といった派手なアクションも実写ハリウッドアクションにひけをとらない迫力がある。
しかし従来のヒーローアクションと大きく一線を画しているのは、ヒーローが倒すべき巨悪が金正日であり、彼の宮殿には実写の金正日と金日成の写真まで掲げられているほど徹底して金正日を悪の総帥,ときには道化の象徴として君臨させていることだ。ここまで徹底してキレイごと抜きで悪として描かれていると潔い。映画好きである彼に、ぜひとも本作を鑑賞していただきたいと思う。精度はどうあれ、アメリカに向けてテポドンが発射されるきっかけになるのかも・・・
それだけに留まらず彼の配下としてヒーロー達に立ちふさがるのが、アメリカ軍のイラク派兵に反対したリベラル派のハリウッド俳優達であり、全員が実名で登場している。もちろん顔も一人一人ソックリに作られている。中盤までは誰が登場するか楽しみなぐらいで、設定を除いては比較的大人しめな扱いであったものの、後半では彼等の一人一人が容赦なく虐殺されていく。その虐殺描写の生々しいスプラッタぶりは痛快!ただ登場する俳優のファンにとっては不愉快でたまらないだろう。登場した俳優達は全員激怒しており、そのためか人形の声を当てているのは本人ではないことを念のため補足しておく。
標的はハリウッド俳優だけに留まらず、映画監督であるマイケル・ムーアやマイケル・ベイ,映画プロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーにも攻撃の矛先を向けている。監督・製作・脚本を担当したトレイ&マットとは同業種ということもあってか、彼らに対する攻撃は一層厳しいように感じられた。マイケル・ムーアについては後で触れるとして、ハリウッド金満主義の代表格であるマイケル・ベイとジェリー・ブラッカイマーに対しては、本作オリジナルの挿入歌で散々こき下ろしている。確かに『パール・ハーバー』の出来は酷かったかもしれないが。
この挿入歌だけに留まらず、全編を通して過激な歌詞の主題歌と挿入歌が物語を盛り上げている。そこで歌われているのはアメリカへの批判,露骨な愛と性欲,エイズ問題,特定の映画と俳優をコケにする、といった具合だ。それぞれの歌が歌詞とメロディがマッチしている名曲であり、歌そのものの良さだけに留まることなく各場面にピッタリとはまっている。なんと金正日にまで独裁者の悲哀をミュージカル調に歌わせている悪趣味ぶりを見せている。もちろん、そこで歌われる悲哀にわれわれが共感することはなく、道化として晒し者にされる彼を笑い飛ばすだけだ。
それにエログロネタが満載!隊員同士のラブシーンでは、パペット同士でありながら全裸で激しく多彩な動きをとりながら生々しく展開されていく。物語の後半では愛し合った二人のラブシーンの詳細が赤裸々に語られるが、その内容には驚かされた。また中盤では嘔吐シーンがこれでもか!とばかりに延々と続く。あまりの嘔吐の量に気分を悪くし、映画から脱落する方もいたのかもしれない。僕もその悪趣味ぶりに爆笑するどころか、少々気が滅入り目を背けてしまった。それに所々に散りばめられたゲイネタが悪趣味な作風を押し上げている。シリアスなシーンで真面目にゲイネタを披露しながら何気なく歴代アメリカ大統領まで批判しているのだから頭が下がる。バカな事を真面目に行うのは、僕は好きです。
そして、トレイ&マットの真の標的はアメリカそのものであり、主人公であるチーム★アメリカはアメリカ国家を象徴しているといえる。序盤からパリでテロを計画しているビンラディンを抹殺するために持てる兵器を駆使し、その結果フランスを破壊していく光景には、ギャグを通り越してイラク派兵時でのアメリカ軍の行為を皮肉った生々しさを感じる。自分達が掲げる正義を行使するためには手段を選ばず、その手段を達成させるためにはいかなる犠牲も辞さないし、それに悔いる様子もないところまでアメリカを感じさせてくれる。そんなアメリカを批判してやまないマイケル・ムーアに、チーム★アメリカの本部基地に自爆テロをさせたのは大爆笑!
しかし、このような批判に一貫性と説得力がないのは、この映画もまた彼らが批判したハリウッド大作映画と同等といえるほどの47億円の巨額な制作費を持って製作されたものだからだ。映画の出来具合からすれば当然の額か!?それに、トレイが語るように「演技は難しいものでもないのに、役者連中は多くのギャラをふんだくっている」との理由から俳優達をクソミソに扱っているものの、本作の肝の部分において「役者の演技」が良くも悪くも重要なキーポイントとなっている点においても同様だ。物語を展開していくに当たって「演技」が欠かせないものになっているので完全に役者の演技を否定し切れていないのだ。加えて多くのギャラをふんだくっている俳優達が存在し、ダシにすることができるからこそ、本作は個性的な映画として輝きを放つことができるのである。
そして本作のような過激な作品を、あっさりと公開してしまうアメリカという国の懐の深さには、結局の所マット&トレイも敵わない。いわば、お釈迦様の手のひらで飛び回る孫悟空といったところか。しかし、そんな孫悟空のようなヤンチャぶりが楽しい映画でありました!
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