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茶話倶楽部♪まろん
「日本のいちばん長い日」家族で観ました。心がふるえました。。できることなら字幕つきでまた観たい…。

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慶州崔氏の祖

「名家」を観たので、少し調べてみました。
歴史書を紐解いてみると。
 
慶州は新羅王朝の王都でした。
三国統一後は、地方からの豪族や貴族が集結して、邸宅、寺院も多く建てられ、また外国との交流も盛んに行われ、8世紀の東アジアでは有数の大都市だったようです。
今もその名残が各所に見られ、当時の貴族の栄華を偲ばせる遺跡や出土品も多いようで、機会があったら是非訪れてみたい場所です。
慶州崔氏。その祖先は新羅王朝建国時にまで遡ることのできる名門中の名門。慶州に移り住んだ古朝鮮の部族が6村をつくり新羅の土台となりますが、崔氏はその中の沙梁(サリャン)部の出身でした。
その崔氏で歴史上名高いのが、新羅末期に活躍した崔致遠チェ・チウォン
 
六品頭貴族の出身です。
新羅王朝には、今放映中の「善徳女王」でも出てくる「骨品制度」という血統的な身分制度がありました。
 
聖骨ソンゴルは両親とも王族の最高位。1〜5等級までの官職を真骨チンゴル(片方が王族で片方が貴族出身)が独占。王族と血縁のない貴族は最高位6等級までしか上ることはできませんでした。
チェ・チウォンはその一般貴族の最上級の出身だったわけです。
 
当時、貴族の師弟は、官僚コースへの常套として唐に儒教を学びに留学しており、チェ・チウォンも12歳で留学します。18歳で科挙に主席で合格し、その才知を認めた唐の朝廷から高官に任ぜられ、上表文などを多く手がけてその文名を高めます。
しかし意気揚々と帰国するも、王族以外は高官になれないという新羅王朝の壁にぶつかることに。王朝末期、あの花郎ファランの規律と武勇に磨かれた王朝文化はすっかりすたれて、軟弱で退廃的な貴族社会が咲き誇り、腐敗しきっている朝廷。
その様子に苦悩したチェ・チウォンは、さらに第51代真聖チンソン女王(887〜897)の政治への批判をしたために、結局重用されることはなく、新羅を嘆き高麗に想いを託しつつ、一文人として晩年は寺に篭って一生を終えたのでした。
しかし彼への賛美の声は絶えず、慶州崔氏一族はこのチェ・チウォンこそを始祖として崇めるようになった、ということです。
 
ちなみに「大王世宗」に出てくる軍器監の崔海山チェ・ヘサンの父、崔武宣チェ・ムソンは、高麗末期、朝鮮最初の火薬発明者として有名ですが、こちらは崔漢を始祖とする永川崔氏の出身です。
 
また高麗時代の武臣政権でも、崔氏四代の時期が最も安定しており、元に徹底抗戦したり、末期には倭寇を撃退したりと、武功をあげた功臣が多かったようです。 
 
さて、物語の主人公は慶州崔氏出身のチェ・グクソン
その祖父チェ・ジンリブは上のチェ・チウォンから18世孫に当たります。
 

チェ・グクソンが生きた時代

時は1636年。
後金(のちの清国)との戦い、「丙子胡乱ピョンジャホランが勃発、多くの難民が慶州に逃げてきます。
物語はその難民に蔵の米を開放して粥の炊き出しを行う、チェ・ジンリブの善行からスタートします。
当時の崔氏は度重なる戦乱で勲功をあげ、朝廷からの信任も篤かったようです。
その戦乱を遡ってみると。。
 
1592年・壬辰倭乱イムジンウェラン = 文禄の役(秀吉の第一回朝鮮出兵
1597年・丁酉再乱チョンユジェラン = 慶長の役(同第二回朝鮮出兵
時の王は、第14代宣祖、次が第15代・光海君ファンヘグン。キム尚宮の活躍した時代ですね。
この光海君が甥にクーデターで追放されます。これが有名な仁祖反正
 
1623年・仁祖反正
光海君は卓越した外交能力を持っていました。
当時台頭してきていた、女真族の後金。その力を見越して、国を危機に追いやった日本と早々と条約を結び関係修復をすすめ、衰退する明よりも後金(清)との良好な関係を優先して和議を結び、後顧の憂いを断ちます。
しかしこれらは当時の朝廷には認められないことでした。蛮族とみなされてきた女真族と講和を結ぶなど言語道断。しかも日本ともさっさと仲直り。明との関係を重視していた西人派はこれらを受け入れたくなかった。
結局このことが、直接的な反正の名分となったようです。その上、庶子の次男である光海君は正統な世継ぎとは認められず、明国からの承認もない。
ということで反正=クーデターの大義名分ができあがったのです。
光海君は王位剥奪され流刑に処され、その地で亡くなり、後押ししていた大北派も一掃されます。
 
仁祖を擁立した西人勢力政権は、「崇明排清」を掲げ明との関係続行を重視したため、やがて後金の反感を買って対立する羽目に陥り、戦争へと繋がってしまいます。光海君の先見の明が受継がれていれば、、です。
 
1627年・丁卯胡乱チョンミョホラン =後金の第1回侵攻
1636年・丙子胡乱ピョンジャホラン =後金の第2回侵攻
 
この頃が第一話に当たります。
仁祖は南漢山城に篭城し、全土に挙兵の檄を飛ばします。このときグクソンの祖父・チェ・ジンリブもまた挙兵し、南漢山城の激戦に参戦するのです。
結局敗北した仁祖は、清の皇帝太宗=ホンタイジの前で九頭叩の礼をさせられ、清国に臣下の礼を尽くすことを誓わされます。そして世子と王子、臣下が清国に人質として送られ、以後李氏朝鮮王朝の終焉まで、その関係が続くことになるのです。
 
チェ・グクソンが生きたのはこんな大混乱期だったのですね。
戦禍によって荒廃した国土。疲弊した国庫を埋めるための重税から逃げる農民。
そして彼の活躍に直接関わってくるのが、当時の農民と市場のようすです。
これは史書を読んでいてもと〜〜〜〜ってもややこしいです
 
当時の農民・商人に大きく関係したのが、光海君が導入した「大同法テドンンポプという法の施行でした。
それまでの農民は、田税・軍役のほか、貢納進上を課せられていました。貢納は官庁で使用するもの進上は王室で使用するもの。その品目は多岐に渡り、しかも自分の土地の特産品とも限らなかったので、納めるのは大変な苦労でした。その上、納められない弱味につけ込んで、貢納品を調達してやる代わりに多額の代価を農民に要求する貢納請負人が現れて、さらに農民を苦しめます。このため土地を捨てて流民になる農民が続出したのですね。
 
こうした農民の負担を軽減するため、光海君は、現物で納める貢納を、土地を基準にした米・綿布・銅銭などに代えて一旦国に納めさせ、朝廷や官庁がそれをもって商人から必需品を買い取る、という大同法の制度を取り入れるのです。
施行されたのが1608年。
しかし小作料の搾取で税を逃れていた両班地主層や中間請負人の反発が強く、定着するには100年を要しました。
グクソンが生きた時代は丁度、その過渡期にあたるんですね。
 
大同法は漢城周辺の農村に活気をもたらし商業の発展につながります。
 
朝廷は安定した財源を確保するため、特定の商人に許可を与えて市廛シジョンとして経営させます。これが力をつけて特権商人となっていきます。
彼らは扱う品物に対しての専売権を持っていたので、漢城で商売を始めたり行商するものは、まず市廛から商品を購入する必要があったんですね。
このあたりも、慶州から漢城に出てきたグクソンがぶつかった難題でした。
ちなみに市廛に対し、小規模な商売をしていた商人が乱廛ランジョン
 
「イ・サン」で、摂政時代の王世孫サンが、専売権を持つ市廛が乱廛たちを取り締まる権利=禁乱廛権を廃しようとしますが、失敗に終わります。この教訓を生かして、即位後の正祖が、市廛の専売権を失くし乱廛に自由な商売を許可する法「辛亥通共シネトンゴン」を施行したのが、即位から15年後の1791年のことでした。
 
ちなみにビョンフン監督が描いた「商道」の時代は英祖〜正祖の頃に重なります。市廛を凌ぐ大私商、松商ソンサンや湾商マンサンなどの活躍が描かれていました。
 
というわけで、名家の背景、なんとかかんとか、まとめてみました
 
さて、その後の慶州崔氏の足取りについては、残念ながら手持ちの史書には載っておりません。
なので、ドラマから近年の業績を抜粋しておきます。
 
1919年・チェ・ジュンが白山貿易株式会社をおこす。
独立運動家を資金援助し、日本軍に拘束され投獄、拷問を受け、獄中生活を強いられる。
朝鮮解放後、1947年。全財産を投資して、大邱大学を設立する。
 
以上、がんばってみました
「名家」をご覧になる際の豆知識としてお役にたてたら嬉しいです
 
 
※上記の内容は下記を参考にしております※
河出書房新社「韓国の歴史」・平凡社「韓国歴史地図」・朝日新聞出版「歴史物語朝鮮半島」

この記事に

  • こんばんは
    なるほど‥なるほどぉ‥と読まさせて頂きました。ほんとに「名家」ですね。しかも、実在されたんですよね?う〜ん、素晴らしい!史劇観ていて、腹立つのが「特権階級貴族の横柄さ」なんですよね。(笑)
    こういう人のこういう心があれば、世を明るく照らせることも可能なのでは‥?と思います。

    [ ユンス ]

    2010/6/28(月) 午後 6:25

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    ユンスさん、こんばんは♪
    そうなんです。実在の正しく名家なんですよね。詳しく知れば知るほど頭の下がる想いでした。
    そうですよね〜。朝廷を牛耳ってる輩なんて特に、私利私欲にまみれちゃって、誰かを蹴落とすことしか考えてない感もあり。
    でもこういう人もいたと知って、救われた気分でした。
    >こういう人のこういう心があれば…
    ほんとに!ドラマを作った制作者側も、そんな想いを込めていたんだろうな、と十分に伝わる作品でした♪

    kiokio

    2010/6/28(月) 午後 7:51

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    まぁ、なんと。良く調べ上げましたね。お見それしました。

    いま現在では慶州崔氏の子孫は6派に分かれ百万人ほどの様です。
    一大勢力ですね。

    アイスマン

    2010/6/28(月) 午後 10:17

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    アイスマンさん。
    いえいえ〜。史書をまとめただけです。持っているもので済ませようという魂胆です^_^;

    それより、、
    >6派に分かれ百万人ほど…
    ひぇ〜〜!!そんなにいらっしゃるんですか!?
    そんなにいらっしゃるなら、KBSがらみの事情もなんとなく理解できます。
    本当に一代勢力ですものね。
    そうなると、いろ〜〜んな方がいらっしゃるでしょうねえ。
    みなさんが名家の名に恥じぬ生き方を自負されてるなら、素晴らしいことですが…^_^;

    kiokio

    2010/6/29(火) 午後 2:02

    返信する
  • 百万人ほど…

    ほんと、一大勢力ですね。ビックリ !!

    考えてみたら崔氏だけでも、慶州、江陵、海州、同舟、鉄原、朔寧、耽津、和順、哨戒・・・
    あとどこでしたっけ ? 憶えてません ^m^;

    慶州崔氏だけでも元々の26派から觀稼亭、匡靖、正、司成、和淑、忠烈の
    6派が主軸ですもんね。
    チェ・グクソンは忠烈公派でしたね。

    シヌイエヨ。。oO

    2010/6/29(火) 午後 6:32

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    シヌイさん、こんばんは♪
    あ、私「一代勢力」って書いてる!…相変わらず誤字多い〜〜汗汗

    で、さすがはシヌイさん、詳しいことをご存知ですね!
    慶州崔氏だけで元々26派もあったんですか?
    ネットで調べていたら、崔氏の本貫数は320余りあるって書いてあったんですけど、、すごい〜〜〜〜(>_<)
    なんだか私、自分の記事がとっても恥ずかしくなってきました〜(~o~;)
    忠烈公?グクソンの直系のご先祖さまなんでしょうか??
    シヌイさんの講義を受けたくなってしまいます〜〜!

    kiokio

    2010/6/29(火) 午後 8:26

    返信する
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    ナイショさん、コメントありがとうございます☆
    本貫と姓のことについては余りに複雑すぎて、すんなり頭に入っていかないんですが、確かにウィキペディアで調べたりするとそんな風に書かれていますね。
    仰る通り、どこに行ったの?ですね(笑)

    kiokio

    2010/6/29(火) 午後 10:10

    返信する
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    コメを書こうとしたら、頭がからっぽになってしまいました^^;
    留学とか・・あの時代でお金持ちだったのだと改めて思いますね。

    miちゃん

    2010/6/30(水) 午前 9:08

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    miさん。え〜!からっぽですかぁ!?
    うう…ごめんなさいね。すっごく長い記事ですもんね。でも読んで下さってありがとう☆
    そうですね。留学できたのは一握りの恵まれた方だけだったでしょうね。さらに明の人も押しのけて主席になるんですから、並みの人ではありませんね。
    チェ・ジンリブが出陣するときにお祈りしていた肖像画の方が、このチェ・チウォンさんです。一族の誇りだったでしょうね。

    kiokio

    2010/6/30(水) 午後 0:23

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    そうそう、思い出しことが一つあります。

    「太祖王建」で新羅を滅ぼす時に王建を助けた新羅地方の豪族が3人いたのですが、この3人が確か「安東金氏」、「安東李氏」、「安東権氏」の始祖になるとナレーションが有りました。
    この「安東金氏」が後々にイ・サンが死んだ後に勢道政治を始めて王朝が滅んでゆくことになったとか・・・
    「太祖王建」の主人公の一人、クンエがキム・ヨンチョルさんです。
    迫力満点の演技でした。
    ただし、200話の超ロングバージョンドラマです(笑)

    アイスマン

    2010/7/1(木) 午前 11:26

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    アイスマンさん、こんにちは。
    安東金氏といえば勢道政治、ですね。貞純王后の出身家ですね。
    新羅地方の豪族の出だったとは。やはり古い家柄、名門というわけですね。
    新羅王朝は、朴氏→昔氏→金氏と変遷しているようですから、金氏も王族との関わりがあったのかなあ。。
    もうすぐBSで始まる「千秋太后」でも、旧新羅勢力がかなり幅を利かせているんですけど、その中に上の金氏もいるはずですね。
    KBSワールド視聴時は余り気にしていなかったんで、BS版で確認します♪
    それにしても「太祖王建」は200話もあるんですか!!
    「女人天下」で長いと思っていたのに。上には上が…。
    キム・ヨンチョルさん、大王世宗の太宗以来、すっかりぞっこんです♪迫力満点、そうでしょうね〜。…観たいですけど、一体いつのことやら(涙

    kiokio

    2010/7/1(木) 午前 11:58

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    それにしてもマロンさんは詳しいです。。
    いろいろ勉強に成ります。。

    あさ

    2010/8/17(火) 午前 9:53

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    太祖王建200話 やっと全部見終えました
    最近にない力作ですね・・・

    あさ

    2010/8/17(火) 午前 9:55

    返信する
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    あさやまさん、こんばんは。
    TBいつもありがとうございます<m(__)m>
    あさやまさんにお褒め頂けるなんてとっても恐縮&嬉しいです〜〜
    太祖王建は力作だったようですね。
    200話、考えるだけで気が遠くなりそうです(^^ゞ
    いつかきっと挑戦!

    kiokio

    2010/8/17(火) 午後 11:59

    返信する
  • 崔と朴は相性が悪いんですが、歴史的な因縁があるみたいですねぇ

    [ nav*9*avi9 ]

    2010/12/4(土) 午後 1:20

    返信する
  • 顔アイコン

    nav*9*avi9さん、はじめまして&いらっしゃいませ。
    >崔と朴は相性が悪いんですが
    ええ?そうなんですか?
    >歴史的な因縁
    それは興味深いお話です。よろしければ詳しいお話をお聞かせ頂けると嬉しいのですが…<m(__)m>

    kiokio

    2010/12/4(土) 午後 9:44

    返信する
  • ご先祖様も富を社会に還元したのですね。亡き父も個人で8億もの税金を納めています。歴史は繰り返すんですね

    [ nav*9*avi9 ]

    2010/12/8(水) 午前 0:01

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    nav*9*avi9さん、こんばんは。
    富を社会に還元なさることを、文字通り実践されていることに頭が上がらない思いです。。
    >個人で8億もの税金
    すごい額です。それらがお父様の御意思に添って有意義に使われたのだと信じたいです。

    kiokio

    2010/12/8(水) 午後 8:23

    返信する
  • 顔アイコン

    内緒さん、こんばんは。
    う〜〜ん、そうですね。私にはなんとも……
    しかしご子孫はご存命ですから。
    上のコメントの方も直系のご子孫のようです^_^;

    kiokio

    2012/2/10(金) 午後 10:14

    返信する

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