「鬼平犯科帳 20」 池波正太郎
★題名 『鬼平犯科帳 20』 ★著者 池波正太郎 ★発行 文藝春秋(文春文庫) ★発刊 1991年04月10日あははは、前巻に続き細川峯太郎の災難が「二度ある事は」で書かれている。今回は、事前にちゃんと長谷川平蔵に断りを入れて墓参りすることになるのだが、またもや事件に巻き込まれ(?)、失態を見せることになる。行かなくてもいいところまで足を伸ばし、見てみぬふりせずに盗賊を追っかけるから、しなくてもいい失態をしてしまうのだ。 (さて、どうしたものか……?)
細川は、今日のことを長官・長谷川平蔵へ報告していない。 瀬川の友次郎一件の小間物屋は、お長の茶店のとなりにある。 今日のことを告げれば、自分が、お長の茶店へ近づいたことを平蔵にさとられてしまう。それが怖い。 報告しようとして、しきれなかった。 だが、報告をしなければ、見張り所を設けることもできぬ。 いまの細川峯太郎は、平蔵のお供をすることもなく、単身で深川方面の見廻りを受けもっていた。 (どうしよう。おもいきって、申しあげようか……いや、そうしなくてはならぬ。たとえ、お叱りを受けようとも、そうするのが、おれのつとめだが、なれど怖い。あの長谷川平蔵に睨まれるかと思うと、寒気がしてくる……) 不審な細川の態度から気づいた鬼平は、盗賊どもをひっとらえ、縛り付けた後に役宅に運び込む。そこに細川を呼び出し、荷車の中から盗賊を引きずり出す。 中から転げ落ちたのは、手足を縛られた三雲の利八以下5人の盗賊どもである。
細川峯太郎は、目を白黒させ、五体をふるわせて言葉もない。 その細川を、じろりと睨んだ長谷川平蔵が、 「細川、ついてまいれ……」 と、いった。 その瞬間、細川峯太郎は意識をうしない、くずれるように敷石の上へ倒れ伏してしまった。 本書で笑ったのはもう1箇所あり、「顔」に書かれた岸井左馬之助をからかう場面なのだが、この転記は省略する。妻の久栄「何が、おもしろいのでございます?」「ま、いやな笑い様をあそばしますこと」「「おやめあそばせ」と再三再四、とどめても言うことを聞かない。平蔵(池波)のユーモアは、加虐的な側面を持っている。平たく言えば……意地悪い。あははは。 ※初出:「オール讀物」昭和54年8月号〜10月号、55年2月号〜5月号に連載した七編。単行本は55年6月に刊行。
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