名作の楽しみ-136ノヴァーリス「青い花」角田光代「八日目の蝉」
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ノヴァーリス「青い花」角田光代「八日目の蝉」
「青い花」。ドイツ初期ロマン派の詩人ノヴァーリスの作品。メルヘン、夢、
そしてポエム。実名はフリードリッヒ・フォン・ハルデンベルクで、貴族の
出であり、甘さと気品が混在する小説である。小説と言っても、主人公の詩
人の卵が母とアウグスブルグにいる祖父を訪ねて商人たちと旅する間に、ア
トランティスの王家にまつわる物語や、洞窟に一人住む隠者の話などが承認
により語られる構成になっている。そして、ポイントポイントで詩が登場
し、メルヘンの雰囲気を高めていく。また、歴史の議論も盛んで、その歴史
観が実に面白い。例えば、「歴史家のほとんどは饒舌だが、肝心かなめのこ
とを忘れている。それは、歴史を歴史たらしめること。つまり、様々な偶然
の出来事を結びつけて、快く教訓に富んだひとつの総体を作り上げること
だ」とか・・・。アウグスブルグの祖父の家は裕福な貴族であり、そこで詩
人と出会い意気投合する。そして、その娘と恋に陥り結婚する。そして、第
二部に入っていくが、支離滅裂の内容であり、結局は断片的な話に終始す
る。結局、この小説は完成しておらず、その草稿などが紹介されるにとどま
り、読んでいて欲求不満に陥ることしばしばであった。
「八日目の蝉」。角田光代らしい読ませる文章で読者をぐいぐい引っ張ってい
く。0章から緊張感が走り、1章は逃避行へと続き、緩むことがない。そし
て、1章の終りで突然解決したかと思いきや、2章では時間が飛んで、主人公
が入れ替わる。その設定が面白く、才能を感じさせる。2章では、1章の逃避
行の解説と1章の主人公のその後の裁判の状況が淡々と過去の出来事として記
述されていく。そして、2章の主人公も1章の主人公と同じシチュエーション
のほんのさわりを経験していき、最後に二人の主人公がそれと知らずに出会
い、お互いを認識せずに離れていくが、それは永遠性を暗示する。この小説
の文学的香りは、母親の問題を徹底的に追求しているところにあると思う。
女性の母性本能は独占的であり、排他的である。と同時に物凄く温かいもの
である。また、新興宗教が生まれてくる状況が非凡な視点で語られていくこ
とも文学的である。 |
