著作権切れ文学等
紫苑の園 63
この家でもホテルと同じ生活がくりかえされた。祖父は食事の時も片手から書類を離さなかった。香澄が後を慕って祖父の傍にいたりしても祖父はたいして気にもとめなかった。香澄はある時は祖父の身のまわりの世話をやき、ある時はお茶を持ってその書斎をおとずれた。
「お祖父様、少しお休みになりましたら?」
やさしい孫の手に、やっと椅子をこちらに向けてお茶を一緒に飲むものの、香澄の望むようななつかしい父の話は一つもその唇をもれることはなかった。香澄はある時は祖父の身の回りの世話をやき、ある時はお茶を持ってその書斎をおとずれた。
「お祖父様、少しお休みになりましたら?」
やさしい孫の言葉に、やっと椅子をこちらに向けてお茶を一緒に飲むものの、香澄の望むようななつかしい父の話や、祖父らしいやさしい話は一つもその唇をもれることはなかった。
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