奇想の庭(復活そして昇天)

19世紀末から20世紀前半のロシア文化を駆け巡り、拾い集め、組み立てて、発見する・・・・・・

全体表示

[ リスト ]

物語



17歳にもなれば、真面目一方でなどいられない。
── ある晩、ビールもレモネードも、
まばゆいシャンデリアにさんざめくカフェなんかも糞喰らえさ!
── 緑の菩提樹の下の遊歩道を歩こう。

6月のきれいな晩には、菩提樹からは芳香が漂ってくる!
時おり、大気があまりに心地よいので、瞼を閉じる。
風は喧噪に満ち、── 街も遠くはない、──
葡萄園の香りとビールの香りを含んでいる…


── ほら、あそこに小枝に縁取られた、
ほんの小さな、薄暗い碧空の切れ端が見えるだろう、
小さく真白き、柔和なきらめきとともに溶けてゆく
不吉な星の穿たれた…

6月の夜!17歳! ── 陶酔に身をまかせる。
血気はシャンパンによって盛んになり、理性も消失…
たわごとを言い、唇には、あたかも小動物のように
ぴくぴくと脈打つ接吻を感じる…


ロビンソンの狂える心は物語という物語を通り抜ける、
── その時、青白い街灯の明かりのなかを
ちょっと魅力的な様子をしたお嬢さんが一人通りかかる、
父親の恐ろしい付け襟の影に隠れて…

そうして、彼女はおまえを途方もなく初心だと感じたので、
小さなブーツを小走りに急かしながらも、
油断なく、活発に振り返る…
── その時、おまえの唇からは小唄が消えてゆく…


おまえは恋している。8月までは予約済み。
おまえは恋している ── おまえのソネットは彼女を愉快がらせる。
友は皆去ってゆく、おまえの態度はけしからぬと。
── それから、ある晩、熱愛する彼女が手紙をしたためてくれた…!

まさしく今夜、…── おまえはまばゆいカフェというカフェに戻ってゆく、
ビールとレモネードを注文する…
── 17歳にもなれば、真面目一方でなどいられないし
散歩道は緑なす菩提樹を戴いている。

アルチュール・ランボー
1870年9月29日

イメージ 1


Roman


I


On n'est pas sérieux, quand on a dix-sept ans.
— Un beau soir, foin des bocks et de la limonade,
Des cafés tapageurs aux lustres éclatants !
— On va sous les tilleuls verts de la promenade.

Les tilleuls sentent bon dans les bons soirs de juin !
L'air est parfois si doux, qu'on ferme la paupière ;
Le vent chargé de bruits, — la ville n'est pas loin, —
A des parfums de vigne et des parfums de bière...

II

— Voilà qu'on aperçoit un tout petit chiffon
D'azur sombre, encadré d'une petite branche,
Piqué d'une mauvaise étoile, qui se fond
Avec de doux frissons, petite et toute blanche...

Nuit de juin ! Dix-sept ans ! — On se laisse griser.
La sève est du champagne et vous monte à la tête...
On divague ; on se sent aux lèvres un baiser
Qui palpite là, comme une petite bête...

III

Le cœur fou Robinsonne à travers les romans,
— Lorsque, dans la clarté d'un pâle réverbère,
Passe une demoiselle aux petits airs charmants,
Sous l'ombre du faux-col effrayant de son père...

Et, comme elle vous trouve immensément naïf,
Tout en faisant trotter ses petites bottines,
Elle se tourne, alerte et d'un mouvement vif...
— Sur vos lèvres alors meurent les cavatines...

IV

Vous êtes amoureux. Loué jusqu'au mois d'août.
Vous êtes amoureux. — Vos sonnets La font rire.
Tous vos amis s'en vont, vous êtes mauvais goût.
— Puis l'adorée, un soir, a daigné vous écrire... !

— Ce soir-là,... — vous rentrez aux cafés éclatants,
Vous demandez des bocks ou de la limonade...
— On n'est pas sérieux, quand on a dix-sept ans
Et qu'on a des tilleuls verts sur la promenade.

             Arthur Rimbaud
29 sep. 70

この記事に

閉じる コメント(10)

顔アイコン

いいですね。知らない詩でありますけど、見たような。自然、木々に囲まれた青春の喜びは、ランボーですね。

2011/1/14(金) 午後 10:09 あつたろう 返信する

待望のランボー再開 バンザーイ!!
しかも対訳で
粋な心遣いに感激です。

2011/1/15(土) 午前 6:50 [ こががっこ ] 返信する

顔アイコン

あつたろうさん、この詩、感覚と官能的な喜びに溢れていますね。
なんとみずみずしい感性でしょう。

2011/1/15(土) 午後 9:03 [ 奇想の庭(復活そして昇天) ] 返信する

顔アイコン

古賀学故さん、対訳のほうが、より読む時のイメージが膨らんで
詩の本当の価値が理解されるように思ったので、これからも
必ずつけてゆく積りです。
最初の頃にやったイリュミナシオンも対訳にして再登場させようと
思っています。順番もけっこうばらばらだったので、原本の通りに
並べていったりもしたいと思います。

2011/1/15(土) 午後 9:07 [ 奇想の庭(復活そして昇天) ] 返信する

流麗な日本語で17歳の世界観に浸らせていただきました。
フランス語の原文は音に出して読んだら響きがキレイそうですね。
韻をふんだりしてそうな・・・読めないのが残念!

2011/1/16(日) 午前 0:37 [ 白いグランドピアノ ] 返信する

17の頃は 勢いを コントロールできなかったが
この頃は 衰えで コントロールがきかない

2011/1/16(日) 午後 11:39 [ One_Seg (一弧) ] 返信する

顔アイコン

白いグランドピアノさん、17歳の血気盛んな、常軌を逸したような狂騒に身を投げ出すさまは胸が透くように心地よいです。

ここでは交互に韻を踏んでいて、それも見事に完璧に出来ているので、素敵な声で朗読されたら、ほろりとしてしまいそうです。

2011/1/17(月) 午後 11:18 [ 奇想の庭(復活そして昇天) ] 返信する

顔アイコン

One Segさん、人は多分、詩のなかに刻まれた17歳に
接することによって、永遠に17歳であるような幸福な
錯覚を楽しむことが出来るように思います。

2011/1/17(月) 午後 11:20 [ 奇想の庭(復活そして昇天) ] 返信する

顔アイコン

へ〜〜〜
洒落た小説書くじゃないか、
と思って読んでたら、作家名が違ったよん。
訳してもラヴ風になるんだ、良いね,ポチ

2011/1/28(金) 午前 0:08 michi 返信する

顔アイコン

なるほど。ここまでの詩が書けたら、
人はランボーになれるのかも知れません。
でも、やっぱり誰もこんなには
書けないわ、きっと…

ポチ、ありがとう!

2011/1/29(土) 午後 10:40 [ 奇想の庭(復活そして昇天) ] 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


みんなの更新記事